話題のテント「ソロティピー1 TC」を買ってみて人気の秘密が分かった!

パップテントっぽいインナー付きテント「ソロベース」で一躍有名になったバンドック(BUNDOK)ですが、まだまだ無骨好きキャンパーの熱い視線が注がれています。Amazonのテント売れ筋ランキング1位(2020年12月)を記録したワンポールテント「ソロティピー1 TC」(2万4800円/2020年12月現在のAmazonでの価格)です。

フライはコットン35%・ポリエステル65%の混紡生地、ジュラルミンポール、そしてポリエステルメッシュのインナーがついて実勢価格はアンダー3万円! すこぶるコスパがいいテントに仕上げています。

写真で見る限りですがかなりいい雰囲気だし、リーズナブル。とはいえそれだけじゃあ納得できません。売れているテントにはそれだけの理由があるはず。そう考えた編集部員が自腹を切って手に入れ、検証することにしました。
 

■ワンポールらしい設営しやすさ

「ソロティピー1 TC」の初張り。頭の中でのシミュレーションは万全ですが、果たして説明書なしでうまくできるでしょうか?

収納サイズはφ24×44cm、重量4.8kg。ソロ用テントではありますが、TC素材なのでやはりズッシリ腕にきます。付属品はフライシート、インナーテント、メインポールとサブポール(ともにジュラルミン)、張り綱、ペグ。張り綱は滑りやすい素材なので取り替えたほうが使いやすいかも。

TC素材のライバルと比べてみたところ、重量・収納サイズはほぼ同じ。サブポール付きと考えれば上出来でしょう。

設営は一般的なワンポールテントと同じ。インナーを取り付ける側はパネルの真ん中にファスナーがあり、インナーをつけない前方パネルは向かって左側にファスナーが伸びます。これが注意点でしょうか。

フロア自体は四角なので、直角になるようにフライシートの四隅をペグで固定します。一発で設営が決まるテープはついていませんが、価格を考えれば仕方なし。直角を意識すればいいので、ポールを立ててからの微調整はほぼ不要。

メインポールを立てます。重量感のあるTC幕を支えるわけですから、φ16mmポールではちょっと頼りない感じ。でも万が一、ポールに不具合があっても、テントの外側と頂上部分にループが付いているので、木と木の間に渡したロープに引っ掛けて設営できそうです。

インナーテントとフライシートはバックルとトグルでとめます。四隅と天頂部は大きめのバックルなのでグローブをした手でとめやすく、寒い時期も安心。ただ、ブーツで踏みつけると壊れるので気をつけましょう。

また、インナーには前後があるのでテープの仕様(縫い糸の色)で確認します。

ベンチレーターを広げ、張り綱で固定したら完成。インナーは前後ともにメッシュで、夏は虫の心配なく涼しく過ごせそう。ちなみにインナーの下に敷いたシートは付属品ではありません。

 

■スカートは巻き上げOK

TCはコットンよりも軽く、焚き火の熱にもまずまず強い素材です。半面、冬は寒い印象があります。12月上旬に「ソロティピー1 TC」で2泊してみました。

バンドックにはフライシートがポリエステルのテント「ソロティピー1」があります。大きさは同じですが、「ソロティピー1」のフライシートにはスカートが付いていません。また前パネルの仕組みが異なるので重量は2.2kg。

「ソロティピー1 TC」は、フライの素材が変わるとともに、待望のスカート付きに。これで冷気の侵入を大幅に軽減できます。

しかもトグルでフライシートのすそを巻き上げられるため夏対策も万全。

今回は最低気温が5℃程度だったので、冬用寝袋を使えば寒くて眠れないなんてことはありませんでしたが、珍しく靴下を脱いで寝たので足先がちょっと冷えました。足先の冷えは靴下が原因か、わずかながらの隙間が原因かは不明です。

■シェルターみたいな使い方もあり

前パネルは二重構造になっていて、大きく広がるのがキモ。設営時に内側になっているパネルは、ファスナーでさらに半分に分割できるので、設営のバリエーションが多彩なんです。

通常の四角いフロアのワンポールで全閉、片側張り上げ、日陰が増える両側張り上げの3通りを試してみました。

寝るときはこのように前方ファスナーを閉じます。よくあるワンポールテントのシルエットです。サイズは240×240×H150cm、インナーは220×100×H135cm。インナーにローコットを入れるなら、後ろ側から入れるとメインポールが干渉しません。

前パネルの片側張り上げると個性的なシルエットになり、開放感が生まれます。

どのぐらいの広さなのか、試しにogawa「ハイアンドローコットワイド」を入れてみました。

▲ハイ(高さ42cm)

▲ロー(高さ25cm)

ハイではかなり中央寄りに置く必要があります。ローにしないとデッドスペースがもったいない!

よくあるキャノピーでのくつろぎシーンを再現。ヘリノックス「チェアツー」だとサブポールの脇でないと頭がついちゃいますが、片側が上がっているので圧迫感はありません。もちろん、もっと内側に入ればチェアに座ってくつろげますが、荷物が多い人は動きがかなり制限されます。

前パネルの両側をつなげて張り上げるとシェルターっぽい雰囲気。チェアに座るとかなり圧迫感がありますが、プライベート感は抜群。パネルが広がった分、室内は広くなるので雨や風のある日に引きこもるのにいいでしょう。

▲地べたスタイルなら高さも余裕アリ

全閉にすると前パネルのファスナーが遠く、あまった布が邪魔。縫い目や力のかかる部分がやや甘いなど微妙なところもありますが、設営バリエを考える楽しみがあります。それにコスパがいいのでためらわずにカスタムOK。

そのままでも当たり前に宿泊できますが、編集部でも「カスタムするならどうしよう、こうしよう」とアイデアが出ていました。

「ソロティピー1 TC」には、完成度の高いテントにはないワクワクがある。これが大きな武器だと言えるでしょう。

>> バンドック(カワセ)

<取材・文/大森弘恵 写真/田口陽介>

大森弘恵|フリーランスのライター、編集者。記事のテーマはアウトドア、旅行、ときどき料理。Twitter

 

 

 

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