Apple Watchの心拍数アラートが医療現場の圧迫に繋がる可能性も

Apple Watch 心拍数 測定
 
心拍数をモニタリングしてくれるApple Watchですが、異常を検知して発せられるアラートの偽陽性率が高いため、ユーザーに要らぬ心配をかけ、医療現場を圧迫するのではないかとする研究が発表されました。

不整脈のアラートは疾患を意味しない

Mayo Clinicの研究チームによると、Apple Watchの心拍数測定センサーの影響で、医療機関の業務が圧迫されている可能性があるそうです。Apple Watch Series 4以降に搭載されているECG(心電図)機能とは異なり、心拍数の測定機能はすべてのモデルで採用されています。もちろん医療機器ではないため、心拍数が不自然に高いからといって、ただちに何らかの病気を意味するわけではありません。
 
しかし研究チームが行った実験では、4カ月間Apple Watchを被験者264人につけてもらったところ、みな対象期間中に脈拍数の異常が記録されていました。ところが、異常が記録された264人全員のうち、実際にApple Watchで不整脈のアラートが出たのは全体の15.5%(41人)で、残りの84.5%は何も受け取らなかったそうです。さらに事態を複雑にするのは、実際に医療機関で受診するに足るとされたのは全体の11.4%(30名)で、アラートを受け取った41人中では6人でした。つまり、少なくとも41人のうち残りの35人は偽陽性だったことになります。

用心するに越したことはないのも事実

この結果でApple Watchのアラート精度を結論付けることはできませんが、研究報告では「偽陽性のスクリーニング結果がヘルスケアの資源を過剰利用しかねない」として、不正確なアラートで医療現場が圧迫される可能性が危惧されています。実験を行った研究者は「米食品医薬品局(FDA)とAppleは、消費者に広まった無症候性心房細動のスクリーニングが予期せぬ結果を引き起こす可能性を考慮しなければならない」とし、偽陽性結果によって「十分な知識を持たないユーザー」が医療機関に駆け込むことのリスクを指摘しました。
 
確かに多くのユーザーにとっては“心配のしすぎ”なのかも知れません。とはいえ、用心するに越したことはないでしょうし、Apple Watchのアラートで命を救われたといった報告は枚挙に暇がないのも事実です。Apple Watchで救われたユーザーが数多く存在することと、精度の問題は切り分けて考える必要があるでしょう。
 
 
Source:Jamia(Oxford Academic) via Cult of Mac
(kihachi)


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