Microsoft AzureがPyson向け機械学習プラットフォーム「PyTorch」のエンタープライズサポートを提供

Microsoft(マイクロソフト)は米国時間5月26日、PyTorch Enterprise(パイトーチ・エンタープライズ)を発表した。Azure(アジュール)上でPyTorchを使うための新たなサポートをデベロッパーに提供する新サービスだ。

PyTorchはPython(パイソン)向けのオープンソース機械学習プラットフォームで、コンピュータビジョンと自然言語処理に焦点を当てている。当初開発したのはFacebookで、Google(グーグル)の人気フレームワークであるTensorFlow(テンサーフロー)と似ている部分もある。

Microsoftのコミュニケーション担当コーポレートVPであるFrank X. Shaw(フランク・X・ショー)氏は、新サービスPyTorch Enterpriseについて「データサイエンス業務にPyTorchを使っている組織のデベロッパーに、より信頼性の高い生産体験を提供する」ものであると説明した。

PyTorch Enterpriseは、MicrosoftのPremier(プレミア)およびUnified(ユニファイド)のサポートプログラム・メンバーに、ホットフィックス、バグ、セキュリティ・パッチなどの優先リクエスト、直接サポート、ソリューションなどを提供する、とショー氏は説明した。Microsoftは毎年、長期的なサポートを行うPyTorchのバージョンを1つ選んでいる。

AzureはすでにPyTorchを比較的容易に使用できるように作られていて、Microsoftは2020年、PyTorch for Windowsの開発を引き継ぐなど、長年このライブラリに投資してきた。この日の発表でMicrosoftは、最新リリースのPyTorchはAzure Machine Learningに統合され、デベロッパーから入手したPyTorchコードを公開PyTorchディストリビューションにフィードバックすることを約束した。

PyTorch Enterprizeは、Windows 10およびいくつかのLinuxディストリビューションで動作しているPyTorch バージョン1.8.1以上で利用できる。

「Microsoftが提供するこの新しいエンタープライズレベル製品は、重要なギャップを埋めるものです。PyTorchは私たちの研究者がモデルをデザインしたり実験を行う上で、これまでにない柔軟性を与えてくれます」とNuance(ニュアンス)の上級主任研究員Jeremy Jancsary(ジェレミー・ジャンクサリー)氏はいう。「しかしこれらのモデルを製品化するのはチャレンジです。Microsoftが直接関わることで、私たちはAzure上に新しいバージョンのPyTorchを安心して展開できます」。

この新サービスの提供でMicrosoftは、オープンソースプロジェクトの上に追加サービスを提供することによって、スタートアップにオープンソース収益化戦略の見本を示している。PyTorchはスタートアップが開発したものではないため、メジャーなクラウドサービスがオープンソースコードの上に自社の商品バージョンを載せることも、問題なく受け入れられるだろう。

関連記事

マイクロソフトのブラウザ「Edge」は起動が速くなりタブがスリープする機能も搭載する
マイクロソフトはGPT-3を使い自然言語でコードを書けるようにする
マイクロソフトが今や1日に1億4500万人が利用するTeamsの開発者向け新機能やツールを発表
マイクロソフトのナデラCEOがBuild 2021で「自らテストしてきた」次世代Windowsに言及

カテゴリー:ソフトウェア
タグ:MicrosoftMicrosoft BuildMicrosoft Build 2021Microsoft Azure機械学習自然言語処理PyTorchオープンソース

画像クレジット:Gingagi / Getty Images

原文へ

(文:Frederic Lardinois、翻訳:Nob Takahashi / facebook


Amazonベストセラー

返信を残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

CAPTCHA