どんなものでもリモートで作る自称「ハードウェアのGitHub」Wikifactoryが4.7億円を調達

カール・マルクスは「資本論」で、資本主義の奴隷制度の中で自由を獲得するために、労働者は自ら生産する手段を持たねばならないと主張した。おそらくその日は近づきつつある。米国時間12月9日、自称「ハードウェアのGitHub」、Wikifactory(ウィキファクトリー)は、300万ドル(約3億1000万円)の資金調達ラウンドを完了し、シリーズA前の総調達額を450万ドル(約4億7000万円)とした。出資者の名前は明かされていないが、「インパクト投資家」だという。この共同作業プラットフォームは、誰でもほぼどんなものでもリモートで作ることができると謳っている。

Wikifactoryの戦略にある「インパクト」とは、輸送を減らし、コストのかかる在庫を減らす必要があることを意味している。

この資金を使って同社は、「品質が保証された」製造マーケットプレイスを構築し、中国にミラーサーバーを立ち上げて、同国のハードウェア中心地である深圳への参入を図る。Wikifactoryでは現在4カ国語を利用可能で、2021年にシリーズAラウンドを実施した後には20言語に拡張する計画だ。

同社の新しいチャット機能付きCollaborative CADツールを使えば、デザイナーやエンジニア、メーカーや大企業が、コンセプトから最終プロトタイプまで、事実上どんなCADモデルでもリモートで共同作業が可能になる。

こうしてプロダクト開発者は、30種類以上のファイルフォーマットの3Dモデルのレビューや検討を、リアルタイムで行うことができる。背景にあるのは、通常は高価な製品ライフサイクル管理(PLM)ソフトウェアの利用を民主化しようという考えだ。

2019年5月以来、190カ国約7万のプロダクトデベロッパーが、Wikifactoryを使ってロボティクス、電動車両、ドローン、農業テック、持続可能エネルギー家電、実験器具、3Dプリンター、スマート家具、バイオテックファッション素材を作ってきた。命に関わるPPE(個人用保護具)や人工呼吸器などの医療機器も世界的供給不足を受けて製造している。

Wikifactoryの共同ファウンダーで取締役会長であるNicola Peitersen(ニコラ・ペイテルセン)氏は、「物理的なものを作るための国際的コラボレーションはオープンソースと私的プロダクト開発の両方で始まっています。全世界の製造業界の生産高は35兆ドル(約3651兆9000億円)に達し、ついにウェブ時代を迎えたのです。オンラインコラボレーションと分散型製造はいまや主流になりつつあります。私たちはこれを製造のインターネットと呼んでいます」。

さらに彼は、パンデミックのために国際的サプライチェーンが逼迫する中、各地でのプロトタイピングや製造に代わる実行可能なオンライン基盤を、高水準で持続可能なものにすることは、「これまで以上に重要かつ必要です」とつけ加えた。

カテゴリー:ハードウェア
タグ:Wikifactory資金調達

画像クレジット:A 3D model of a ventilator. Credit:Protolabs

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook


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