Appleグラスではバーチャル空間内の音も立体的に聴こえる?

Apple Glass EAP 07
 
音を立体的に聴くことは、現実空間なら容易に可能です。しかしバーチャル空間では?仮想現実(VR)や拡張現実(AR)では、あくまでも奥行きがあるように見えるだけで、実際に立体的な空間が存在するわけではありません。しかし、そんなバーチャル空間でも音が立体的に聴こえるフォーマット技術をAppleが開発しているようです。

新たなフォーマットを確立へ


AppleはこれまでにもAR向けとして、高解像度動画の開発を行っていることが観測されてきましたが、高音質音声を再生する技術も開発しているようです。米特許商標庁(USPTO)が新たに公開した特許によると、Appleが開発しているのは「立体オーディオのファイルフォーマット」で、ARでの使用を前提に、新たなフォーマットを確立するつもりのようです。
 
AppleがPixar(スティーブ・ジョブズ氏が創業したアニメーション企業、現在はDisneyの完全子会社)と共同開発したAR向けのフォーマットUSDZでも、立体的に音声を再生することが可能ですが、現在Appleが取り組んでいるのは、さらに一歩進んだ技術のようです。

技術的にはかなり高度

Appleが特許で「ARやVR、混合空間(MR)アプリで、三次元音声効果を生み出すのは簡単ではない」と述べるように、実際には三次元ではない空間で、音声を立体的に再現するのはかなり骨の折れる仕事のはずです。例えば映画館では、複数のスピーカーを異なる場所に配置することで立体的な音声を生み出せますが、バーチャル空間(AppleはSimulated Reality=SR:「シミュレーション現実」と呼んでいる)ではそうはいきません。
 
SR環境で立体的な音響効果を生み出すためにAppleが考えているのが、独立した個別の音(下記の特許画像であれば、山の音=Alpine Soundsとビーチの音=Beach Sounds、都会の音=City Sounds)からなる音声オブジェクトを用意し、それを3D空間で仮想的に自由配置するというものです。
 
apple 特許
 
しかし、SR環境で既存の立体音響フォーマットをそのまま転用するのは難しいため、複数の情報を詰め込める「コンテナ(内包)」型の統合フォーマットを作る必要がある、というのがAppleの見方です。すでにコンテナ型フォーマットとしては、ビデオと動画、字幕など個々のトラックを統合して再生できる、動画ファイル形式のmp4やm4vなどが存在します。
 
非常に抽象的であるためイメージし辛いですが、ようするに別々の情報である“動き”と“音声オブジェクト”が1:1で対応しているために、例えばSR環境下で遠くからこちらに車が向かってくるとして、車が遠くにいるときはエンジン音が小さく、近づくにつれて大きくなっていくことで、立体音響を擬似的に再現するイメージでしょうか。こうした技術を実現するために、新たなフォーマットを確立する必要があるというわけです。
 
この技術は、特許に記された技術者の名前から、現在Appleが開発しているとされる「Appleグラス」での採用が見込まれています。
 
 
Source:USTPO via AppleInsider
Photo:YouTube-EverythingApplePro
(kihachi)


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