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売り上げを最速で最大化することが責務
バルミューダの寺尾玄代表取締役社長は、自社のことを「自由な発想で、これまでになかったような体験価値という思いを、商品を軸として提案する会社」と説明する。
2003年、寺尾社長が1人で創業した同社は、リーマンショックの影響などをうけ倒産寸前まで追い込まれたという。そんな同社を救ったのが2010年に登場した扇風機「ザ・グリーンファン」。DCモーターを搭載し、デザイン性にも優れた同製品は、3万円台という高価格にもかかわらず大ヒット。ここからバルミューダの飛躍がはじまった。
同社の名前を広く世に知らしめたのは、バルミューダの代名詞ともいわれる「バルミューダ ザ・トースター」の登場だ。発売した2015年当時、平均単価数千円のトースター市場に2万円という価格で市場にインパクトを与えた。その後の人気ぶりは周知のとおり。国内はもちろん、海外でも高い評価を受けて累計100万台以上販売している大ヒットアイテムとなった。そして2020年12月16日。バルミューダはマザーズ上場へ。公開価格の1,930円を上回り3,150円の初値をつけた。
同社の企業理念は「卓越した創意工夫と最良の科学技術によってどこにもなかった素晴らしい方法を創出し、人の役に立つ」。その理念から誕生したバルミューダの新製品は世に出るたびに注目される存在となった。
「新製品発表会がある」という情報が出ると、メディア関係者の間では発表前から話題になるほどだ。一部では寺尾社長のことを「日本のスティーブ・ジョブズ」と呼ぶ声もきかれる。飛ぶ鳥を落とす勢いの寺尾社長だが、上場初日。東京証券取引所で記者会見にのぞむ寺尾社長は常に厳しい表情を崩さなかった。とてもストップ高で上場初日を終えた企業の社長とは思えない。
今後の展望について「効率化やスリムアップなどということを考えるよりも、対外的なチャンスで非常に含まれているのが現在の我々ではないかと考えており、売上高のトップラインを重要視し、それを最速で最大化していくという戦略を思っております」と力を込める。
では具体的に、どんなプランを持っているのか。バルミューダが目指す今後のあり方とは? 上場会見の記者からに質問に答えた寺尾社長の言葉を書き起こしたところ、同社の今後の方向がみえてきた。(以下文中敬称略)
スケールの解離を埋めるため大きなチャレンジ
記者)初値が売り出し価格を上回ったことに関してと、改めて上場の目的とは?
まず株価についてですが、我々は売り出した会社です。これは市場におまかせするしかありません。ですので、公開価格までは私達関与する域があったんですけれども、初値以降はまさに市場にお任せする。
業績および行動でみせていく以外に、何もなす術がないと考えております。すみません、おもしろいことは言えないですね、この件に関しては。ですので、私はコメントする立場にないと考えておりますので、差し控えさせていただきます。
あらためて、この上場の目標についてですけれども、実は私たちが上場を目指したのはもう5年前のことになります。非常に長い道のりと工程を今日を迎えるために歩んできてしまったな、というふうに考えています。
目的はですね、バルミューダは私が1人で始めた会社で、扇風機を立ち上げた時には3名でした。勘と気合いとラッキーで30億円程度の売上高まではスピーディーにきたんですけれど、その後、在庫の過多に苦しんだり、管理不足に苦しんだりした時期がありました。
そう考えたときに、ここから先、バルミューダを大きく羽ばたかせるためには、勘と気合いとラッキーに加えて、強い管理能力を会社が身につけなければならないなと痛感した時期がありました。これを一気に達成するために、上場企業と同じように動こう、それを会社全体に一気に浸透させるために上場するよ、という旗頭として考えたのが最初なんですね。
つまり、会社の品質向上が実は当初のIPOの目的でした。ですが、そこから5年経つ中で、以前と比べものにならないくらい良い会社になったと自負しておりますけれども、一方で私が思い描いているバルミューダのあるべきスケール、それと現在の我々の実際のスケール、ここに大きな解離が生まれました。
この解離を埋めるのが、バルミューダという会社を生み出した自分の責務だなと考えており、つまりは大きなチャレンジをこれから何度もしていただければなりません。そのチャレンジをするために、当然ながら資金が必要なりますので、資金調達の手段を多く持つことが必要だなというのも含めて、今回実際に上場することになりました。
記者)調達資金の具体的な用途は? 数字も含めて
せっかく調達した資金ですので、なるべく早く投資に回したいというふうに考えるのはやまやまなんですが、例えば人材ですと、人との出会いというのがあるので、直ちに使うこともできません。調達した資金というのは、全て投資に回すつもりです。では、どこに回すかと言いますと、会社というのは、および業績いうのは、私は商品と組織によってのみ成り立つと考えています。
商品だけある会社は、人がいなかったら商品が持ち腐れになりますし、素晴らしい人材だけがいても商品がなければ、大きな成果を生み出せない。つまり私たちの場合、商品と組織、つまり開発、商品の開発の投資および組織の増強ということは、結局は人材の確保やシステムの最良化に主に使っていきます。
同時に商品を開発し、それをお伝えしていくことも大事です。ですので、広告宣伝費などなど、ブランド価値の向上に向けても使っていく。概ねこの3つに資金は投入していきます。その数字的なところとおっしゃいましたけれども、大体割合という意味でお答えさせていただきますと、まあ三等分でしょ。
記者)それは何年ぐらいかけて?
2年の中では完了したいです。
記者)大きなチャレンジとは?
(喉元をおさえながら)ここまで出てきていて、とてもワクワクしている案件がいくつかありますので、本当に皆さんにお教えしたいなと個人的には思っています。
ですが、このような立場になって、このような場ですので、どのようなチャレンジするかは、今、大変残念ながらお答えすることができません。ただ、我々にとって大きなチャレンジであることは間違いないな。それが規模的にという意味です。これは間違いないなっていうふうに考えています。
リコールを出さないための品質管理体制向上
記者)開発プロセス全般に、品質管理が関与するという発想について
一般的な電機メーカーさんでも品質管理および品質保証が非常に重要になっていると思います。これはハードウェアメーカーの宿命的なところでもあると思いますけれども……ビジネスリスクとしてリコールがやっぱり大きいものとして、どの会社さんもあると思います。
そのリスクを最小化するために、品質保証のシステムなど、各社さんは工夫されていると思います。私たちも当然ながら、商品開発企画の段階から量産完了まで、また量産完了、その後、3年間が完了するまで、モデルライフが終わるまでというのが、品質保証がずっと関わる部分で。結局、関わっている時間が最も長いのが、品質保証に関わる人々なんですね。
私たち独自の商品企画がまず最初にありまして、これこそが価値になります。その価値を安心してお客様にお届けするために、私たちも非常に強い品質保証の体制を今とっているんじゃないかな、と。これまで実際に2018年にリコールを起こしてますけど、そうするとせっかくお客さんのお役に立とうと思ってなした行為が、かえって迷惑をかけるってことになってしまうんですね。それは絶対に二度としたくなという思いがあります。
他社さんに比べてもそのプロセスが長いですし、評価の工程が長く、かけている費用も多いです。そうするのは、私たちが割とチャレンジングな商品を作りがちだから。例えば、春にモデルを出して、秋口にかけて値段が下がっていって、秋にもう1回リニューアルのための商品を作るようなことをやらないんですね、私たち。
一度出したら同じモデルを6年でも10年でも売り続けますので、より良い商品を作るためにも初期から、品質に対してのこだわりおよび心配、というのを非常に重要だなと考えておりまして、それができる体制を敷いております。
記者)今期の業績について。コロナ禍による巣ごもり需要の波を感じている?
コロナの影響という意味で言うと、良いことと悪いことがありました。
良いことは「巣ごもり需要」というところと、当然ながら自宅に長くいるという人が増えたので、その品質を上げたいという思いが、おそらく多くの家庭で生まれたのではないか。そんな要望や需要に我々の商品が選ばれたという実感がありました。
おそらくですが、私の肌感覚でいうと、普段のランニングに比べて、10%から特に影響受けた月では15%程度を、良化したのではないか。これは実際には比べられないので、肌感覚になりますけれども、その程度の影響があったのではないかなと思っております。
一方で悪い面は、2020年の春にBluetoothスピーカー、10月にトースターのリニューアルモデル、11月にクリーナーを発売しましたが、それぞれ全てが発売時期およそ3ヶ月遅れました。
これは海外で作ってる商品が多い中で、量産の立ち上げというのはもの作りの中で山場なんですが、通常そこで私たちのエンジニアは普段なら10名から15名、現地に行って設計の詰めおよび、製造の立ち上げ支援をしています。
それが全てできなかったことで、例えば確認しなければいけないサンプルが、本来は現地にいたら1時間で終わるところ、DHLで送ってもらう。それを確認してコメントを出して、次の対応してもらってまた送ってもらうことをしましたので、だいぶ遅れました。
こちらが結局、今期でいいますと、年間で売れるそれぞれの商品の台数が3ヶ月分を全て欠損している状態になりますので、今期業績としてはマイナスの面を作ったと思っています。ですので、私たちにとって良い影響もありましたし、悪い点もありました。
キレの良さと経営判断のスピードと大胆さが強み
記者)大手や新興メーカーと比較したときの、バルミューダの強みは?
キレの良さではないでしょうか。
ーー記者たちがざわつくーー
特にアイデア。および、身勝手なことをするつもりはありませんという前提でお話させていただきますけど、創業社長がいるところだと思います。私のような創業して社長をしている人間は、会社がゼロだった時のことを知っています。
それを知っている人と知らない人では、おそらく経営判断のスピードや大胆さが変わってくるんじゃないかと考えます。「逆にいうと、それはリスキーですよね」という話になると…..まあ……打ち返す言葉がないですが、責任を持って、最も良いそれが、大きな変化であろうと、選べるのが私の強みではないかなって。
その前に、自分たちが信じられる素晴らしいアイデアを出せるのが、私たちの一番の良いところじゃかなと思っておりますので、他社さんと比べての違いという意味では、自由な発想ができるというところだと、私は考えています。
記者)規模が拡大すると権利委譲が必要になる。アートという核の部分を受け継ぐには?
今、私が直接率いているクリエイティブチームがあります。このチームは主に私が持っているアート性の部分を引き継ぎ、また拡大していく役割を持っているチームです。実際に、この2年間発売した商品は、私の部下が発案したものであり、私はディレクターとしてもちろんずっと携わっていますが、デザインも彼らが実際に出しているものです。
ですので、権限委譲というのは、比較的順調に行われ、実施できていると考えており、彼らが活躍の幅と、彼らが持つ責任と自由さというのを、私が社長としてまたディレクターとして最大化していけるかが大きなポイントになるのではないかなと考えています。
今までやっていない広告宣伝にもチャレンジ
記者)投資計画でマーケティングへの支出比率が大きいが、現状でのマーケティングの課題は?
私たちの対外的な宣伝広告活動という意味で言うと、例えば、マスメディアを使った本来やる、最も多い手法の宣伝広告を実はほとんどやっていないんです。
商品力とPRの力で、今の認知度およびイメージのほとんどを作っていて、ここから先、もっと広くのお客様に我々のことを知っていただくために、ある程度の規模感を持った広告活動が必要になるというふうに想定しておりまして。
まあ、これはやったことがないことなので、チャレンジになるとは思うんですけれども、そこは多少厚めに見積もりをして投資計画を組んでいる状況になります。
バルミューダは、グローバル企業になるべきだ
記者)2年前、アジアで認知度が足りないという話をしていた。資金調達したことで海外戦略で考えていることは?
私はバルミューダという会社は、やがてグローバル企業になるべきだと考えています。今、そうではありません。今そうじゃない状態から、なるべき姿まで持っていくには逆算が必要でして。ただちにかかるべきことではないな、というふうに思っています。
これまで、韓国中国台湾、ドイツ、今年から米国にそれぞれ市場参入してますけれども、うまくいくところとかないところがあります。非常に難しいなと正直考えてます。一番のポイントは商品自体かな、とい考えているんですね。
パンをあまり食べない人々に向けて、トースターをたくさん売ることは非常に困難ですし効率が悪い。今、私たちが作ってるのは、基本的に日本向けに最初に作る商品が多くて、それを海外に展開するというパターンが多いですけれども。本当にグローバルを狙うということであれば、グローバルで売れる商品企画をするべきだなと考えておりまして、それがあって初めて効率の良いマーケティング活動ができると考えています。
例えば、韓国では認知度がとれていますけれども、他のアジアの国で同様の認知度を作ろうとした場合、商品力だけに頼ると時間がかかる。で、その時間を買おうとして広告宣伝を強めに打つと、今の我々からすると信じがたいマーケティングコストがかかります。それをするなら商品を作ったほうが早い。いつも結局この結論になるんですけども。
なので、グローバル展開は当然ながらするつもりです。そのために強い武器が必要だなというふうに思っておりますので、先ほど、これからどうするんですかっていうご質問ありましたけど、答えることができません。なんですが、それを踏まえての商品の計画というのを私としては持っているというお答えでよろしいんでしょうか。
韓国での製品発表会。多くの現地メディアが参加した(2019年2月)
上場はめでたくない。一刻も早く会社で仕事したい
記者)上場セレモニーを公開しなかった理由、こだわりは何か?
え~と…….。
ー寺尾社長、しばし無言ー
残念な思いをさせてしまったかなと思っておりまして、申し訳ありません。その残念さに対しては、申し訳ないなというふうに考えております。なぜそうしたかを、今から説明させていただきます。
セレモニーで、まあいわゆるお祝い、祝いという字が出てくるんですが……。なんですが、私は、上場することが、めでたいと思えません。思っていないんです。まずその自分の心理とセレモニーというものの解離があるんですね。
なぜめでたいと思えないかといいますと、これまでバルミューダという会社は、ほぼほぼ私が株主で運転してきたんです。そこに対してですね、他の人々が期待をしていただいていると思うんですけれども、我々に投資してくださる。今度は人のお金を使うことになります。
ー寺尾社長、しばし無言ー
自由度が下がるからやめといた方がいいんじゃないですか、といろんな人に言われました。でも、私は自由度が下がるとは思っていません、上場することによって。難易度が上がると考えています。人々の期待を背負い、かつ敵を回避しながら、会社を運営していくのは非常に困難になるな、と。まあ、困難自体はいいことだと思っているんです。その代わりに我々は大きなチャンスを得られる。
今までも好き勝手やってきたつもりはないですけど、まあ改造した車に仲間だけをのせて調子よく飛ばしていたっていうのが、今までのバルミューダだなと思っているんです。それをバスに改造して、お客さんが乗ってくるっていうのがこれからのバルミューダだと思うんです。で、かつそのお客様たちは安全運行を必ずしも期待されてないっていうふうに私は考えているんですね。
引き続きの快速と、また到達地点が素晴らしい場所であるということを期待されて、乗ってくるお客様だと思っています。その人々をなるべくケガさせることなく、ワクワクさせながら素晴らしい場所まで運転していかなければならない。常に困難です。
難易度がとても上がったなと思っていまして、今日午前からいろんな手続きをしていますけれども、私としては、一刻も早くの会社に帰って仕事するべきというのが現在の心持ちなんです。非常に緊張感を持っていまして、とても祝う気持ちにはなれないというのが正直なところです。
で、じゃあ、なぜセレモニーは非公開で行なったんですか? というを聞かれると思いますけれども、それはこの数々のドラマを生みだしてきた東証という場に対しての敬意と、およびここまで頑張ってきた従業員への感謝です。
この2つを鑑みるとやるときはやるべきだろうなと考えましたので、そんな二つの相反する思いからハッピーな顔を皆さんの前でお披露目できないなと思いましたので、むしろ我々としては、このセレモニーというのは…。節目であるのは間違いないので、これは身内だけで、むしろ厳かに行うべきじゃないかと思いましたことから、皆さまの取材をご遠慮いただいたという経緯があります。
記者)上場すると外部の資金も入ることで、この大胆な挑戦出来なくなってしまっている企業もあるが、上場したからこそ入れる仕組み、逆に変えない部分は?
述べましたように、我々が基本的に原理的に持っている自由さについては一切の変更がないと考えています。むしろそれをいかに行使して、大きな成果を上げていくかということを、今までもやってきたわけなんですけれども、そこに対して使えるお金が増えたんですよね。
つまりチャレンジの枠が増えたというふうに私は考えています。ですが同時に、これも繰り返しになりますが、その枠を増やすと同時に責任も増えているんです。ですので、今までもちゃんとやるべきことを選んできたつもりですが、これからはより選びつつ、大胆でスピーディーな企業活動というのを引き続きやっていこうと思っています。
仕組みはいうと今回のことで、まあまあ上場できるぐらいですので、社内の管理体制は良好に整っている我が社です。この良好さを保ちつつ、組織のパワーを増やすためにはやっぱり組織の拡充、仕組みではないですけれど組織の拡充および、これもずっと行なっていることですけれど、各種プロセスの良化ですね。こちらを引き続きやっていくという答えにしかならないかな、というふうに考えています。
Text by 伊森ちづる
- Original:https://www.digimonostation.jp/0000132981/
- Source:デジモノステーション
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