Facebook幹部、iOS14のトラッキング防止機能は「Appleからの攻撃」


 
AppleがiOS14で導入するトラッキング防止機能によって、ターゲティング広告業界は大きな痛手を受けると予想されており、とりわけ広告事業が収益の中核であるFacebookは危機感を募らせています。

「Appleに攻撃を受けている」

Facebookで最高収益責任者(CRO)を務めるデヴィッド・フィッシャー氏は6日、AppleがiOS14で導入する仕様変更によって、自社の広告事業が「攻撃を受けている」と危機感を表明しました。CNBCの取材に対し、フィッシャーCROが「起業家や事業家が頼りにしてきたツールがまさに今脅かされている」と警戒感を顕にするのも無理はありません。
 
Appleがユーザープライバシー強化の一環としてiOS14で導入するターゲティング制限機能は、まさに“広告業界キラー”です。iOS14以降、ユーザーはサードパーティーアプリのトラッキングを許可するか、自分で決めることができるようになります(オプトイン)。つまりユーザーの預かり知らぬところで、閲覧しているWebサイトや位置情報などを取得することはできなくなります。
 
これはターゲティング広告を収入源とするFacebookにとっては大きな痛手で、同社は独自の調査を元にデベロッパーの収益が50%以上減少する可能性があると警告しています。事実、仮にユーザーがトラッキングを拒否した場合、最適化された広告が表示される機会は大きく減るので、以前のように広告に関心を払うこともなくなるでしょう。

Appleは延期を表明したが

「Appleが提案する仕様変更、抜本的な改革は、デベロッパーや事業家の大半を痛めつけることになるだろう」とAppleに再考を促すのは、フィッシャーCROだけではありません。デヴィッド・フィッシャー最高財務責任者(CFO)も「広告を使って拡大を図ろうとするアプリ開発者などにとって、より厳しい状況が待ち受けるだろう」と、iOS14のトラッキング防止機能に懸念を示しています。
 
さすがにAppleも影響力が大きいと考えたのか、トラッキング防止機能の導入は2021年に延期すると表明しています。しかし、広告事業に頼るFacebookやGoogleと異なり、Appleはユーザープライバシーの尊重こそがビジネスの強みであり、他社との大きな差別化に繋がっています。したがって延期は決定しても、導入を取り止めることはないでしょう。
 
 
Source:CNBC via AppleInsider
(kihachi)


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