TechMagic株式会社は、2020年より進めていたアルコールドリンクを自動で提供するロボットの研究開発の原理検証を終え、実証実験に向けて調整中。2021年下半期に実店舗への導入を見込んでいるようです。
素早く、丁寧に!
同ロボットのポイントは、複数種類のドリンクを1台かつ自動で提供できるということでしょう。ロボットアームがグラスをつかみ、注文に応じて各ディスペンサーから必要材料を自動で抽出、組み合わせることでさまざまなドリンクを作ることができます。ドリンクを作るロボットの動きはかなり機敏でありながら、ディスペンサーからの炭酸水の水滴が落ちきるのを待つなどの慎重さも兼ね備えており、思わず見入っていました。
同社が、スピーディーな提供を目指す上で工夫したのが、ロボットが運ぶグラスをあえて傾けるということ。傾けることで、中の液体がこぼれないというのです。この工夫により、1杯あたり30秒での提供が可能となっています。また、ドリンクを注ぐ直前にグラスを急速冷却し、よく冷えたグラスで提供できるのも魅力のひとつでしょう。
同ロボットは、アルコールドリンクの提供に必要な最小単位のロボットユニットで設計されており、それらを組み合わせることでさまざまな店舗への導入が可能な仕様となっています。
ドリンクロボットの作業の様子はYouTubeにて公開中です。
TechMagicのロボット
TechMagicは、「テクノロジーによる持続可能な食インフラを創る」ことをミッションに、調理ロボットおよび業務ロボットの開発を進めている企業。Scrum Ventures LLC(スクラムベンチャーズ)が主催する「新 “食” 産業」の創出を目指すグローバル・オープンイノベーション・プログラム「Food Tech Studio – Bites!」の採択企業でもあります。
同社が手がける調理ロボットの代表といえば、全自動のパスタ調理ロボットでしょう。これは、麺を茹であげてから具材・ソースと絡め、皿に盛り付けたあと調理器具洗うという一連の工程をすべて自動化することができるロボットです。2018年より、株式会社プロントコーポレーションと共に開発を進めてきたこのロボットは、2021年内に「プロント」新店舗にてデビュー予定だといいます。
一方、業務ロボットはというと、2台のロボットが協調して食器を自動で仕分ける「finibo」が先日登場したばかりです。こちらは、業務用厨房機器総合メーカーの株式会社フジマックと共同開発されたもので、2021年4月26日より、株式会社ANAケータリングサービス(ANAC)の羽田工場にて実証実験行っています。ベルトコンベア上から洗浄後の食器を取り上げるロボット(Picker)と、食器をコンテナにしまい込むロボット(Stower)の2台のロボットがあうんの呼吸で作業する姿が印象的でした。
一連の工程を自動化するロボットは、人手不足という課題解決や昨今の非接触ニーズへの対応など、飲食業界の新たなソリューションとなるかもしれません。
(文・Higuchi)
- Original:https://techable.jp/archives/154306
- Source:Techable(テッカブル) -海外・国内のネットベンチャー系ニュースサイト
- Author:樋口
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