リモート環境にも適した福利厚生サービス「miive」(ミーブ)を手がけるmiiveは2月17日、総額5000万円の資金調達を発表した。引受先は、サイバーエージェント・キャピタル、ジェネシア・ベンチャーズ。
調達した資金は、同社ビジョン「世界で最も優しいプロダクトを創る」の実現に向け、開発・人材採用に投資する。事業をより一層加速させ、福利厚生市場をリードしていくテクノロジー企業として、邁進していくとしている。
なおmiiveは、4月下旬に正式版リリース予定。サービス開始に先立ち、現在事前登録を受け付けている。
福利厚生に力を入れる企業が増加する中、利用するための仕組みやコンテンツが20年前と変わっていない
代表取締役の栗田廉氏がmiiveに取り組むことになった背景には、健康経営シフトや働き方改革の効果が広がっている影響があるという。特に、経済産業省による健康経営優良法人制度の認定数(中小規模法人)が2016年度は300社程度だったものが、2018年度3000社と大幅に増加したことを挙げた。福利厚生に力を入れている企業が増えており、従業員の健康に対する投資が当たり前になり、贅沢品から必需品に変わりつつあると指摘した。
また福利厚生は、投資効果が高い点を紹介。ジョンソン・エンド・ジョンソン(J&J)が、グループ世界250社約11万4000人に健康教育プログラムを提供し、投資に対するリターンを試算した際、健康経営に対する投資1ドルに対して3ドル分の投資リターンがあるとの調査結果が得られたという。
日本においても健康経営の効果に関する調査結果が出揃いつつあり、9割以上の企業が生産性向上、企業イメージの向上、離職率の低下などの効果を上げているとした。
栗田氏は、その一方で、コンテンツの部分が20年前と変わっておらず、改善の余地があるという。「2025年には、ミレニアル世代が労働者の8割以上が占めるようになる。この層にはすでに刺さらなくなってきている」とした。
UX、使い勝手でも課題がある。例えば従業員がスキー場のリフト券の割引を使うという場合、利用する従業員人数分の領収書を発行してもらい総務に申請。その後総務が福利厚生のアウトソーシング企業に郵送するなどの手間が発生する。
1年に1回以上福利厚生を利用する者は2~4割程度で、1年に1回も利用しない者は7~8割に上るそうだ。
栗田氏は、これらを受け、福利厚生サービスに関する予算枠があるのなら、その枠内で企業と従業員の両方に有効な利用法を提供できないかと考えたという。
またリモートワークの定着をはじめとする働き方改革の中、従来の社食やオフィスの自動販売機といった規模の大きなものではなく、従業員の働き方や働く場所に合わせて必要になるとして、プリペイドカード型福利厚生として、miiveに取り組み始めたと明かした。
場所・時間を問わず、リモートワークでも利用しやすいコンテンツ
栗田氏によると、「miiveが従来の福利厚生サービスと異なる点は、コンテンツの柔軟さと場所・時間を選ばない点」にあるという。
miiveでは、企業からプリペイドカードを従業員に発行し、これを経由する形でポイントとして福利厚生を従業員に支給。従業員は、このポイントを使って各種コンテンツを利用できる。ポイント利用先としては様々なVisa加盟店を用意しており、企業が自社の方針に合わせて利用先をカスタマイズし、福利厚生として精算できるようになっている。
また福利厚生として計上するには、国が定めた要件に従う必要があり、例えばコンビニはじめ何らかのサービスでポイントを食事用途で利用する場合、従業員自身が利用額の半分を負担しなければならないという。
これに応えるため、miiveのプリペイドカードは従業員自身のクレジットカードからもチャージできるようにしている。1枚のカードに、企業のポイントと従業員自身のチャージ分の2種類のマネーを内包しており、先の食事用途の例であれば、福利厚生として計上されるようこれら2種類が利用金額の50%ずつ引き落とされるという。
コンテンツについては、Visa加盟店の中から企業がカスタマイズし自由に設定でき、管理画面からいつでも追加・変更可能だ。食事・ファッション・ジム・エステなどを用意しており、身だしなみをキチンとしてほしいなど導入企業の意図を反映できるようになっている。ちなみにmiive自身の場合は、従業員に健康的な食事をとってほしいと考えて、食事用途を「厚く」しているそうだ。
柔軟な働き方や働き方改革は、福利厚生をセットにして初めて成功する
miiveでの1カ月あたりの支給ポイントは、様々なニーズに柔軟に対応できるよう5000~1万ポイントを想定しているそうだ。従業員による自発的な福利厚生の利用は、給与アップに比べ満足度の向上や離職率の低下に対して高い投資対効果が見込めるためという。
またmiiveの場合、例えば部活手当はじめ、自社コンテンツを従業員が利用した場合ポイント還元を優遇したり、ベビーシッター手当を用意したりなど、企業ごとに独自の福利厚生を簡単に構築できる点を挙げた。
柔軟な働き方に関する課題として、同僚間のコミュニケーションの低下や、従業員が企業に大切にされていないと感じる傾向が挙げられるようになっている。この状況に対して、栗田氏は「柔軟な働き方や働き方改革は、福利厚生をセットにして初めて成功する」と考えているという。早期から柔軟な働き方を採用している企業の場合、社内コミュニケーションの活性化など独自の福利厚生にも取り組み、従業員の満足度を高めているからだ。
企業独自の福利厚生の場合、立て替え申請や領収書のとりまとめ、経理の振込といった手間や時間を要するといった課題があるが、従業員による申請などはアプリによって行えるため、企業側の負担もmiiveにより一切なくなるそうだ。
また福利厚生は税務メリットも大きいものの、従業員にとっては申請などが面倒といった点が利用機会の低減につながっていたため、これもmiiveによって解決できるとした。
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カテゴリー:フィンテック
タグ:HRテック(用語)、資金調達(用語)、福利厚生、miive、日本(国・地域)
- Original:https://jp.techcrunch.com/2021/02/17/2021-02-17-miive-fundraising/
- Source:TechCrunch Japan
- Author:Takashi Higa
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