米航空宇宙局(NASA)は火星で初めて動力により航空機を飛行させるという、地球外探査計画における重要な節目を迎えた。この飛行ミッションは米国時間4月19日早朝に行われ、NASAはIngenuityヘリコプターが火星で飛行したことを確認するテレメトリーを、Perseverance探査機の中継により受信した。火星の大気が非常に薄いため、Ingenuityのように大気を利用して揚力を得ることができるローター駆動の機体を作ることは非常に難しい挑戦であることを考えると、これは大きな成果だといえる。
今回のIngenuityの初飛行は自律的な遠隔飛行で、地球上のクルーが適切なタイミングでコマンドを送り、火星の「空気」の中を40秒かけて移動するというものだった。これは短い飛行のように思えるが、飛行中にヘリコプターが収集したデータには計り知れない価値がある。IngenuityにはローバーのPerseveranceよりもはるかに高性能なプロセッサーが搭載されている。そして飛行テスト中に生成された膨大なデータを収集してローバーに送信し、ローバーがその情報を地球に送信した。
前述したように、これは火星における初めての動力飛行であり、どのように飛行するかを予測するために多くのモデリングやシミュレーション作業が行われてきたが、実際のテストの前には何が起こるのか誰にもわからなかった。例えば火星の大気は薄いため、地上のヘリコプターのローターが毎分400〜500回転であるのに対し、Ingenuityは毎分2500回転という超高速でローターを回転させなければならないなど、技術的な課題が山積していた。
火星でヘリコプターを飛ばすことに、どんな意味があるのだろうか。いくつかの重要な応用の可能性として、まず第1に将来の探査ミッションの準備として、火星での将来の科学探査のためにNASAが航空機を利用できるようにすることだ。例えば航空機なら、ローバーが到達できない洞窟や山頂などを探索できる。最終的にNASAは、将来の火星有人探査において航空機が利用できるかどうかも確認したいと考えている。いずれ火星に到着したときに地上の乗り物だけでなく航空機が利用できれば、火星の探査チームには大きなメリットとなる。
今後、NASAは今回のフライトから得られたデータを解析し、ヘリコプターの上昇、ホバリング中、そして着陸時の写真や動画をより多く取得する予定だ。今回の飛行によりIngenuityが意図したとおりに飛行できることがわかったため、NASAは残りの電力やその他のパラメータにもとづいて追加の飛行テストを計画する予定だ。
関連記事:NASAが火星で初となるヘリコプターの飛行を4月8日に計画
カテゴリー:宇宙
タグ:NASA、火星、ヘリコプター
画像クレジット:NASA
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(文:Darrell Etherington、翻訳:塚本直樹 / Twitter)
- Original:https://jp.techcrunch.com/2021/04/20/2021-04-19-nasa-makes-history-by-flying-a-helicopter-on-mars-for-the-first-time/
- Source:TechCrunch Japan
- Author:Darrell Etherington,Naoki Tsukamoto
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