米国でTwitterの投稿頻度の高いユーザーは民主党支持、しかし一般ユーザーはあまりツイートしないという調査

米国時間10月15日、Pew Research Center(ピュー研究所)が発表した最新の調査報告は、米国の民主党支持者と共和党支持者のTwitter(ツイッター)の使い方の違いを掘り下げている。2019年11月11日から2020年9月14日までに収集したデータから、両党の支持者は非常に頻繁にツイートしているが、その中で最も多くツイートしているTwitter利用者の多くは左派であることがわかった。

この報告は、ピュー研究所が実施し同様の結果を導き出した2019年の調査内容(未訳記事)を更新するものだ。前回の同研究所の調査では、米国人の成人が投稿した全ツイートの80%は、米国人Twitter成人利用者のうちの10%によるものだと判明した。

その数字が、今回は変化した。調査期間中は、最も活発に投稿していた利用者の10%が、米国人の成人によるツイートの92%を占めていた。

さらにこの非常に活発な利用者の69%は、民主党員または民主党支持を自認する個人だ。

しかも、最も活発にTwitterを利用する民主党系の10%が、もっとも活発な共和党系の1カ月あたりのツイート数(79件)のおよそ2倍(157件)の数をツイートしていた。

非常に活発なTwitter利用者(大半が民主党系)のほんのひと握りが米国人成人によるツイートの大部分を占める(画像クレジット:Pew Research Center)

しかし、これらの非常に活発な利用者は、ほとんどのTwitter利用者のツイート内容を代弁しているわけではない。

支持政党の違いに関わりなく、Twitter利用者の大多数は、ごくまれにしかツイートしないことも、ピュー研究所の調べでわかった。

今回の調査期間中、米国人のTwitter成人利用者は、平均して1カ月にわずか1件しか投稿していない。平均的民主党系のツイート回数も1カ月でほんの1件だが、平均的共和党系の投稿数はさらに少ない。

平均的成人のフォロワー数も非常に少なく、平均的民主党系のフォロワー数は32件なのに対して、平均的共和党系は21件だ。しかし民主党系がフォローしているアカウント数は、共和党系のものよりも多く、共和党系の71件に対して126件だった。

民主党系も共和党系もツイート行動は同様に非常に活発な米国人Twitter成人利用者の少数グループに支配されている。左列上から「民主党員、民主党支持」「調査期間中の総ツイート数」「1カ月あたりのツイート数」「フォロワー数」「フォローしている数」「共和党、共和党支持」以下同じ。中央列は「米国成人Twitter利用者」、右列は「最も活動的なTwitter利用者上位10%」(画像クレジット:Pew Research Center)

今回の調査では、新たに別の差異についても調べられている。ツイート頻度のほかに、2つの政党の支持者は、どのように同プラットフォームを利用しているかだ。

まずは、民主党系の60%は、Twitterで自らをリベラル、あるいはどちらかと言えばリベラルだと説明している。それに対して、Twitterを使っていない民主党系がそう主張する割合は43%だった。保守を自認する人たちの場合は、Twitter利用者と利用してない人との間にあまり差がなく、それぞれ60%と62%だった。

また同研究所の調査で判明した米国の成人がもっとも多くフォローしている2つのTwitterアカウントは、バラク・オバマ前大統領(@BarackObama)と、ドナルド・トランプ大統領(@RealDonaldTrump)だった。

当然ながら、オバマ氏のフォロワーには民主党系が多く、共和党系のわずか12%に対して民主党系は42%となっている。一方、トランプ氏のフォロワーは、共和党系が35%、民主党系がわずか13%だった。

そのほかの政治関連の著名人でも同様の傾向が見られる。たとえば、アレクサンドリア・オカシオ=コルテス下院議員(@AOC)のフォロワーは民主党系が16%、共和党系が3%。Fox Newsのパーソナリティータッカー・カールソン氏(@TuckerCarlson)とショーン・ハリス氏(@seanhannity)のフォロワーは、どちらも共和党系が12%、民主党系はわずかに1%だった。

Twitter人気アカウントのフォロワーはどちらかの政党を支持する米国成人に二分される傾向がある(画像クレジット:Pew Research Center)

これは、ピュー研究所の調査結果が示している以上に深刻な問題かも知れない。なぜなら、Twitterのそもそもの目標が人々がオープンに語り合える「公共の広場」を築くことであったにも関わらず、Twitter利用者たちは、ほかのソーシャルメディアで作っているものと同じ、孤立したフィルターバブルで自分たちを囲ってしまったからだ。

Twitterのメインのタイムラインには、フォローしている人のツイートやリツイートだけが表示されるため、利用者は自分たちの側の意見だけを聞き、それを増幅して返しているに過ぎない。

もちろん、この問題はTwitterに限ったことではない。Facebook(フェイスブック)も、利用者に2つの異なるバージョンの真実を配信し続けているとして、この数年間、激しく批判されてきた。2016年、The Wall Street Journal(ウォール・ストリート・ジャーナル)は、「青」のフィードと「赤」のフィードを並べて表示する実験を行い、その対立がいかに強固であるかを示している。

この問題は、双方の政党支持者がTwitterなどの主流のプラットフォームを離れ孤立化を深めていることから、ここ数カ月でさらに深刻化している。保守派は、Gab(ギャブ)やParler(パーラー)といった、言論の自由をうたいファクトチェックを嫌うプラットフォームに集まるようになった。一方、新しいソーシャルネットワークTelepath(テレパス)(未訳記事)は、積極的に偽情報(保守系報道機関から流されることが多いのだが)をブロックし、個人情報を利用したアイデンティティー攻撃を禁止するなどで、左派のユーザーに好まれている。

その他、今回ピュー研究所が調査した内容に、2つの政党支持者のハッシュタグの使い方もある。

調査期間中、米国人Twitter成人利用者の5%以上が、ハッシュタグをまったく使っていないことがわかった。ただしそれは、#BlackLivesMatter(黒人の命も大切だ)においては大きく差異が出た。民主党系利用者の4%がこのハッシュタグでツイートを行ったが、共和党系は1%に過ぎなかった。

双方の政党支持者の間でよく使われたハッシュタグは、#covid10、#coronavirus(コロナウイルス)、@mytwitteranniversary(Twitter記念日)、#newprofilepic(新しいプロフィール写真)、#sweepstakes(懸賞)、#contest(コンテスト)、#giveaway(プレゼント)となっている。

「米国人Twitter成人利用者がもっとも多く使ったハッシュタグ」
画像クレジット:Pew Research Center

しかしこれもまた、ごく一部のツイートでしか使われていないわけだ。

ハッシュタグの人気は下降気味だ。ハッシュタグを使う(Entrepreneur Handbook記事)のは「クールじゃない」と見られる(Mashable記事)こともある。そもそもハッシュタグは、特定の話題を通じて幅広い会話に即座く参加できるように作られたものだ。しかし、それが敬遠されているということは、視野を広めてくれる人たちとのつながりをもたらすツイートが、どんどん減少していることを意味している。

現在Twitterは、「Explore」セクション、トレンドのハイライト、利用者がツイートを調査できるキーワードの検索ツールで、この問題に対処しようと考えている。しかし、Twitterが本気で利用者のフィルターバブルを排除したいと思うのなら、新しい製品を作る必要があるだろう。別の形で利用者同士のつながりを作り、ハッシュタグを付けようが付けまいが、ひとつの言葉にまつわる多様な会話が広がるものだ。

カテゴリー:ネットサービス
タグ:Twitter、政治・選挙

画像クレジット:TechCrunch

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(翻訳:金井哲夫)


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