春めいて来たとはいえ、まだまだ寒い季節が続きます。そんな冬場の釣りの悩みは、凍るように痛くツライ手のかじかみ。ダウンジャケットなどで体は暖かくできても、働き者の手だけはどうしようもありません。
仕掛けを結ぶなど指先の作業が多いのに、魚や水に触れ、寒風にさらされる冬の釣り。グローブをしていても手の感覚がなくなっていく状態では、釣りも楽しめないというもの。
そこで今回は、毎シーズンごと冬の実戦で得た、寒さ厳しい真冬のかじかみ対策と、とっておきのギアをご紹介します!
■体の防衛反応でおこる手のかじかみ
仕掛けをセットし、エサ付け&手洗いをし、釣った魚を処理し、リールを巻く…など、釣りの現場では手作業がとても多いです。この一連の流れの中では、どうしても水をさわった手を寒風にさらすことに。
またチャンスを逃すまいと釣りに集中するあまり、温めるのを忘れて手が働き続けると、感覚がなくなるほど、あっという間に手の血行は滞り、体温が奪われていきます。
冷たさや痛さを通り越して、感覚がなくなり、そのまま放っておくと、血行が極限まで滞り皮膚が赤く腫れた状態に。これが凍瘡(しもやけ)で、さらにこの状態が悪化し皮膚が凍り付いた状態になってしまうのが凍傷です。
実は人間の体は、0℃以下の状態を察知すると、身体の中枢の体温を保持するために、手や足など末端にある血管が収縮をはじめるそうです。手足が血行不全になったこの状態が長く続くと、しもやけや凍傷を引き起こしてしまう、というわけです。
■釣り用グローブは素材選びが重要!
前置きが少々長くなりましたが…真冬の釣りに求められるグローブの要件は、一般的な手袋選びとは条件が違います。
・濡れることが前提
・それでも寒さを防いでくれる
・指先で細かい仕事ができる
・翌年になってもボロボロしない耐久性
という、いろいろ欲張りな仕様が求められるのです。このあたりのニーズをすくい取った製品は、釣りメーカーがいろいろ出しています。で、筆者も過去にさまざまなグローブを使ってきました。
良品も悪いモノも、それこそ15本以上使っています。実は近年までは、なかなかグローブのファイナルアンサーにたどり着けませんでしたが、選ぶ過程の失敗からいろいろなことを学びました。
「濡れるけど寒くならない」という要件で釣りグローブを考えると、なにより素材選びが重要。その結果、ネオプレン(クロロプレンゴム)素材一択となりました。ウェットスーツに使われる素材で、濡れても暖かく、かつ耐久性が比較的高いからです。
ネオプレン生地は、肌に吸い付くように、タイトにフィットします。これによりグローブの中で冷たい空気の層を作らせず、密着感が冷たさを感じにくくさせます。ちなみに厚さですが、ダイビングやサーフィンでのウェットスーツは春夏秋が5mm厚、真冬用が7mm厚などですが、手袋用だと取り回しを考えれば、2mm~2.5mmほどあればかなり暖かく感じるはずです。
もうひとつは指先を露出するか、否かの問題があります。よく使う3本の指(親指、人差し指、中指)部分を切っているグローブは、細かな作業がやりやすく、選択肢にひとつとして考えておきたいところ。
しかし、やはり寒風が吹きすさぶ時に、この3本指が地獄の苦しみの原因になることも良くあります。そんなときは3本指を出し入れできる仕様のグローブだとつらさはかなり軽減されます。ただし、指の出し入れできるタイプは、やはり作業時にめくるひと手間があるので、ここはチョイスの基準が人によって分かれるところ。
▲特に、カワハギのエサ付けや針交換の時のストレスといったら…
■モンベルのフィッシンググローブが超優秀でした!
4年ほど前ですが、晩秋の夜、湾奥の河川シーバス釣りにはまっていたとき、頻繁にルアーチェンジをしやすいようにするため、いい指切りグローブを探していました。たどり着いたのが、当時モンベルで販売していた、ネオプレン製の3本指切りのグローブ。
以来、5シーズンほど現役で使い、あまりに快適なので冬以外も使用しています。針に引っかけたりして、さすがにカット部分などはほつれなどがありますが、基本性能はまったく落ちず、見かけの耐久性(耐候性)が、ほかのグローブよりグンと高いです。
そこで、昨年新しくなったこのモデルをふたつ買い増ししました。フルグローブ(3本指露出可能)と、3本指切りタイプです。
モンベル
「ネオプレン フィッシンググローブ」
価格:2860円
素材は甲側が2.5mm厚ネオプレン両面ジャージ、手のひらには滑り止め加工を施した2.5mm厚ネオプレンスキン(クロロプレンゴム)で切り替えています。
手元での細かい作業時以外は、指のキャップを被せています。濡れた後のリール操作時はフルグローブに戻してぬくぬく。
水をがっつりはじきながら、水の吸収が最低限にとどまっているようです。
ストレッチの効くネオプレン生地を立体裁断&縫製しているため、手のフィットに違和感が少なく快適です。ギンギンに冷えた金属製のベイトリールを、手のひらで包み込むように持つのが地獄だったけど、これはもう快適!
手のひら側の生地も厚手なので、地磯で岩をつかんだりするような場面でも安心。
全体の仕様を見ても厳冬期の釣り向けで、一切の無駄な機能がありません。カヌー用や登山用など、エクストリームなグローブを作ってきたモンベルの知見の豊富さが感じられます。
モンベル
「ネオプレン スリーフィンガーレス フィッシンググローブ」
価格:1760円
構成は甲側が1.5mm厚ネオプレン、手のひら側が1.5mm厚ネオプレンスキンと、上記のフルグローブタイプよりもやや薄手。ほぼフルシーズン使えると思います。
あくまで体感値の話ですが、2.5mm厚だと1.5mm厚にくらべて暖かさは30%増し、3シーズン用の非ネオプレン系素材に比べると、70%増しになるくらいの感覚です。特に水に濡れたあとも、露出していない部分がまったく冷たくならないのが本当にすごいです。
なにより、コスパがスゴイ。指切りモデルは1600円前後、フルグローブ(3本指露出可能)なモデルが2600円前後。以前使っていた大手釣り具ブランドのモデルが5000円〜6000円することから考えたら、性能がまったく見劣りせず、何より快適なフィット感、荒く使っても耐えてくれる耐久性、暖かさ、どれをとってもコスパが最高だと思っています。
指先の作業しやすさをとるか、完全防寒をとるかを、その日の気候と釣りもので変化に対応できるよう、筆者は2つ持ちで対応しています。2つ持ちできるコスパの良さなんです!
■濡れて冷えればやっぱり寒い…華麗なるカイロ使いを極めよ!
さて、いくらいいグローブを装着しても、エサ付けや魚の処理をして、水に指先をさらせば、やっぱり濡れるし、気温とともに冷たくなるのは完全には避けられません。
こんな時はやはり、カイロをうまく使いたいところ。
ですが、市販の使い捨て携帯カイロでは役不足。高温になるカイロをかなり使いましたが、高温になるのはポケットの中に入れている時だけ。一度取り出して手を温めると、すぐに温度が下がってしまい、なかなか高温に戻らないのです。特に濡れた手を拭かずにカイロに触っていると、まったく熱くなりません。
そこで役立つのが電熱式の携帯カイロ。スイッチひとつで外気温や湿り気に左右されず、電気の力で安定した暖かさが味わえます。お気に入りは3段階で温かさが切り替えられれて最高で55℃になる高温モデル。
充電式で、高温で使い続けても7時間ほどキープできますし、いざというときは外部バッテリーとしても役立ちます。さまざまな種類が発売されていますので、電池の持ちと、熱の強さが両立しているモデルを選びましょう。
価格も2000円台からいいものが購入できます。1シーズン携帯カイロを購入し続けることを考えれば、断然コスパに優れています。
もうひとつ、それでもツライ方には、手首の関節を温めることで、指先への血流を促進する方法。カイロで有名な桐灰からは、「巻ポカ」という商品が出ています。貼るカイロなども同じ原理ですが、膝や腰、肘などの関節に通る大きな血管を温めることで、体温を下がりにくくする効果あり。
筆者の場合は、特に朝一や夜などに、手のひらがかじかんでいくスピードが緩和されているのを実感します。ネオプレングローブ、電熱カイロ、巻ポカという3段構えであれば、厳冬期にも対応できる手指装備でしょう。
厳冬期の海は、コンディションは厳しいですが、美味しい魚を持ち帰れば家族も大喜び。賢いギアのチョイスと万全の防寒装備で、快適に冬場の釣りをお楽しみください!
<取材・文/ナオ・サクライ>
ナオ・サクライ|ルアー釣りやボート釣りなどを中心に、四季のおいしい魚を追いかけるライター。キャッチ&イートがモットーで、魚を美味しくいただくため料理も日々研究。釣りでも料理でも、気になる道具があると使わずにはいられない、生粋のモノ好き。
【関連記事】
◆錆びにくく、切れ味バツグン!魚をさばくなら「骨スキ包丁」から始めよう
◆釣具なのに、なぜスノーピーク?錆びにくい釣りギアを3年間使ってみた結果
◆ほぼ素人がアジを10匹捌いて分かった「サカナイフ」人気の理由
- Original:https://www.goodspress.jp/reports/353903/
- Source:&GP
- Author:&GP
Amazonベストセラー
Now loading...