Juganuが新型コロナウイルスを不活性化する紫外線照射システムを市販

ベンチャーキャピタルが出資するイスラエルのスタートアップJuganuは新型コロナウイルスの除菌に効果のある特定波長の紫外線を用いた照明システムを市販について発表した。同社によれば、新しいテクノロジーは物体の表面を除菌するだけでなく建物内の空間の感染物質を不活性化させ、新型コロナによるパンデミックの拡大防止に効果が期待できる。

同社のJ.Protectはイスラエルのバルリアン大学医学部のMeital Gal-Tanamy(マイテル・ガルタナミ)博士の臨床的研究によって効果があることが示されているという。ただしガルタナミ博士の研究は主としてC型肝炎ウイルスに対するもので、このウイルスは新型コロナのように空気中に浮遊する微粒子を通じて感染するものではない。

Juganuによれば、このプロダクトは米国の48州でEPA(環境保護局)に登録されており、Comcast、 Qualcomm、NCR Corp.の各社がこの環境除菌システムを全米で販売する。

この照明システムはA波長、C波長の2種類の紫外線を用いて物質表面の病原体を破壊し、あるいは不活性化して感染力を失わせるという。

人間が空間内にいる場合システムは8時間の照射でウイルスを不活性化するUV-A紫外線を用いる。空間内に人間が存在しない場合、強力な殺菌力があるUV-Cを照射する。UV-Cは1時間以内にウイルスを不活性化するが人体に危険を及ぼす可能性がある。

Jaganuでは物質表面の除菌に対しては実験を行なっているが空間除菌に関してはまだ実施していない。新型コロナウイルスの感染の主な経路は空間に浮遊するエアロゾル中の微粒子に含まれるウイルスだ。

JuganuのCEOであるEran Ben-Shmuel(エラン・ベンシュムエル)氏はインタビューに対し「この製品はFDA(食品医薬品局)の新型コロナウイルスに関する特例およびEPAから48州での販売をを認められています」と答えている。

ベンシュムエル氏は「Jaganuの紫外線照射テクノロジーはすでにイスラエルとインドで予約販売されています。また現在、米国でシステム設置の準備を進めています」と述べた。

JuganuはこれまでにComcast Ventures、Viola Growth、Amdocs、OurCrowdから総額で5300万ドル(約55億5000万円)のベンチャー資金の調達に成功している。プロダクトはイスラエル、ブラジル、メキシコ、米国をはじめとして世界の自治体や企業に販売されている。

パンデミックによって経済活動が強い打撃を受けた地域ではJaganuの紫外線照射システムのような企業活動の再開を助ける分野が極めて有望なビジネスとなっている。

ベンシュムエル氏は声明で「スマート紫外線システムは物理的環境の安全性を高めるシステムとして最大の機会をもたらす分野です。紫外線システムによって、有害な病原体を不活性化して安全をもたらすだけでなく、日の出から日没までの紫外線をシミュレーションすることによって人々の健康を増進させることも目標としています」と述べた。

【Japan編集部追記】「人体に安全な短波長紫外線によって新型コロナウイルスを不活性化できることを確認した」という研究が広島大学から発表されている。

関連記事
MITの在宅新型コロナ患者の動きと呼吸を検知するワイヤレス装置が遠隔治療をサポートする
MIT製のルンバ似ロボットがボストンの食料倉庫で新型コロナを紫外線で消毒

カテゴリー:ハードウェア
タグ:Juganu新型コロナウイルス

原文へ

(翻訳滑川海彦@Facebook


Amazonベストセラー

返信を残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

CAPTCHA