皮膚がん検診にAIを活用する英国拠点のSkin Analyticsが5.5億円を調達

人工知能を活用した皮膚がん検診サービスを開発している英国拠点のスタートアップ、Skin Analytics(スキンアナリティクス)がシリーズAで400万ポンド(約5.5億円)の資金を調達した。このラウンドはHoxton Venturesがリードし、NestaとMustard Seed Venturesの各VCが参加した。

Skin Analyticsは、米国民の健康に重要な影響を与える可能性のある新技術を迅速に追跡するプログラムの一環として、米食品医薬品局(FDA)から「Breakthrough Device Designation」(ブレークスルーデバイスの指定)を受けており、調達した資金を利用して米国での事業を拡大する計画だ。

同社はまた、バーミンガム大学病院と共同で世界初の「AIを利用した」クリニカルパス(ケアプロセスを標準化する医療管理手法)も発表しており、英国の国民医療サービスでのパートナーシップも継続する。

Skin Analyticsは、EU加盟国へ輸出する際の安全基準条件を満たすことを示すCEマークの医療機器を提供しており、複数の研究によって皮膚がん、前がん性や良性の病変を「皮膚科医と同じレベルまで」を特定できる技術を持つ。この技術を使うことで、皮膚科医の診断負担を軽減でき、医療システムや保険会社が皮膚科医の能力を高められるかもしれない。

Skin Analyticsの創業者であるNeil Daly(ニール・デイリー)氏は「簡単に言えば、皮膚がんは世界で最も一般的ながんであり、発生率は世界中で増加している」と説明する。皮膚科医が世界的に不足しているという事実と重ね合わせると「皮膚がんをどのように特定し、どのように対処するかが課題になっています」と続ける。

デイリー氏によると「Skin Analyticsが開発した臨床的に有効なAIシステムは、深刻な皮膚がんだけでなく、開業医やさまざまな良性病変によって治療できる前がん病変も特定できる」という。「我々の技術を使う場所にもよりますが、Skin Analyticsのサービスを利用することで入院患者の数を40~60%減らすことができます。つまり我々は医師不足の皮膚科の負担を軽減し、皮膚科医が予約のために何カ月も待たされることが多い炎症性皮膚疾患の患者などのほかの患者に集中できるようになります。また、皮膚がんの治療費を削減して、ほかの場所でのケアの改善に割り当ることができます」と続ける。

皮膚がんはAIの進歩と相まって大きな社会問題であるため、デイリー氏は当初はこの分野に取り組んでいる企業が多く、2014年には競合他社が約50社と爆発的に増えたことを振り返りつつ「技術がいかに複雑であるか、臨床企業としての運営がいかに困難であるかという現実に直面したため、いまでは3、4社を除いてすべてが消滅しています」と説明したうえで、新たな競争相手が出現していることも付け加えた。

「実際のところ、私たちはAIを開発するうえで失敗から学ぶことに多くの時間を費やしてきた」とデイリー氏は同社サービスの重要な差別化要因を挙げた。「優れたアルゴリズムを開発したとしても、現実の世界でテストした場合に十分なパフォーマンスが伴わないことが多いのです。そして、これはプロスペクティブな臨床研究(臨床試験を開始した時点から未来に向かって情報を集める研究)でしか得られません。私たちはそういった臨床研究を実施しただけでなく、アルゴリズムを改善し続けるためのデータも取得・解析し続けています。これには近道はありません。テストをして、改善して、繰り返す必要があります。

もう1つの重要な差別化要因は、医療のように高度に規制された業界とそれに伴うプロセスでは「成功するまでごまかすことはできない」という点だ。「企業としてこのようなプロセスを受け入れる必要がありますが、それには時間も手間もかかります」と同氏。「医療機器を開発する企業は、安全性が重要視される環境の中で迅速にイノベーションを起こす方法を見つけなければなりませんが、当社のチームがその能力を構築し、それを継続してきたことを非常に誇りに思います」と締めくくった。

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カテゴリー:ヘルステック

タグ:Skin Analytics がん治療 米食品医薬品局(FDA) 資金調達

画像クレジット:Skin Analytics

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(翻訳:TechCrunch Japan)


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