英国の競争・市場規制当局は、NVIDIA(エヌビディア)によるArm Holdingsの買収について意見を求めており、この「Nvidia-Arm」買収が競争に与える潜在的な影響について正式な監督を開始する準備を進めている。
昨年9月に発表された、米国を拠点とするチップメーカーによる400億ドル(約4兆1530億円)での英国チップデザイナーの買収は、英国の雇用、産業戦略・経済主権、さらには国家安全保障への影響など、国内で様々な懸念を引き起こしたが、競争・市場庁(Competition & Markets Authority, CMA)の調査は、競争に関連した影響の可能性にのみ焦点を当てることになる。
英国時間1月6日のプレスリリースによると、Arm社が買収後、「NVIDIAのライバル企業に対しIPライセンシングサービスの撤退、値上げ、品質低下」を行うインセンティブがあるかどうかを調査する可能性が高いとされる。
CMAは、正式な調査の開始に先立ち、1月27日までに買収に関するコメントを募集している。第一段階の調査では、外部からのコメントの機会を追加して設ける予定であるとのことだが、CMAによると、買収に関する決定を下す時期は未定とのこと。
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CMAの最高責任者であるAndrea Coscelli(アンドレア・コスチェリ)氏は声明で次のように述べている。「チップ技術産業は数十億ドルの価値があり、私たちが日常生活で最も多く使用している製品の多くにとって重要なものです。我々は、世界中の他の競争当局と緊密に協力して、この取引の影響を慎重に検討し、最終的に消費者がより高価な製品や低品質の製品に直面することのないように努めます。」
NVIDIAによるArm買収が英国に与える影響について警鐘を鳴らしている人物の一人は、Armの元々の創業者であるHermann Hauser(ヘルマン・ハウザー)氏に他ならない。
ハウザー氏は2020年9月に首相に手紙を出し、英国の雇用やArm社のビジネスモデル、経済主権の将来への影響について「非常に懸念している」と述べた。
ハウザー氏が反対の署名を集めるために立ち上げたウェブサイト(savearm.co.uk)によると、10月12日時点で2000人以上の署名が集まっているという。
CMAだけでなく、他の多くの国際的な規制当局がこの取引を精査することになり、NVIDIAは9月に、クリアランスプロセスには一年半かかると予想していると述べている。
英国の懸念を先取りしようと、同社はエンジニアリング事業の中核的な部分として、ケンブリッジにあるArmのオフィスを2倍に拡張するとともに、そこに「AI研究の拠点となる新たなグローバルセンター」を設立すると述べた。
CMAは、NVIDIAのArm買収に関して諸方面から出されているより広範な国家安全保障上の懸念について、英国政府は「適切な場合」公益介入通知を発行することを選択できると指摘している。
Armは、2016年にはソフトバンクに約310億ドル(約3兆2181億円)で買収された。
その後の同社をNVIDIAに売却する取引は現金と株式交換による買収契約で、ソフトバンクへの即時20億ドル(約2076億円)の現金支払いが含まれていた。しかし、この取引の価値の大部分は、規制当局の認可が下りた後、取引終了時にNVIDIAの株式で支払われることになっている。
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カテゴリー:ハードウェア
タグ:NVIDIA ソフトバンク 買収
[原文へ]
(翻訳:Nakazato)
- Original:https://jp.techcrunch.com/2021/01/08/2021-01-06-uks-markets-regulator-asks-for-views-on-nvidia-arm/
- Source:TechCrunch Japan
- Author:Natasha Lomas
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