黒下地塗装がコクピットをリアルに見せる!【達人のプラモ術】

【達人のプラモ術:かっこいいファントムを作る_01】

テレワークや外出自粛の影響を受け、家で過ごす時間が増えた昨今。何か室内で熱中できるものを探すとなると、じっくり時間をかけて楽しめるプラモ作りなんて、まさにピッタリ! 戦車や戦闘機、ロボット、スポーツカーなど、子どものときには作れなかったモノにじっくり挑戦するのもアリだ。そして、せっかく作るのなら、やはり “かっこよく” “リアル”に仕上げたい。

そんな、これからプラモ作りに挑戦するモデラーに、プロモデラーとして活躍する長谷川“迷人(めいじん)”が、プラモデルの作り方・楽しみ方を紹介。1台のモデルを4回に分けて、そのモデルの魅力やかっこよく作るポイントを解説していきます。第1回は「F-4ファントムII・機体製作編」です

 

長谷川迷人|東京都出身。モーターサイクル専門誌や一般趣味雑誌、模型誌の編集者を経て、模型製作のプロフェッショナルへ。プラモデル製作講座の講師を務めるほか、雑誌やメディア向けの作例製作や原稿執筆を手がける。趣味はバイクとプラモデル作りという根っからの模型人。YouTubeでは「プラモ作りは見てナンボです!「@Modelart_MOVIEも配信中

 

■ブームを巻き起こした「F-4ファントムII」

飛行機に詳しくなくても「F-4ファントムII」戦闘機をご存知の人は多いのではないでしょうか。F-4は、アメリカのマクダネル・ダグラス社(現在はボーイング社)が1950年代末に開発し、アメリカ空軍・海軍だけでなく、日本の航空自衛隊など、多くの国が採用したベストセラー戦闘機です。生産台数は5000機以上におよびます。アメリカでは、1990年代に全機退役。日本の航空自衛隊では、1971年に導入されましたが、今年2021年3月17日に惜しまれながらも全機退役となりました。

「F-4ファントムII」は、プラモデルとしても人気は高く、国内外の多くの模型メーカーがさまざまなスケールでキット化しています。70年代~80年代にベトナム戦争に参加した部隊のカラフルなマーキングの機体やエース機の存在、また、ブルーエンジェルスやサンダーバーズといったアクロバットチームモデルなど、多彩なバリエーションの存在が人気の理由といえるでしょう。

そして、航空自衛隊が誇る通称“日の丸ファントム”は国内外で人気が高く、数多くキット化されています。特に、78年~84年に『少年サンデー増刊』にて連載されたコミック『ファントム無頼』(原作:史村翔、作画:新谷かおる)の影響で “ブーム” も起こしただけに、今年3月の全機退役は残念でなりません。

▲ファインモールド1/72 「アメリカ空軍 F-4E戦闘機(前期型)“ベトナム・ウォー”」(4290円)

国内メーカーから数多くのモデルが発売されてきましたが、2020年末に造形村から「1/48スケール」が、そしてファインモールドから「1/72スケール」で航空自衛隊の「F-4EJ」と「EJ改」がニューキットとして発売され、プラモデル業界にファントムブームを巻き起こしました。

ラストフライトでの日の丸ファントムのスペシャルマーキングも捨てがたいのですが、個人的には、迫力のあるベトナム迷彩スキムを纏った「F-4E」がお気に入りなのです。そこで今回は、ファィンモールドから3月に発売された「1/72スケール F-4Eベトナム・ウォー」を組み立てながら、製作のコツや塗装のコツを紹介してきます。まずは【機体製作編】です。

 

POINT1:組み立て前に説明書やパーツをチェック!

こちらが、今回キット製作に使用したニッパーやクラフトナイフ、プラモ用流し込み接着剤等のツールとアイテムです。塗料は、キット指定のMr.カラー(ベトナム迷彩色)を使用。どちらも模型店、あるいはネット通販でも入手できるアイテムです。それではキットをサクサクと組んでいきましょう。

まずは、組み立て前に説明書を一読し、手順や塗装を頭に入れておきます。組み立て前にパーツの破損や欠品がないかを確認しておくのもプラモ製作においては大事なポイントです。デカールは、コーションマーク(機体各部に書かれた注意書き)を含めると100枚以上あります。選んだマーキングで使用するデカール以外は事前に切り離しておくと、貼り間違いを防げます。

 

POINT2:まずはリアルなコクピットを製作

飛行機模型の場合、大抵は胴体内部に収まるコクピットから製作を進めていきます。コクピットはストレートに製作、サイドコンソールはスイッチ類を細かく塗り分けてやるだけでも、充分リアルな仕上がりになります。計器盤は、デカール(水転写シール)を貼るためのモールドがないものと、より精密感のある精密な計器類モールドが入ったタイプが用意されています。今回は、モールドのある計器盤にデカールを貼り込んで使用しています。

▲コクピットフロアや計器盤、脚収納部など、下地色として黒を塗装したのちに説明図の指示のグレー等の塗装を施した状態

塗装は、エアブラシを使っていますが筆塗りでもOKです。今回はエアブラシを使って塗装をしていますが、ここでリアルな仕上がりとするために下地に黒を塗装しておきます。もちろん、インストに指示されているカラーを直に塗装しても間違いではありません。ですが、黒を下地に塗装、その上から指定の機内色のグレーなどを塗り重ねていくことで色の明度と彩度が下がり、ミリタリーモデルに不可欠なリアルな質感を表現できるのです。今回の塗装では、ベトナム迷彩色が揃っているMrカラーを使用していきます(詳しくは【塗装編】にて)。

説明図にそって機首(コクピット含む)と胴体を製作。主翼、尾翼等も切り出し、ゲート跡(ランナーとパーツの接続部)を取り除いてから綺麗に整えて接着し、ブロックごとに組み上げていきます。最新のキットは精度が高く、サクサク組みすすめられます。

機首と胴体、インテークなどユニットごとに組み上げてカタチにしていきます(尾翼と機首のレドームは仮組みした状態)。脚パーツや座席、キャノピーやウエポン類といった外装パーツは別に組んで塗装し、機体の塗装後に取り付けます。

【迷人流!機体製作のポイント】

組み立て精度の高いキットは、パーツの切り離しを慎重に行いましょう。ゲートの切り口に凸を残すと隙間や段差の原因になるので要注意。またパーツは必ず仮組みしてから接着しましょう(長谷川迷人)

ベースとなる機体製作編はここまで。次回は、組み上げた機体を迷彩風に塗装していきます。

>> 次回【塗装編】(4月10日公開予定)

>> 達人のプラモ術

<写真・文/長谷川迷人>

 

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