手術支援AIの事業化を目指すアナウト株式会社の取り組みとは?

2010年代、ビッグデータを背景にディープラーニング(深層学習)が登場し、医療の分野でもAIが本格的に活用される時代が到来した。

手術支援AIを開発する株式会社アナウト(以下、アナウト)が目指すのは、術者の視野をリアルタイムで解析し、対象の臓器を的確にガイドするPrecision Mapping、名付けて「人体の地図」の実用化だ。

手術支援AIの実用化に向けて

アナウトは、AIを活用し安全な外科医療に貢献することをミッションとし、2020年7月に現役の臨床外科医2名によって設立された。

両名は、株式会社インキュビット(以下、インキュビット)が展開するAI共同研究開発プログラムのβ版に参加。深層学習に強いインキュビットが提供するAI技術を核に、手術支援プログラムのプロトタイプをおよそ1年半で作り上げた。

共同開発の末に生み出された「人体の地図(Precision Mapping)」は、実際の外科医自らが開発に携わることで、術中の「認識」や「判断」をより正確に再現することを目指している。

資金調達も実施

当然、こうした技術には課題も少なくない。認識精度の問題は、手術支援AIにとって最初の壁になるだろう。一定の基準に基づく診断行為と異なり、手術中の判断は術者の知識と経験に依存する部分がある。そうした行為の「ブレ」をAIにどう学習させ、なにを持って良しとするか、これを定めるのは容易でない。

アナウトは、手術支援AIの開発を通じて、外科医の技術向上から手術時間の短縮・手術合併症の削減まで目指すとしている。同社は、事業拡大に伴い、Beyond Next Ventures株式会社を引受先とする資金調達を実施。

従来は診断分野に留まっていたAIの医療応用も、いよいよ本格的な手術支援へと駒を進めつつある。トレンドの最先端をいくアナウトは、医療発展への期待と、AIを正しく使う責任の双方を負っている。

PR TIMES(株式会社インキュビット)
PR TIMES(株式会社アナウト)

(文・九条ハル)


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