スタンフォード大学の研究者らは、アンビエント・コンピューティングによって医療/介護現場で発生する事故を減らそうとしている。
医療/介護現場での事故は、ケアの量や複雑さに起因することが往々にしてある。これらをテクノロジーで支援するシステムが多く開発されているが、研究者らはより人間中心のアプローチを模索しているようだ。
研究者が医療/介護環境改善に関する論文を分析したところ、赤外線センサーおよび、取得したデータの分析に利用するAIの2つの技術トレンドが浮かび上がった。
消毒したかどうかを識別する赤外線システム
赤外線技術では、アクティブな赤外線システムにより光を照射。跳ね返ってくるのにかかる時間を計算して、人やモノのカタチを検出する。このような赤外線深度センサーは、例えば病室の入り口に設置され、入室する前に手を消毒したかどうかを識別してアラートを発することが可能だ。
また、パッシブな赤外線システムでは、体温から画像を作成する。例えば赤外線検出器を病院のベッドに設置すれば、シーツの下で発作を起こしているのを検出して、医療従事者に知らせることができる。
赤外線センサーにより得たデータを分析するAIシステムは、例えば自宅療養中の高齢者をモニタリングし、健康状態悪化の予兆を検知する……といったことまでが可能だ。
人間中心のアプローチを採用
システムの開発に当たって研究者らは、医療従事者や介護者、患者自身といった利害関係者の意見を聞き設計に反映させようとしている。例えば、ブザーというかたちでアラートを実装しようと考えていたところ、医療従事者からブザーがすでに溢れていることを聞き、色で知らせる方法に変更したという。
また、高度なモニタリングシステムを導入するにあたっては、プライバシーがトレードオフになりがち。研究者らのアプローチでは、高解像度なセンシング画像の使用を避け、AIによる分析技術で補っているとのこと。
医療従事者や介護者の自然な負担軽減を図り、患者のプライバシーも尊重したシステムは、医療/介護現場での事故発生率をうまく下げてくれそうだ。
参照元:AI-controlled sensors could save lives in ‘smart’ hospitals and homes/ Stanford Engineering
- Original:https://techable.jp/archives/137449
- Source:Techable(テッカブル) -海外・国内のネットベンチャー系ニュースサイト
- Author:YamadaYoji
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