焚き火ギアの新潮流になるか!? 火吹き棒にもなるトング型の薪バサミ「HIMORI-02」

キャンプの醍醐味、焚き火。以前から親しまれているのですが、ここ数年のキャンプブームにおいてはもはやメインストリームのような存在になっています。

たしかに、パチパチと薪がはぜる音や揺れる炎を眺めつつ、のんびり過ごす時間は至福のひととき。また、小さい火から育てていき太い薪が安定して燃えるまでの過程や、薪の組み方などで火力をコントロールするといった一連の流れには、デジタルでは味わえない魅力があります。

昔は地面に直接薪を置いて焚き火をするのが当たり前でしたが、近年は火から地面を保護するため、そして火事防止のため、多くのキャンプ場では焚き火台や焚き火シートの利用がマストとなっています。

その結果、とんでもない勢いで新しい焚き火台が登場するように。工夫を凝らした構造からとにかく軽いものまで、さまざまな種類の焚き火台が日々生まれています。たしかに焚き火台って、不思議と物欲をそそるんですよね。

そして、焚き火を楽しむ上で、焚き火台以外に必要となるのが薪バサミ(火バサミ)です。崩れた薪を動かして空気の通り道を作ったり、燃えている薪を組み替えて火力を調整する時になくてはならないものです。

なんですが、実は意外と選択肢がない。焚き火台ほどバリエーションがないんです。そんな中、今年クラウドファンディングで先行発売され、またたく間に完売したのが静岡県沼津市の町工場が手掛けるガレージブランド、ASOBUの「HIMORI-02」(6930円)です。

 

■振って開閉!?

カタチは、いわゆるトングタイプ。最近はテオゴニアの「ファイヤープレイストング」に代表されるハサミタイプが人気ですが、こちらはBBQでよく使われるトングのような形状です。

長さは約40cmで、素材はステンレス。手にするとずしりと重さを感じます。

ハサミタイプの場合、「開」も「閉」も自分で動かすことになりますが、トングタイプは基本は「開」状態。そのため安いBBQトングなどは開く力がなくなっていき徐々に開く幅が小さくなっていきますが、「HIMORI-02」はしっかりした板バネが付いていて、開く力は強め。また全パーツがネジ止めとカシメで組まれているので、自分でバラすことも可能。リペアパーツも販売されているため、板バネがバカになってきても交換できます。

とはいえ、開いた状態では持ち運ぶ時にジャマになります。そのために施された工夫が、根本部分の輪になった留め金具と本体に入れられたヘコミです。このヘコミ部分に留め金具が引っかかると閉じられ、外すと開く。

閉じた状態から根元部分を下にして握ると留め金具が外れて

根元部分を上にしてギュッと握ると留め金具がヘコミに引っ掛かります。ギュッと握って振るようにしても引っ掛けられます。

この、持った状態でサッと振って留めたり外したりという動作が、道具感がありイイんですよね(笑)。ひとしきり火をいじったあと、シャッと留めて横に置く。アナログならではの楽しさがあるんです。

 

■火吹き棒としても使える!

先端は引っかけられるように凸凹になっています。

だから、太くて重い薪でも問題なし。しっかり薪をつかんでくれます。

そして「HIMORI-02」を説明する上で外せない機能がもうひとつ。

それが火吹き棒としても使えること。

大きく2つのステンレスの棒がくっついた構造になっているのですが、そのうちのまっすぐになっている側の先端に穴が開いていて、根元側も開いています。

だから閉じた状態で火吹き棒として使えるんです。

長さとしては少々物足りないですが、ひとつで焚き火に欲しい機能を賄えるというのはちょっとうれしい。しかもパーツの組み換えや追加の必要がないというのも助かります。

*  *  *

トングタイプの薪バサミって、どうしてもBBQのイメージが抜けなかったのですが、まさかこんなにギア感のあるものが登場するとは驚きでした。ハサミタイプは、自分で開かなければならないなど使用にコツが必要(だからこそ手の延長のように使えるという魅力も)ですが、トングタイプは勝手に開いてくれるのでコツは必要なし。

パッと手に取り、振って留め金具を外して薪をつかむ。使ってみると、この一連の動作がなんともたまらない。手にした時の重さやステンレスの質感が気持ちいい。「HIMORI-02」は、従来からある定番の形状をアップデートさせることで魅力度や機能性をアップした新世代薪バサミなのかもしれません。

>> ASOBU

 

<取材・文/円道秀和(&GP)、写真/田口陽介>

 

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