元インテル社長が創業したAmpereが同社初のデータセンターとクラウド専用カスタムチップを構想中

Armベースのチップをデータセンターやエッジに売り込もうとしているAmpereが米国時間5月19日、例年のメディアデーを開催した。80コアのAltraと128コアのAltra Maxで同社は、ライバルのIntelやAMDに多くの共通のシナリオで勝るプラットフォームをすでに提供しており、そしてAltra Maxは現在では量産と一般販売を始めている。ただしこれらのチップは、ARMの標準アーキテクチャであるNeoverse N1がベースだが、しかしこれから同社は、5nmのプロセスによる独自のAmpere Coreをローンチしようとしている。

Intelに26年在籍し、その後Ampereを創立したRenee James(レネイ・ジェームズ)氏は次のように述べている。「AltraとAltra MaxはArmのN1コアがベースです。弊社はアーキテクチャのライセンシーであり、またIPのライセンシーでもありますが、今日はうちのメディアデーであり、弊社独自のコアについて話しましょう。何をどうやって、なぜ作っているのか、そしてそもそもクラウドネイティブのプロセッサーとはどういうものか?について。AppleのPCのM1についてみなさんが考えるように、私たちはその自社製コアについて考えたいと思っています。クラウドのデータセンターサーバー用のAmpere Coreのことです」。

128コアのAltra Maxは、Ampereによれば、AMD Rome CPUに比べて1コアあたりの消費電力が50%低く、たとえばウェブサーバーのNGINXを動かした場合パフォーマンスは1.6倍になる。同じベンチマークをIntelのCascade Lake Refresh CPUに対してやると、結果はさらに良い。AMDのRomeがローンチしたのは2019年8月で、IntelのCascade Lake Scalable Performance Refresh CPUは2021年の2月以降、市場にある。

AmpereのCPOであるJeff Wittich(ジェフ・ウィッチッチ)氏は次のようにいう。「重要なのはクラウド用のCPUというものを作って、クラウドネイティブなワークロードの現在と未来のニーズに応えること、そのためのソフトウェア開発とインフラストラクチャーのデプロイを支えることです。それは私たちにとっては、さまざまなワークロードに対して正確な予測性があり、計算処理とメモリと入出力とネットワーク関してスケーラビリティが高く、そして極めてエネルギー効率の高いプラットフォームを作ることに帰結します」。

画像クレジット:Ampere

ウィッチッチ氏によると、Ampere独自のコアの開発を常に計画している。それは主に、極めて特殊なユースケースのための極めて特殊なプロダクトを提供できるためだ。「イノベーションのためにはコアの自主開発が非常に重要であることは、最初からわかっていました。主な理由は、クラウドにフォーカスしていることです。その他の市場、中でもクライアントや、クラウド以外のサーバーには関心がありません。クラウドに特化したコアを開発することが、私たちにとって実に重要なのです」とウィッチッチ氏はいう。

クラウドを運用しているAmpereの顧客は、たとえばセキュリティの機能や、実行性能と電力消費を管理できる機能の搭載を求めている。ウィッチッチ氏が強調するのは、そういう機能が正しく動くためにはマイクロアーキテクチャのレベルでの内蔵が必要なことだ。しかもそれによって、実行性能の最適化もできる。

「クラウドが求めることをプロセッサーができるためには、自社独自のコアを開発しなければならない」、とウィッチッチ氏は主張する。そのAmpere CoresはたとえばメモリI/Oの帯域が極めて高くて、しかもクラウドというユースケースに向けて最適化されているだろう。ハイパフォーマンスコンピューティングのユースケースではなくて。

画像クレジット:Ampere

創業者のジェームズ氏も同意見だ。顧客はそんな機能を求め、そしてAmpereの競合他社はそれらを提供するだろう。「クラウド事業はかなり特殊であり、顧客の要求は厳しい。だから開発には絶え間ないリズムが必要であり、極めて良質なプロダクトを作っている顧客とも競合することになる」と彼女はいう。

現在、AmpereはMicrosoftやOracle、Tencent Cloudなどが顧客であり、この戦略は功を奏しているようだ。噂ではMicrosoftがArmベースの独自のチップを開発しているというが、皮肉にも今回のAmpereのメディアデーで同社は、AzureをAltraで動かす準備を進めていると語った。

カテゴリー:ハードウェア
タグ:AmpereArmデータセンター

画像クレジット:xia yuan/Getty Images

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(文:Frederic Lardinois、翻訳:Hiroshi Iwatani)


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