広いキャビンと走りの良さで人気を得ているマツダの3列シートSUV「CX-8」が、先の商品改良で新たな魅力を手に入れた。
乗る人を魅了するインテリアの高級感は、海外のプレミアムブランドも顔負け。室内の仕立てにおいても妥協しないマツダの旗艦モデルの魅力に迫る。
■エクスクルーシブモードの高級感は圧倒的
CX-8の最上級グレード、エクスクルーシブモードのドアを開けた瞬間、ちょっと驚いた。インテリアに圧倒的な高級感が漂っていたからだ。
表皮の一部にキルティング処理を施したエクスクルーシブモードのレザーシートは、お世辞抜きに、欧州プレミアムブランドのようにラグジュアリーな仕立て。これを買ったら満足度は相当高いだろうと思う。
しかし、CX-8のインテリアって、こんなにプレミアムな作り込みだっただろうか? 資料を確認したところ、2020年12月の商品改良において、エクスクルーシブモードの内装はブラッシュアップされていた。キルティング処理が施された上質感あふれるシートは、最新モデルならではの特権というわけだ。
実は、ブラッシュアップされたのはインテリアだけではない。エクスクルーシブモード(と上級の「Lパッケージ」)は、フロントグリル形状が水平基調からドットタイプへと変更され、上質感が引き立つ“プラチナクォーツメタリック”のボディカラーも新設定。
加えて、エクスクルーシブモードはアルミホイールのデザインが変わったほか、フロントバンパー下部にクロームのガーニッシュが追加されて、よりきらびやかな印象になるなど、外観デザインもテコ入れされている。
CX-8は、マツダ車の日本市場向けのフラッグシップモデルであり、エクスクルーシブモードはその最上級グレードだけに、最新モデルの気合の入った仕立ても納得できる。
そんなエクスクルーシブモードには、6人乗りと7人乗りというふたつの仕様がラインナップされるが、選ぶなら断然、前者がオススメだ。その理由はふたつある。ひとつは、国産SUVとしては珍しく、左右の席が独立した2列目シートを備え、ゆったりした気持ちで移動できること。
そしてもうひとつは、2列目シートの機能がとても充実していることだ。シートヒーターはもちろんのこと、暑い日に重宝するベンチレーション機能まで組み込まれているほか、前後スライドや背もたれのリクライニングは電動式。2列目シートの機能がこれほど充実した国産SUVはほかにない。
エクスクルーシブモードは450万円超の高額車だが、装備内容を考えればリーズナブルに思えてくる。
■2列目&3列目の居住性は国産3列シートSUVの頂点
CX-8は、乗るたびにこのモデルならではの魅力を、毎回、実感させられる。その最たるものが優れた居住性だ。
シンプルにいうと、CX-8は2列シートSUVである「CX-5」の車体を伸ばし、3列シート化したモデルだが、ホイールベースもきちんと延長しているのがポイントだ。これにより、2列目席を後方へとスライドさせることが可能となり、その際の2列目シートの空間のゆとりは、3列シートSUVの中でもトップクラス。「ミニバンはいらないかも」と思えるほど快適な空間だ。
また、CX-8はハイスピード走行時の安定感が高く、車体の不快な動きや微振動が抑えられているため、高速移動時の乗り心地も抜群。2列目シートの居心地の良さと快適性は、ミニバンも含めた国産3列シート車の頂点に立つといっても過言ではない。その上、3列目シートの広さと快適な乗車姿勢は、国産3列シートSUVの中で頂点に立つほど。それくらいCX-8の居住性は優れている。
一方、3列目シートの背もたれを倒せば、CX-5を始めとする2列シートSUVでは真似のできない、広大なラゲッジスペースを得られるのも魅力。キャンプを始めとするアウトドアアクティティを楽しむユーザーにとっては、大きなメリットとなるだろう。
つまりCX-8は、単に3列シートを備えたSUVというだけでなく、オーナーのライフスタイルをより充実させてくれる可能性を秘めていると、触れるたびに思い知らされる。
■エンジン×インテリアによる多彩な組み合わせ
こうしたインテリアの快適性&高級感のアップや、先日レポートした乗り味の向上に加え、今回の商品改良では、バリエーションの拡大もひとつのトピックといえるだろう。
例えば、これまで6人乗りのみの設定だったエクスクルーシブモードには、2列目席をベンチシートとした7人乗りを追加。またシートのカラーリングも、従来のピュアホワイトに加え、“オーバーン”と呼ばれる茶色に近い赤褐色のものも選べるようになった。
一方、Lパッケージのシートは、従来のディープレッド、ピュアホワイト、ブラックに代わり、ブラックとレッドが新たに設定された。中でも赤いシートは、目に鮮やかな色調で、インテリアの華やかさが大幅にアップする。「鮮やかな色合いのインテリアが欲しいけど、ホワイト系は汚れが心配」と思っていた人にとって、まさに打ってつけのカラーラインナップといえるだろう。
そんなCX-8には、2.5リッターガソリンの自然吸気エンジンとターボエンジン、そして2.2リッターのクリーンディーゼルターボという、3タイプのエンジンが設定される。とにかく価格を重視するなら、2.5リッターのガソリン自然吸気がベストで、加速の力強さと燃費のバランスをねらうなら、クリーンディーゼルターボがオススメだ。
それに対し、2.5リッターのガソリンターボエンジンは、ディーゼルターボに通じる力強い加速と、ディーゼルターボが苦手とする高回転域での伸び感を両立しているのが魅力。振動やノイズの面でも、ディーゼルターボに対してアドバンテージがある。ただし、燃費はあまり良くないのが唯一の難点といえるだろう。
ちなみに、今回試乗したエクスクルーシブモードには、2.5リッターガソリン自然吸気エンジンの設定がなく、同じく、鮮やかな赤いシートを選べるLパッケージには、2.5リッターのガソリンターボが非設定となる(2.2リッターのクリーンディーゼルターボは両グレードとも設定あり)。インテリアの仕立てやエンジンラインナップなど、多彩な選択肢から自分に合った1台を見つけられる点も、CX-8のもうひとつの魅力といえそうだ。
<SPECIFICATIONS>
☆25T エクスクルーシブモード(2WD/6人乗り)
ボディサイズ:L4900×W1840×H1730mm
車両重量:1830kg
駆動方式:FWD
エンジン:2488cc 直列4気筒 DOHC ターボ
トランスミッション:6速AT
最高出力:230馬力/4250回転
最大トルク:42.8kgf-m/2000回転
価格:476万3000円
<SPECIFICATIONS>
☆XD Lパッケージ(4WD/6人乗り)
ボディサイズ:L4900×W1840×H1730mm
車両重量:1920kg
駆動方式:4WD
エンジン:2188cc 直列4気筒 DOHC ディーゼル ターボ
トランスミッション:6速AT
最高出力:200馬力/4000回転
最大トルク:45.9kgf-m/2000回転
価格:461万8900円
文/工藤貴宏
工藤貴宏|自動車専門誌の編集部員として活動後、フリーランスの自動車ライターとして独立。使い勝手やバイヤーズガイドを軸とする新車の紹介・解説を得意とし、『&GP』を始め、幅広いWebメディアや雑誌に寄稿している。日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員。
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- Original:https://www.goodspress.jp/reports/367608/
- Source:&GP
- Author:&GP
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