特許のためのナレッジグラフ方式の検索エンジンを提供するIPRally

特許の検索という問題の解決を目指すフィンランドの新進スタートアップIPRallyが、シード資金200万ユーロ(約2億5000万円)を調達した。

ラウンドをリードしたのはJOIN CapitalとSpintop Ventures、これにプレシードの支援をしたIcebreaker VCが参加した。2018年に創業した同社の調達総額は235万ユーロ(約3億円)となる。

共同創業者でCEOのSakari Arvela(サカリ・アルヴェラ)氏は、パテント弁護士として15年の経験がある。IPRallyは、知識グラフを作ってマシンが特許の技術的詳細を理解できるようにし、また人間が既存の特許を効率的に調べられるようにしている。同社の基本命題は、特許の検索にはシンプルなキーワード検索や自然言語のテキストによる検索よりも、グラフベースのアプローチがより適してい、というものだ。

アルヴェラ氏によると、公布される特許をすべてシンプルな知識グラフに純化すればIPのプロフェッショナルにとって理解しやすい情報になり、また機械可読性も限りなく向上する。

「IPRallyは2018年4月に創業したが、その前の1年間は共同創業者でCTOのJuho Kallio(ジュホ・カリオ)と一緒に資金集めや概念実証に奔走した。その前の約2年間はグラフ方式についてしっかり勉強して、ベンチャー企業を始められるための自信をつけた」とアルヴェラ氏は語る。

アルヴェラ氏によると、特許の検索はテクノロジーに対する深い理解と、異なるテクノロジーを詳細に比較できる能力が必要であり難しい問題だという。

「だから特許システムができてから今日までずっと、検索は完全に手作業で行われていた。また、最新の機械学習のモデルですら、この問題の正確な解の提供には程遠い。そこで私たちは特許というドメインに特化したMLのモデルを開発し、人間のプロが検索をするときのやり方を反映できるようにし、同時に問題をコンピュータにとって扱いやすいかたちにした」とアルヴェラ氏はいう。

そのやり方はうまく行ったようで、IPRallyはすでにSpotifyやABBなどの顧客が利用し、また知財関連の役所や法律事務所も使っている。同社が狙っている顧客は、自分たちのR&Dを特許で積極的に保護していたり、製品開発などで競合他社の知財権をいつも詳しく調べなければならないような企業だ。

とはいえ、IPRally自身にも競合はある。従来的なキーワード検索の検索エンジンで現在の市場を支配している大手のClarivateやQuestelをアルヴェラ氏は挙げている。

また、AmplifiedやIPScreenerなど、AIベースのスタートアップもすでにかなりある。しかしアルヴェラ氏の主張によると「IPRallyのグラフ方式の方がずっと正確な検索が可能で、コンピュータによる詳細な分析もできる。しかもユーザーに十分な説明ができ、ユーザー自身がコントロールできる、ブラックボックスではないソリューションを提供できる」という。

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カテゴリー:ソフトウェア
タグ:IPRally特許資金調達

画像クレジット:IPRally

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa


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