【特集】ステイホーム時代の新必需品
「ハイレゾは音が良い」とは聞くものの、普通の音とはどう違うのか? そして、ハイレゾはどうやって聴くのか? そんな今さら聞けないハイレゾの基本を、オーディオ評論家の山本敦さんに聞いた。ハイレゾの魅力を知って、ワンランク上の音を楽しもう!
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■CDの6.5倍の情報量でライブに迫る没入感を実現
高解像度な音楽という意味で、ハイレゾが一般化してきた。CD音質と比較して約3~8倍の情報量があり、よりリアルに近い音楽が聴けると言われる。具体的には、CDの音質を表す数値が「44.1kHz/16bit」なのに対し、ハイレゾ音源は「96kHz/24bit」以上が求められる。「192kHz/24bit」の音源も多くある。
192kHzとは、音というアナログ信号を、デジタル信号へ変換(コンバート)する際に、1秒間に19万2000回もデータを収集(サンプリング)したということ。24bitは、同じく音のアナログ信号をデジタル信号へ変換する際に、信号を何段階の数値で表現し、収録したかという数値。
「そもそも音楽はライブやコンサートで聴きたいものです。でも、好きな時にライブへ行けるわけじゃない。そこで僕らはオーディオやポータブルプレーヤーで音楽を聴くわけです。ハイレゾ音源は情報量が多く生の音に近いから、アーティストが目の前で演奏しているような世界が広がります。音だけで、そうした没入感を得られるのがハイレゾなのです」
そう話すのはオーディオ評論家の山本敦さん。だがハイレゾで聴くには、対応プレーヤーやヘッドホンなどが必要になる。
「今では、対応プレーヤーとして使えるスマートフォンを知らずに持っている人も多いんですよ。Android OS端末のハイクラスモデルであれば、デジタル信号のハイレゾ音源を再生できる機能を備えていますから」
だが、スマートフォンも安くはない。わざわざ対応スマートフォンを購入するなら、ハイレゾ対応プレーヤーと対応ヘッドホンという組み合わせを選ぶのも手だ。アーティストの息遣いまで聴ける高音質サウンドを、いつでも聴けるのだ。
「家の中でヘッドホンを着けたくなければ、コンポという選択肢が挙がります。良い音が部屋中に広がり、よりライブのような没入感が期待できます」
対応コンポは、ハイレゾ音源をアナログ信号に変換するDACを搭載するのが基本。拡張性が高いセンターユニットであれば、後々、例えばLPやカセットテープなどが聴きたくなったら機器を増設しやすく、カスマイズしやすいのも魅力だ。
「配信されるハイレゾ音源の種類や曲数も増えています。アマゾンミュージックHDのようにサブスクで楽しめるようにもなりました。ぜひハイレゾで、改めて音楽に浸ってみてください」
オーディオ評論家 山本敦さん
オーディオ・ビジュアル専門誌での編集・記者職を経て、現在はフリーランス。特にポータブルオーディオでの製品レビューに定評があり、各誌に寄稿している
■手軽にハイレゾを聴くためのふたつの方法
ハイレゾ音源は192kHz/24bit以上の楽曲データ。これを処理して再生できる対応のコンポや、ポータブルプレーヤーとヘッドホンなどが必要だ。全てを対応製品にしなければならない。
①自宅でスピーカーを通して聴く方法
多くの対応コンポは192kHz/24bit以上のハイレゾ音源をアナログ信号に変換するDAC(Digital to Analog)を搭載する。音楽配信サイトでハイレゾ音源をPCなどから購入したら、USBメモリやSDカードなどを経由させてコンポに取り込んで再生する。
②プレーヤーを使ってヘッドホンで聴く方法
音楽配信サイトでハイレゾ音源を手に入れたら、PCなどを経由させて対応プレーヤーにデータを取り込む。あとは再生して、対応ヘッドホンで聴くだけだ。Android OSを搭載したプレーヤーの中には、音源を直接購入できるものが多く、より簡単だ。
■山本さんが伝授!コスパ最強「アマゾンミュージックHD」活用術
▲昨年9月からスタートした、サブスクリプション型の高音質音源配信サービス。サブスクでのハイレゾ配信は希少だ
ハイレゾ音源の購入となると、十数曲で3000円以上と言ったコスト面がネックになる。またハイレゾ音源の配信サイトは、クラシックやジャズが中心なのでは、といったイメージも根強い。山本さんによれば、これらの不満を払拭するのがAmazon Music HDだという。
「通常の定額配信よりも若干高いですが、月額2000円以下でCD同等以上の音質の楽曲が6500万曲以上聴き放題です。そのうち数百万曲はハイレゾ音質で、最新ポップスも充実しています」
初月無料などのキャンペーンを常時行なっており、ハイレゾの世界へエントリーするための最も適した音楽配信サービスだと言えるだろう。
■まだまだある!ハイレゾ音源が豊富に揃う音楽配信サイト
▼「mora qualitas」
ソニー・ミュージックエンターテインメントグループが運営。CD音質~96kHz/24bitまでのハイレゾ音源の楽曲が、月額1980円で聴き放題となるサブスクサービス。
▼「e-onkyo music」
ハイレゾ音源の配信に特化。ジャズやクラシックから最新ヒット曲、アニソンやゲームソングまで揃う。 384kHz/32bitやDSD11.2MHzなどの超高音質音源もラインナップ。
▼「OTOTOY」
アーティストとファンをつなぐことを目的としている。ハイレゾ音源の配信だけでなく、豊富なインタビュー記事などがサイトで読める。インディーズ音源なども豊富に揃う。
■ハイレゾを手軽に楽しめる2大ギア
コンポとポータブルプレーヤーは手軽にハイレゾを堪能できるアイテム。前者は、ヘッドホンを使わずによりリラックスして音楽に浸れる。後者は、リーズナブルな価格と可搬性の高さが魅力。上質な音楽空間をどこにでも構築可能だ。
【アンプ内蔵コンポ】
部屋中を高音質で満たしたい という人にはコンポがオススメ。メーカーによって各パーツが厳選されているから、購入後に設置して使い始めた時から、満足のいくサウンドを響かせる。
1. 高音質なサウンドを部屋いっぱいに響かせるコンポのスタンダード
デノン
「D-T1」(3万9380円)
CD、FM/AMラジオ、Bluetoothを備えたレシーバー部と、木製エンクロージャーを採用したスピーカーで構成される。96kHz/24bitまでの信号に対応した光デジタル入力を装備。ハイレゾ音源は、対応プレーヤーを光デジタルで接続して楽しめる。スピーカーは2ウェイ2スピーカー。25mmのツイータと120mm径のウーハーで構成される。
2. これ1台でハイレゾ音源もそうでなくても高音質で再生!
ソニー
「マルチ オーディオコンポCMT-SX7」(実勢価格:5万3200円前後)
CD、FM/AMラジオのほか、PCとのUSB接続が可能なUSB-DAC機能のほか、 Bluetooth/Wi-Fi経由のワイヤレス音楽再生に対応する。ハイレゾ音源が再生でき、ハイレゾ以外の音楽を最大192kHz/24bitまでアップスケーリングして再生する「DSEE HX」も搭載。さらにBluetoothはハイレゾ相当の音質で伝送できるLDACにも対応している。
3. スタジオ音源の再現を目指したウッドコーンスピーカー
ビクター
「EX‐HR10000」(16万2800円)
CD、FM/AMラジオを搭載。USB経由でハイレゾ音源の再生に対応するほか、CDやBluetoothで送られてきた楽曲データを、ハイレゾ相当に高音質化する技術「K2 TECHNOLOGY」を備える。木を振動板に採用したウッドコーンスピーカーは、90mm径のフルレンジユニットを装備。エンクロージャーにはチェリーの無垢材が使われている。
4. CDやラジオ、スピーカーを一体化!
テクニクス
「OTTAVA f SC-C70」(実勢価格:11万円前後)
CDやDLNAネットワークプレーヤー、FM/AMラジオ、USBメモリー再生、2.1chのスピーカーを備えた、一体型オーディオシステム。ネットワークとUSBメモリ再生時はハイレゾ音源に対応する。有線/無線LANを備え、Bluetoothもサポートする。天面は剛性の高いアルミ製。本体サイズはW450×D280×H143mm、重さ約7.8kg
【ポータブルプレーヤー】
対応ヘッドホンと音源さえあれば、家でも外出先でも気軽に高音質サウンドを楽しめるのがポータブルプレーヤー。価格は採用するDACチップや筐体素材などにより大きく異なる。
5.贅沢スペックで上質な音楽を!
FiiO
「M15」(実勢価格:14万9000円前後)
Android 7.0をベ ースにカスタマイズしたOSを採用。 384kHz/32bit PCMやDSD 11.2MHzのハイレゾ音源まで、ネイティブ再生できる。DACチップには、定評のある旭化成エレクトロニクス製の「AK4499EQ」を2基搭載。BluetoothコーデックはaptX HDやLDAC、HWAをサポート。サイズはW75×D18×H134mm、重さは307g
6. Amazon Music HDに直接アクセス!
ソニー
「ウォークマン NW-A100シリーズ NW-A105(16GB)」(実勢価格:3万5200円前後)
Android OSを搭載したハイレゾ音源対応のウォークマン。音楽サブスクサービスのAmazon Music HDやSpotifyなどのアプリが利用できハイレゾを含む音源を高音質で再生可能。 YouTube MusicやApple Music、ネットラジオなども楽しめる。サイズは約W55.9×D11× H98.9mm。重さは約103g
7. すっぽりと手に収まるサイズに機能をギュッと搭載
Shanling
「SHANLING Q1」(実勢価格:1万8000円前後)
本体サイズW62×D16.5×H75mm、重さ133.2gと小型軽量。それでいて最大384kHz/32bitのPCMや5.6MHzのDSDの再生が可能。 LDACなどのBluetoothのコーデックに対応する。またESS製のDAC「ES9218P」を搭載しUSB DAC機能も備える高コスパモデルだ。
8. 音楽配信アプリを直接インストール!
Android 8.1を採用し、音楽配信アプリをインストールできる。Cirrus Logic製のハイエンドDACチップ「CS43198QFN」をデュアルで搭載。BluetoothコーデックはLDACやapt Xなどをサポートする。サイズはW69×D15×H123mm、重さは178g
9. 楽曲に合わせて最適な音を見つけ出す!
Astell&Kern
「A&futura SE200」(実勢価格:21万9000円前後)
PCM 384kHz/32bit、DSD 256 (11.2MHz/1bit)をサポートする。2種類のDACチップを搭載し、同じ楽曲でもDACによる音の違いを楽しめる。BluetoothコーデックはSBC、aptX、aptX HDに対応。サイズはW76.9×D15.8×H132.2mm、重さは約274g
10. Amazon Music HDやSpotifyの高音質音源を聴きまくれ!
ソニー
「ウォークマン NW-ZX500シリーズ NW-ZX507(64GB)」(実勢価格:8万8000円前後)
OSにAndroid 9.0を採用したハイレゾ対応ウォークマン。384kHz/32bitまでのPCM再生、11.2MHzまでのDSDネイティブ再生をサポート。SpotifyやAmazon Music HDなどの各種音楽サービスが利用可能。サイズは約W57.9×D14.8×H122.6mm、重さは約164g
<構成/津田昌宏 取材・文/河原塚英信>
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- Original:https://www.goodspress.jp/features/322132/
- Source:&GP
- Author:&GP
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