アマゾンは、不動産管理者にAlexaを提供したいと考えている。米国時間9月3日朝、同社は新サービス「Alexa for Residential」の提供を開始した(Amazonブログ記事)。これは、コンドミニアムや集合住宅などの建物で、不動産管理者がAlexaを使ったスマートホーム体験を簡単に設定・維持できるようにすることを目的としている。米国の大手不動産会社である、IOTAS、STRATIS、Sentient Property Servicesの3社は、開始時にAlexa for Residentialサービスを利用する最初のスマートホームインテグレーターとなる。
Alexa for Residentialは、Amazonのアカウントを持っていない人でもAlexaをスマートホーム管理のためのツールにしようというものだ。新しい居住者は、自分のデバイスを購入したり、何かを設定したりする必要はない。代わりに、住居備え付けのEchoデバイスに話しかけて、彼らの住居で利用可能なさまざまなスマートホーム機能を制御し、基本的なAlexaの機能を使用することができる。
物件管理者は、各住居ごとにAlexaのカスタムスキルを作成して、入居者にメンテナンスの依頼を出したり、アメニティの予約をしたり、Alexaを介して家賃の決済ができる。
居住者が自分のAmazonアカウントを持っている場合、住居備え付けのEchoデバイスにリンクすることも可能だ。一度リンクされると住民は、音楽のプレイリストを聴いたり、Alexaデバイスから友人や家族を呼び出す機能などAlexaのすべての機能を使えるようになる。
居住者が自分のアカウントをリンクさせた場合、不動産管理会社は顧客の個人データにアクセスすることはできなくなる。またAlexa for Residentialでは、入居者の録音した音声は毎日削除される。
しかし、入居者の賃貸契約が終了したり、退去したりした場合には、スマートホーム管理のためのデバイスの既存の設定を中断することなく、不動産管理者がリモートでデバイスをデフォルト設定にリセットして、次の入居者に備えられるようにすることができる。
今回の発売によりアマゾンは、消費者へのEchoデバイスの直接販売を増やさなくても、Alexaの普及を拡大できる市場へのさらなる投資を行うことになる。
アマゾンは以前にもこの分野でパートナーシップを組んでおり、2018年11月には現在PayLeaseの子会社となっているZegoと提携(Business Insider記事)し、3万戸のアパートにAlexaスマートホームデバイスを展開していた。同じく2018年には、RedAwningをパートナーにして不動産管理ツールをローンチした(Property PortalWatch記事)。これはもともとはホテル用だったAlexa for Hospitalityサービスによって実現した。休暇用レンタルサービスも同様の統合を目的にAlexaを利用(Vrmintel記事)している。この分野向けに設計された不動産管理やAlexaのスキルを対象とした、独立したスマートホームテクノロジープラットフォームもある。
もっと広く言えば、アマゾンは他のサービスをロールアウトし、2018年のAlexa for Hospitalityの立ち上げや、Lennarのような住宅建設業者との取引のようにB2B取引を通じて住宅でのAlexa使用を拡大する可能性のあるパートナーシップを発表している。こうした取り組みが成功しているかどうかはまだ判断がつかない。共有デバイスがプライバシーの問題を引き起こすと感じている人(Phys.org記事)もいれば、ほかの設備がうまく配備されていないと感じている人(PhocusWire記事)もいるなど、メリットとデメリットがあるからだ。
しかし、アマゾンはこの最新サービスのアイデアを、不動産管理者が収益を増やすための方法として売り込んでいる。同社は、84%の賃借人がスマートホームのアメニティを備えたアパートを希望しており、61%が音声アシスタントの月額料金を支払うと述べた全米アパート協会のデータを引用している。
とはいえ、このデータは新型コロナウイルスの感染が蔓延している現在の経済を反映していないだろう。現在は失業者が増え、経済に大混乱をもたらしている。 Alexaデバイスとその使用のための追加コストはいまでは必需品ではなく、より贅沢なものとして見られるかもしれない。
画像クレジット:Amazon
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(翻訳:TechCrunch Japan)
- Original:https://jp.techcrunch.com/2020/09/04/2020-09-03-amazon-launches-an-alexa-service-for-property-managers/
- Source:TechCrunch Japan
- Author:Sarah Perez
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