アンダー10万円で選ぶステップアップオーディオ【趣味空間を作る傑作モノ】

【特集】趣味空間を作る傑作モノ

おうち時間が増えたことで、より良い音を楽しみたいと考える人が増えている。現状のオーディオ機器からのステップアップを目指すなら、まず注目すべきは “ アンプ ”と“ スピーカー ”。アンダー10万円の投資でも音は確実に良くなるからだ。オススメの組み合わせをオーディオ・ビジュアルライターの折原一也さんが提示してくれた。

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昨今は省スペース性や携行性といった利便性の観点から、アンプ一体型のポータブルスピーカーやスピーカーが人気だ。とはいえ、アンプとスピーカーはそもそも役割が異なるものだと折原さんはいう。

「アンプは電源や電子回路が搭載されていて、プレーヤーからの音楽信号を増幅させてスピーカーへと伝えるものです。対するスピーカーは箱であり、音楽信号によって中の振動板を振動させ、音を放出しています」

今回フォーカスする単体のアンプ&スピーカーは本来の役割に特化したものだけに、当然、音の再現性に優れると折原さん。

「アンプ一体型のスピーカーと比べ、単体アンプの出力はケタ違いに高く、スピーカーも単体式の方が箱が大きい分、音が良くなる可能性を秘めています。こうした関係性はカメラに似ていますね。初心者のうちはコンデジでも満足できますが、もっといい写真を撮りたくなってくると、レンズ交換式の方が撮り手の思いを写真に盛り込めるようになります。同様に、アンプとスピーカーも個別にセレクトすることで、好みの音に近づけることができるんです。まずはここに挙げた総額10万円以下のセットから音のステップアップを楽しんでみてください」

 

折原一也さん
PC系出版社の編集職を経て、独立。オーディオ・ビジ ュアル専門誌やWeb媒体、商品情報誌などで、トレンド解説や製品レビューなど多彩な記事を執筆。2009年よりVGP(ビジュアルグランプリ)審査員も務める

 

■「ネットワーク&USB対応アンプ」基準

ネット上に多彩な音源が存在する今、注目したいのがネットワーク&USB対応アンプを中心としたセットだ。Wi-FiやUSBなどでPCやAirPlayとつながるのはもちろん、Spotify等の配信サービスもカバー。サラウンド再生には非対応ゆえ、ステレオサウンドだけで十分という人に向いている。

1. 空間表現に優れたさわやかな音を味わえる

マランツ「NR1200」は新ジャンルを築いた注目作。マランツのアンプは上品な音が特徴ですが、それに合うスピーカーはデンマーク・DALIの「SPEKTOR1」。さわやかでナチュラルな欧州サウンドを楽しめます(折原さん)

マランツ
「NR1200」(実勢価格:6万5000円前後)

Wi-FiやBluetoothでの接続に加え、HDMIによる映像機器とのリンクも可能な人気モデル。定格出力75W+75W(8Ω)のフルディスクリート・パワーアンプの搭載や高音質パーツにより音質も追求している。

DALI
「SPEKTOR 1」(実勢価格:2万7000円前後<ペア>)

デスクトップなどでも使えるコンパクトなスピーカー。ウッド・ファイバー・コーンで構成された115mmのウーハーと21mmのシルク·ドーム·ツィーターが、筐体サイズを感じさせない優れた音質を実現する。

 

2. ライブやロックなど力強い音に向いた構成

机上でいい音を楽しめる「PMA-60」はデノンらしい力強い音が特徴。好相性なのは旋律がしっかりした情熱的な音を奏でるJBL「STAGE A120」で、ライブ音源やロックの再生に向いています(折原さん)

デノン
「PMA-60」(実勢価格:5万円前後)

レイアウトの縦置き・横置きを選ばない、USB-DAC搭載のBluetooth&NFC対応機。デジタルアンプDDFAの最新世代や、デノンが誇るHi-Fiオーディオテクノロジーなどを惜しみなく搭載し、デスクトップサイズでも高音質を実現した。

JBL
「STAGE A120」(実勢価格:2万2000円前後<ペア>)

独自の定指向性ホーンデザインに、114mmのPolycelluloseコーン・ウーファーを組み合わせた。内部損失が適度なアルミ製ダイアフラムを25mm径ドームツイーターに採用し、透明感豊かな高音域再生を実現する。

 

■「プリメインアンプ」基準

プレーヤーとスピーカーとの橋渡し役として、昔ながらの純粋なプリメインアンプを用いたセット。アンプ自体にネットワーク機能が搭載されていないため、別途、ケーブル類でCDプレーヤーやiPodなどと接続する必要がある。質実剛健な組み合わせだが、その分、ピュアなステレオサウンドの追求には理想的といえるかもしれない。

 

3. 繊細な音から迫力サウンドまでカバー!

FOSTEX「AP20d」は小さくて端子類も最低限しかありませんが手堅くいい音を創出します。オススメの組み合わせとなるモニタオーディオの「BRONZE50-6G」は、低出力アンプと組み合わせても驚くほどいい音を奏でます(折原さん)

FOSTEX
「AP20d」(実勢価格:1万8000円前後)

デジタルアンプを搭載したコンパクト機。電源回路や各種パーツを見直すことでハイレゾに対応するとともに、音質も大幅に向上した。従来モデルと比べ、出力も20W+20W(4Ω)へと強化。

モニタオーディオ
「BRONZE50-6G」(実勢価格:6万6000円前後<ペア>)

クラスを超えた音と美しい造形が魅力。独自のUDウェーブガイドがツィーターから放たれる音の放射特性をコントロールし、指向性の向上などを実現。ゴールドC-CAMツィーターの性能をフルに引き出す。

 

4. UKサウンドを堪能できるコンビ

ケンブリッジオーディオの「TOPAZ AM5」はニュートラルな音が特徴です。そこに組み合わせたいのは人気上昇中のKEF「Q350」。小型スピーカーとしては大柄ですが、その分、低音域に迫力があり、音像もしっかりしています(折原さん)

ケンブリッジオーディオ
「TOPAZ AM5」(実勢価格:2万円前後)

フルサイズの筐体に大型スピーカーにも対応できる大型電源を内蔵。各チャンネルの定格出力をあえて25Wと控えめにすることで広い音域に対応し、不得手な音楽ジャンルをなくしている。

KEF
「Q350」(実勢価格:7万4800円前後)

限られたスペースでも驚異的な性能を発揮。ポートのデザインに流体力学を応用することで中音域がさらに明瞭に。Uni-Qドライバーの搭載により、美しく統合された3次元再生も実現している。

 

■「AVアンプ」基準

音に加えて映像データも処理するAVアンプ。サウンド側には5.1chなど複数のスピーカーを鳴らす回路を搭載するが、ステレオサウンドにももちろん対応。Wi-Fiを始めとするネットワーク機能やHDMI接続にも対応しているため、AVアンプ基準の組み合わせはマルチな音源を楽しめる。

 

5. 西海岸らしいスカッと迫力あるサウンド

「AVR-X1600H」はデノンらしい力強い音が魅力で、それはステレオ再生でも変わりません。そこに組み合わせたいのはクリプシュ「R-51M」。ホーン型スピーカーならではのスカッと迫力ある音を味わえます(折原さん)

デノン
「AVR-X1600H」(実勢価格:5万円前後)

新世代のオブジェトオーディオ技術Dolby AtmosとDTS:Xに対応。最新のバーチャルDサラウンドテクノロジーにより、ステレオ環境でも高さ方向を含むあらゆる方向からの音で包み込む。

クリプシュ
「R-51M」(実勢価格:4万円前後<ペア>)

驚くほど正確な音を再現できる独自のTractrixホーンが特徴。軽量かつ高強度のカプトンをツイーターのサスペンションに使用し、繊細な音のひずみを最小限に抑えつつ高解像度の音を再現する。

 

6. 同じ音の指向でそろえられる貴重なセット

ヤマハの「RX-V4A」と「NS-B330」は、最新のAVアンプとスピーカーを同じブランドでそろえられる今や珍しいコンビ。聞き心地のいい中高音域など、ヤマハ自慢のナチュラルサウンドは健在です(折原さん)

ヤマハ
「RX-V4A」(実勢価格:5万円前後)

一新された回路構成で、ステレオサウンドを始めとするエンタメを快適に楽しめる5.1chネットワークAVレシーバー。Wi-Fi、AirPlay2、Spotifyに加えAmazon Alexaデバイスでの音声操作にも対応する。

ヤマハ
「クリプシュ NS-B330」(実勢価格:3万4000円前後)

ハイレゾに対応した3cmブラックアノダイズド・アルミツイーターがリアルで厚みのある高音域再生を実現。一方の低音域は、13cmPMDコーンウーファーで量感と抜けの良さを追求している。

※2021年2月5日発売「GoodsPress」3月号掲載記事をもとに構成しています

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<取材・文/アップ・ヴィレッジ>

 

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