近頃、仕事の未来と分散したスタッフのための新しくてより便利なツールの広がりが話題になるが、車両管理ソフトウェアの開発に焦点を合わせている企業は、あまり「技術系スタートアップ」とみなされていない企業でさえ、すでに何年にも渡ってこの問題に取り組んできた。2021年2月第1週、この分野の古参企業の1つが最初の重要な投資ラウンドを発表した。これは投資家たちがこうしたB2B企業にいかに注目し、いかに企業自体も新たな成長の機会と捉えているかの証だ。
BigChangeは、車両が「オフィス」になりがちな外回り業務の追跡や指示の支援をする、車両管理ソフトウェアを開発している英国のスタートアップで、7500万ポンド(約107億6000万円)のラウンドを完了したところだ。このラウンドは米国の投資会社であるGreat Hill Partnersが主導している。
同社はフィールドサービスエンジニア、社内で業務管理を行うスタッフや、これまでは電話をかけ、書類を作成し、オフィスと現場の間を往復して業務を行っていたスタッフ向けに、テクノロジーの進歩を活用してアプリを開発することでビジネスを築き上げてきた。
「21世紀にふさわしいモバイルワーカー管理への大変革をもたらすために、BigChangeを設立しました。当社のプラットフォームは、ペーパーワークをなくして炭素を劇的に削減し、効率を上げて安全運転を促進することで、エンジニアの移動や書類の記入にかかる時間を減らし、本来の業務にかけられる時間を増やせます」と設立者でCEOのマーティン・ポート氏は声明で述べた。「Great Hillと提携し、英国および海外でバーティカルおよびエンタープライズソフトウェア企業の拡大に成功を収めた同社の実績を活用できることをうれしく思います」。
BigChangeによると、同社に対するGreat Hillの出資額は1億ポンド(約144億5千万円)となっている。あるレポートによると、そのうちの4800万ポンド(約69億3500万円)をポート氏が手にしており、今回の資金調達は二次取引だと指摘している。同社は2012年から存在し、利益を上げているようだ。PitchBookが追跡した報告書によると、これ以前の資金調達は極めて少なく(約200万ドル、日本円で約2億1000万円)、ある時点でエンジェルラウンドの資金調達を試みたが、完了前にプロセスをキャンセルしている。
テクノロジー業界は基本的には、世の中のあらゆる業界の一部となり続けているため、この取引は、その境界がいかにして拡大し、さらに曖昧になっていくのかを示すものとして注目に値する。
BigChangeはロンドンからのスタートアップ企業でもなければ、ケンブリッジやオックスフォード地域、ブリストルや南部からでもない。具体的にいえば北部、リーズで始まった。都市部や南部地域のスタートアップ企業が引きつける資金調達や注目はなかったが、そこには見事なまでの多くのスタートアップ企業が存在する。(目を引く例外の1つは、オンラインストアのPharmacy2Uだ。このリーズのスタートアップ企業はAtomico、BGFなどによって支援されており、Amazonのような企業がこの分野での成長に関心を寄せていることを考慮すると、注目株の可能性が高いといえる)
現時点のテクノロジーの大きな課題の1つは、いかに多くの活動が分散されつつあるのかということだ。現在、新型コロナウイルスの蔓延を食い止めるために私たちの多くがリモートで働いている結果、たくさんの人々がこうした状況を利用して特定の場所に住む必要がまったくないと考え、ベイエリアのような高級地域から生活の質を高めるために他の場所へと移住することを選択している。
もちろん英国には、(長年に渡って米国の多くの都市にあったように)テクノロジーエコシステムを備えたマンチェスター、エジンバラ、カーディフなどのような都市がある。だが、これらの都市の1つ、今回はリーズが、かなりの資金調達ラウンドを引きつけていることで、才能だけでなく、より多額の資金が意外な地域に流れ込む同様の展開が英国で起きる可能性があることも示している。
ここで焦点を当てているのは、BigChangeが実際に構築しているその他の分散化に関する話だ。
同社は「ナレッジワーカー」ではなく、デスクに座らず、移動しながら業務を行うスタッフ向けのアプリやより大きなソフトウェアの開発分野に参入した数多くの企業の1つだ。外回りのスタッフには、業務やルートをより適切に管理することができる(JourneyWatchと呼ばれる)アプリがある。発送業務の際には追跡を行うアプリがあり、ソフトウェアを使用して仕事のバランスを取り、業務のさらなる分析も行うことができる(JobWatchとして販売されている)。これらは耐久性のあるデバイスで動作し、ディストリビューションはSaaSアーキテクチャに依存している。現在、世界中と取引があるものの、大半の顧客を英国国内に抱える約1500の企業に勤務するおよそ5万人がアプリを使用している。
BigChangeはこの分野のスタッフを対象とする唯一の企業ではない。TechCrunchでは2021年1月、サービスプロフェッショナル向けのソフトウェアを開発する企業の1つである北米のJobberを取り上げたばかりだ。ナレッジワーカー以外の幅広いオーディエンスにテクノロジーを提供する機会を生かしているその他の企業には、Hover(家の修理担当者が材料の調達、価格の設定、作業の見積もりやビジネスの管理を行うためのテクノロジーと幅広いツール一式を提供)や、GoSite(あらゆる種類のSMBを支援するプラットフォームを提供)などがある。この特定分野のその他の企業は、Klipboard、Azuga、ServiceTitan、ServiceMaxなどがある。
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Great Hill Partnersの名称はGizmodo、(かつての)Ziff Davis、Storyblocksなどのさまざまなメディア企業や、The RealReal、Wayfairなどの支援企業の過半数の株式を保有する未公開株式投資会社として見覚えがあるかもしれない。今回のケースでは、仕事の一部に「フィールドサービス」がある、非常に幅広い業界でBigChangeがいかに採用されているかに注目したということになる。
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「小口顧客や特定のサブバーティカルに注力するニッチプレーヤーとは異なり、マーティンと優秀なスタッフたちは、フィールドサービス担当者や運営担当者向けの柔軟なオールインワンプラットフォームを構築しています」とGreat Hill Partnersのパートナーであるドリュー・ロークス氏は声明で述べた。「BigChangeのテクノロジーは、およそあらゆる規模やバーティカルの商業および住宅用顧客にサービスを提供する能力だけでなく、実績のある製品開発やカスタマーサービス能力によっても差別化されています」。
カテゴリー:ソフトウェア
タグ:BigChange、資金調達
画像クレジット:BigChange
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(文:Ingrid Lunden、翻訳:Dragonfly)
- Original:https://jp.techcrunch.com/2021/02/21/2021-02-04-bigchange-raises-102m-for-a-platform-to-help-manage-service-fleets/
- Source:TechCrunch Japan
- Author:Ingrid Lunden,Dragonfly
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