iOS14で導入予定のトラッキング防止機能、複数企業が苦情申し立て

ios14 トラッキング防止機能 ターゲティング広告
 
2021年より、iOS14ではトラッキング防止機能が利用可能となります。しかし、これによってユーザーに最適化された広告を表示することが難しくなるため、広告ビジネス業界からはAppleに対する批判の声も強まっています。

複数企業が苦情を申し入れ

Appleは2020年のWWDCで、サードパーティーアプリがユーザー情報のトラッキング(追跡)を行うためには、ユーザーの許可を必要としなければならない仕様(オプトイン)をiOS14より導入すると発表しました。これによって、ユーザーがトラッキングを望まなければ、サードパーティー側はiOS上でユーザーのWebサイト閲覧履歴や位置情報などを取得することができなくなります。
 
ユーザーの興味や動向を正しく把握できなくなると、広告事業主はターゲティング広告の展開が難しくなります。そうなると、広告の掲載で消費者を自社のWebサイトに呼び込む企業や、広告の展開を事業にしている企業は大きな打撃を受けることが予想されます。
 
この仕様導入にあたって、フランスのオンライン広告規格組織Interactive Advertising Bureau(IAB)や複数の広告企業が、現地の規制当局に苦情を申し立てていたことが分かりました。Wall Street Journalによると申し入れの内容は、Appleがオプトイン機能を導入すれば大半のユーザーがトラッキングを拒否すると予想されるため、結果として収益の大幅な減少に繋がるというものです。

Appleは「ユーザーの基本的権利」と主張

IABの弁護士は「今までにない、重要な事例だ」と指摘、「プライバシー利用を反競争的行為の隠れ蓑として使うようなものだ」とAppleの行動を独占禁止法違反だと批判します。
 
プラットフォームで広告表示を阻害されると、阻害された側はそうでない企業と同じ土台で競争ができなくなるほか、サードパーティーアプリは公式アプリとの競争が一層厳しくなります。事実、Facebookは「攻撃を受けている」「デベロッパーや事業家の大半を痛めつけることになる」と強く抗議しており、デベロッパーの収益が50%以上減少する可能性があると警告しています。
 
一方、Apple側は「プライバシーは基本的権利だ」と述べ、「ユーザーデータはユーザー自身に帰属するのであり、データを共有するか、誰と共有するかは彼らが決めるべきだ」と主張してきました。ただし、与える影響の大きさは認識しているようで、トラッキング防止機能の導入は、デベロッパーへの影響を低減させるためとして、2021年以降に延期されています。
 
 
Source:WSJ via MacRumors
(kihachi)


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