“ビザール”篠田と“カルチャー”竹石が考える ニューノーマル時代の腕時計


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2020年に入り、僕たちの生活は一変してしまったが、果たしてこれからの時代、腕時計の選び方は変わってくるのか? 本誌で時計連載を担当する篠田哲生と竹石祐三が、互いのライフスタイルを踏まえながら、ニューノーマル時代に手にしたい時計について語り合う。

  • 嗜好品ライター篠田哲生1975年、千葉県出身。時計に携わるようになって15年、スイス取材歴は13年。時計学校も修了し、時計も身銭主義を貫く実践派。本誌では「ビザールウォッチがおもしろすぎる!」を連載中。
  • 時計ライター竹石祐三

——新型コロナウイルスの蔓延により、外出の機会は減りましたが、自粛期間中はどうされていましたか?

篠田:もともとフリーランスだから、あまり外出しないんですよね。

竹石:僕も同じ。自粛になって初めて公共交通機関を使ったのが6月くらい。去年、自転車を買ってからは乗ることが楽しくて、移動は基本的に電車もバスも使わなくなった。

篠田:いいなあ、僕もパナソニックの電動自転車が欲しいから給付金で買おうかな…。

竹石:あれ!? そこは時計じゃないんだ?(笑)

——外出の機会が減ったことで、時計選びの基準は変わりましたか?

篠田:言った通り、そもそもSTAY HOME歴15年ですし、僕自身はあまり変化がない。外出って週に1~2回だから、ちょっと緊張するんですよね。だからこそ家を出るという行為は特別で非日常。逆に、腕時計も含めてちゃんとしたものを身に着けるようになるんです。

竹石:今は人に会うにも、どこかに行くにも目的がはっきりしてるよね。もっと明確にTPOが求められるというか、移動手段が変わるだけで身に着ける腕時計も変わる。自転車でドレスウォッチを着けようとは思わないじゃない。

篠田:そういう意味では、オールマイティーなものより、シーンありきな選び方になっていくでしょうね。

——おふたりはどのようなタイミングで腕時計を購入されますか?

竹石:会社勤めを辞めてフリーランスになったときにカルティエを買いましたね。この自粛期間でも一本購入したし。やっぱり何かの節目で買うことが多いかも。

篠田:フリーランスになる、みたいな所信表明に合わせるのはいいですね。僕も40歳の誕生日に買いましたけど、それ以外は割とメチャクチャかもしれないな。パテック フィリップは「ジュネーブ本店で買うのってカッコよくない?」という理由だけで、出張のときに買いました(笑)。

竹石:僕は支払いのローンが5年周期くらいなので、そこに合わせて新しい一本を探していますね。

——ではズバリ、今欲しい腕時計はなんでしょうか?

竹石:カルチャー的な視点から言うと、自分が好きなフェスやライブ、クラブなどは当分開かれない可能性がある。けれど、それらが好きな人間と会ったときに語れる腕時計っていいんじゃないかな。最近では、ゼニスの「デファイ エル・プリメロ21 カール・コックス エディション」がそう。インダイヤルがレコードのデザインになっていて、見る人が見れば話題になる。あとはスマートウォッチの充電問題をクリアしたGarminのソーラー充電モデル。来年の野外フェスで使いたいんですよね。

篠田:趣味嗜好の近い人と会う機会がメインになりますしね。「何でもいい」ではなく「これがいい」になる。僕はビザール的に言って、ハイコンプリケーション界のシーラカンス的存在である、A.ランゲ & ゾーネの手巻きクロノグラフですね。たまにしか外出しないので、逆にパンチのある腕時計が欲しい。

——まさに“勝負時計”ですね!

竹石:外出するだけで、すべてが勝負時計になりますね。

篠田:ほんとに。家から出るのは特別なことですから、もっと大事に腕時計も選びたいですね。

 

〝ビザール篠田〟が選ぶ
ニューノーマル時代の一本

  • A.ランゲ & ゾーネ
    1815クロノグラフ
    665万5000円
    2時位置のボタンを押すと、スリムなクロノグラフ用センター針が動き始める手巻きムーブメントを搭載。技術的に成熟したストップウォッチを求める愛好家に向けられた時計。手巻き。ピンクゴールドケース、手縫いアリゲーターベルト、ケース径39.5㎜。
外出そのものが非日常となった場合、シーンに合わせたモノ選びが主流になる。例えば主に自転車で移動するなら、ラバーバンドで手首に負担をかけない腕時計を。竹石氏はケース径が小さくNATOバンドを備えたハミルトン「カーキ パイロット パイオニア メカ」をセレクトしたとのこと。

 

〝カルチャー竹石〟が選ぶ
ニューノーマル時代の一本

  • Garmin
    Instinct Dual Power Graphite
    5万1480円
    「Expeditionモード」で最大28日間という驚異のロングバッテリーを実現した、ソーラー充電式のスマートウォッチ。ミルスペックに準拠した耐久性で、どんなアクティビティにも対応する。充電&ソーラー。シリコンストラップ、10気圧防水、ケース径45㎜。

  • DJ界のレジェンド、カール・コックスとゼニスとのコラボモデル(226万6000円)が気になるという竹石氏。これからは、オールマイティーに使えるものより、こうした自分のスタイルに合ったモデルが選ばれると予想する。いかに自らの趣味嗜好を具現化できるかが重要だ。


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