会計分野のマーケットプレイスAgerasが260億円のバリュエーションで77億円獲得

バーティカルマーケットプレイスは引き続きデジタルエコノミーの重要な要だ。それは特定の商品やサービスを提供する人々がまさにそれを購入しようとしている人々とつながるよう集中管理された空間だ。その地位はパンデミック経済でさらに重要性を増しており、需要が高まっているようだ。そのトレンドに合わせ、デンマークのスタートアップであるAgeras Group(アギラスグループ)は米国時間2月22日、会計ソフトウェアの機能と中小企業が会計士を見つけるための市場の両方を提供するという2つの目的を持つプラットフォームを構築・拡大するための成長資金調達ラウンドを発表した。

コペンハーゲンに拠点を置く同社は、唯一の投資家であるLugard Road Capitalからの7300万ドル(約77億円)のラウンドをクローズした。

Agerasはバリュエーションを開示していないが、デンマークのメディアであるBorsenのレポートでは、15億デンマーククローネ(約260億円)と報じている。TechCrunchはAgerasの広報担当者に金額について問い合わせた。詳細が判明次第、この投稿を更新する。

またTechCrunchは過去の資金調達額についても質問した。2012年創業の同社は最初の5年間、資金調達を行わなかった。PitchBookは今回のラウンド以前の金額として約22万ドル(約2310万円)しか開示していない。既存投資家には、2017年に同社の過半数の株式を取得したInvestcorp、そして最近ではRabo Bankが含まれる。

新しい投資は会社の順調な成長に続くかたちとなり、それを活かす計画だ。  Agerasは現在、デンマーク、米国、スウェーデン、ノルウェー、オランダ、ドイツでユーザーが34万人を超えた。計画ではその資金により、一般的に「成長市場」と呼ばれるもの、つまり新しい国、新しい顧客セグメント、さらにはソフトウェアスタックへのサービスへ、有機的な成長と買収の両方を通じて進出する予定だ。

「Agerasは市場をリードするクラス最高の製品を確立しました。国際的な拡大と自動化されたビジネスツールの需要の高まりに対して最適なポジションに位置しています」と、Martin Hegelund(マーティン・ヘグランド)氏と共同で会社を創業したCEOのRico Andersen(リコ・アンデルセン)氏は述べた。同氏はSlack(スラック)などに投資してきた連続投資家でもある。「この最新の資金調達ラウンドは、Agerasブランドを拡大し、世界中の新しい顧客にソフトウェアを提供するという当社の継続的な取り組みを支えてくれます。今後もAgerasの物語を続けることを楽しみにしています」。

Agerasは現在、かなり典型的な労働市場モデルに従っている。会計サービスを求める中小企業は、会計、記帳、監査の3つの分野で必要としていることを提出し、それに対して3つの連絡先を受け取る。このモデルは、アンデルセン氏とヘグランド氏がよく知るモデルであり、以前「Fa det Gjort」(「仕事を片づけよう」の意味)と呼ばれるホームサービスのプロ向けのオンラインマーケットプレイスを構築した。

これに加え、そしてビジネスモデルをさらに多様化するため、同社は会計ソフトウェアの開発に進出した。最初は自社のMenetoスイートから始め、次にデンマークのBillyとオランダのTellowの2社を買収で追加した。

この投資はオンラインビジネスのマーケットプレイスモデルの永続的な人気をよく表している。Amazon(アマゾン)やAlibaba(アリババ)などによってeコマースで人気が出て、さまざまなサービスに拡がったモデルだ。

労働市場モデルはスタートアップの世界に散見されるモデルだ。Uber(ウーバー)はクルマが必要な人に移動の選択肢を与え、この分野を開拓した。Deliveroo(デリバルー)のようなモデルでは、ユーザーが契約すると料理やその他の商品を届けてもらえる。商売をする人と家や仕事を必要とする人とつなげる方法を提供する多くのプラットフォームがある。

より多くのナレッジワーカーの仕事へと拡大するその進化も特に新しいものではない。Upwork、BarkParoなどは、会計士が見込み客とつながる方法を提供する企業だ。

おそらくもっと注目に値するのは、現在この分野が拡大しつつある姿だ。パンデミックによりビジネス街で人の往来が減り、「オフィス」のかたちが変わった。それは、サービスを提供する人々へ扉を幅広く開いたが、同時に彼らが誰かに見つけてもらうのは難しくなった可能性がある。

マーケットプレイスはその課題を解決する1つの方法であり、その点で、LinkedInが熟練労働者のための独自のマーケットプレイスの構築を目指しているというレポートが出たのは当然のことだ。

ただし、Agerasが競争に直面している分野はそれだけではない。オンライン会計サービスの分野では、Intuitのような確立された企業だけでなく、PennylaneTaxScoutsZeitgold、Stripeが投資するPilotなどの新規参入企業を含む多くのプレイヤーがいる。

Lugard Roal Capitalは米国のヘッジファンドであるLuxor Capital Groupと提携しているベンチャーキャピタルのようだ。デリバリープラットフォームのGlovoinRiverなどにも投資している。一方Investcorpは、セキュリティ会社であるAviraの買収と売却、最近ではインドの物流スタートアップXpressbeesへの出資など、より大きなテック投資戦略の一環としてスタートアップに大きな出資を続けている。

関連記事:セキュリティソフト開発のNortonLifeLockが同業Aviraを約374億円で買収

「信頼できるという評判に裏打ちされたミッションクリティカルなソフトウェア、プロフェッショナルサービス市場に関する洞察、卓越した経営陣、最先端の研究開発の組み合わせにより、Agerasは市場での地位を高め、 高いクオリティーの経常的な収益に基づき会計エコシステムを提供しています」と、InvestcorpのMDでテクノロジー部門の責任者であるGilbert Kamieniecky(ギルバート・カミエニエツキー)氏は声明で述べた。「Agerasが確保した新たな資金は、国際的な拡大を推進し、顧客提供の継続的な革新を支えるのに役立ちます」。

カテゴリー:ネットサービス
タグ:Ageras Group会計資金調達

画像クレジット:Bryce Durbin / TechCrunch

原文へ

(文:Ingrid Lunden、翻訳:Nariko Mizoguchi


Amazonベストセラー

返信を残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

CAPTCHA