編集注:本稿の著者Jonathan Greechan(ジョナサン・グリーチャン)氏は世界最大級のプレシードアクセラレーターFounder Instituteの共同設立者。
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かつてないほど多くの個人が投資活動に参入している。2020年の米国株式取引の約5分の1は個人投資家によるもので、前年の約15%から上昇した。大きなリターンを見込めることから、本格的な投資事業の立ち上げを決断する人の数が増えてきている。
資金調達の世界がより民主的でアクセスしやすいものとなっている中、人々がベンチャーキャピタル会社設立への正しい道筋を見出すのを支援し、適切な人々がVCの領域に参入するようにしていく役割を私たちは担っている。スタートアップは進化しており、新しい投資マネージャーは変化する状況に適応することが求められる。今日のVCにとって、最高のポートフォリオを手に入れるためには資金以上のものを提供する必要があり、最高の機関投資家を自身のファンドに呼び込むためにはインパクトを重視しなければならない。
スタートアップ投資家は、経済的な意味で、大規模な創造的破壊に向けたバックボーンとなり得る。だからこそ、Founder Instituteでは、より多くのVCが強力な価値を保有することの必要性を強く認識している。彼らは、人類にとってより明るい未来を築く企業を支えてくれるからだ。そう考えるのは私たちだけではないようだ。当機関の最初のプログラム「倫理的VCのためのアクセラレーター」には申し込みが殺到した。
2021年に自分のVCファンドを主導したい人に向けて、意欲に燃える投資家が自問すべき主要な質問を以下に挙げよう。
適切な理由で投資を行っているか?
スタートアップへの投資は、単に金銭を得ることではない。将来の業界リーダーとなるスタートアップを選ぶ際に、VCは他の何よりも有益な(あるいは悪影響を及ぼす)力を持っている。金銭だけが目的なら、投資対象は限定的なものになるだろう。優れた企業を見出すということは、その資本の範囲を超えて、企業のビジョンの長期性、社会への現実的な影響、そして消費者がどれほどその企業に愛着あるいはその反対の感情を抱くかを見極めることを意味する。
結局のところ、大半のスタートアップ創設者は、お金を稼ぐためだけでなく、世界に影響を与え、自身のミッションに沿った製品を作るために、自らの血と汗と涙をビジネスの構築に注ぎ込んでいるのだ。最高の創業者を引きつけたいと考える新しいベンチャーキャピタリストは、自分たちのファンドのビジョンとミッションを同じ観点から考える必要がある。
環境、社会、ガバナンス (ESG)の目標に関しては、VC企業は取り組みが遅れているが、時代が変化している兆候もある。企業の中には、外部からの影響力だけでなく、事業目標を推進するためにESGを実施するコミュニティを形成しているところもある。このトレンドを加速させるべく、私たちは弊社のVC Labの参加者に、倫理的で繁栄した健全な世界を作るための金融専門家の行動規範であるThe Mensarius Oath(ラテン語で「銀行家」または「金融家」の誓いを意味する)に忠順を誓うよう求めた。
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どのような価値をもたらすのか?
VCの数は増加の一途をたどり、業界はますます混み合った状態となっている。つまり、単に多額の資金を提供するだけでは、最高のスタートアップを引き付けることはできない。創設者は、量よりも価値を求めている。彼らは概して、空白の小切手よりも、ミッションの調整、接続性、付加価値サービス、業界の専門知識に目を向けている。
優れた創設者は複数の選択肢の中からVCを選ぶことができるのであって、その逆ではないことを忘れてはならない。自分が彼らに適した存在だと納得させるには、同じ業界での実績(または他の業界からの移行可能な経験)と信頼できる筋からの紹介が必要となる。また他のファンドとは一線を画すような、強力なバリュープロポジションやニッチも求められる。例えば、Untapped Capitalは「予想外」で「ネットワーク化されていない」創設者に、R42 GroupはAIと長寿にフォーカスしたビジネスに投資している。
創設者に価値を提供するプロフィールをまだ持っていないと思うなら、自分が何者であるかを正確に説明するために時間をかける価値がある。つまり、ファンドマネージャーとして達成したいこと、投資先企業に対するビジョン、そしてその実現のためにあなただけがどのように貢献できるか、を明確にすることだ。
秘められたソースは何か?
過去に実績のない新規VCファンドとして、リミテッドパートナー(LP)は当然ながらあなたのファンドに投資することに慎重になる。そのため、自分のストーリーを伝え、自分の評価を証明するブランドを構築しなければならない。
基本に立ち返り、自分の強みを正確に洗い出そう。インスピレーションを得るのに苦労しているのであれば「私はXを備えているので、最高の取引をすることができる」「私はXによって自分のポートフォリオ企業の成長を支援する」といった表現を使ってみて欲しい。現段階では、銀行の残高は競争力ではないので、手持ちの資金の量があなたの強みだということには慎重になるべきである。あなたの持つ独自性、信頼性、適合性にフォーカスしよう。多くの戦略的な人脈、広範な業界経験、成功したエグジットのバックシートを有することが、あなたの秘密の要素になるかもしれない。追加のガイダンスとして、私のチームがまとめたリソースをチェックすることで、ファンドマネージャーが自らのニッチを「投資テーマ」に組み入れる一助になればと思う。
リストができたら、自分の強みのトップ3を選び、それぞれの強みが自身のネットワークや専門知識によってどのように強化されるかを詳しく説明するフォローアップセンテンスを書き上げよう。理想的には、これらをテストグループ(友人、家族、仲間の起業家)と共有し、どれが最も説得力があるかを尋ねるのが望ましい。1つの点について全体的な合意が得られれば、それをあなたのVCファンドの命題の主要部分とすることができる。
強固なネットワークが確立されているか?
あなたが誰を知っているかは、あなたがどういった知識を有しているかと同じくらい重要である。最も著名なVCに見られる傾向として、情報と人々の流れの中に身を置いていることが挙げられる。ネットワークは、自分が尊敬されていることを創設者に伝え、彼らが将来のメンター、顧客、投資家、または雇用者とつながるための環境に迎え入れられることを保証するものとなる。
もしあなたが思想的リーダーや、UberやPayPalのような有名企業の出身者であったり、新興業界のコミュニティを始めているなら、ポジティブな取引フローを形成する可能性が高い。ただしこのようなステータスや関係は、ファンドを立ち上げる前に確立されていなければならない。ゼロからネットワークを構築しようとするとあまりに大変で混乱してしまい、自分を支える社会的な証明が得られなくなる。
自分のネットワークが満足のいくものかどうかを直感に頼るのは避けよう。人間関係を書き出し、親密さ(親しい人なのか、単なる知り合いなのかなど)に基づいて人を分類し、特性(消費者、金融、元CEOなど)を定義する。このような「マップ」はExcelシートのように基本的なものにしてカテゴリーごとに列を作ることもできるし、Canvaのようなもっと魅力的なビジュアルツールを使うこともできる。将来のチームと共有し、ネットワークのギャップを埋めることを促進するのに最適だ。
どのくらいの規模のファンドを立ち上げたいか?
VCファンドは他のビジネスと同じように運営される―ビジョンを描き、チームを募集し、組織を作り、資金を調達し、価値を提供し、ステークホルダーに報告しなければならない。始めるには、どのくらいの規模のファンドが必要かを検討し、少なくとも資金全体の10%をLPから調達する必要がある。LPには、企業、起業家、政府機関、その他のファンドが含まれる。
また多くのLPは、ファンド運営者がファンドの総額の少なくとも1%を個人的にまかなう「個人的関与」が望ましいと考えていることも心に留めておいて欲しい。
そうした理由から、500万ドル(約5億4000万円)から2000万ドル(約22億円)程度の小規模なスタートを切り、この「トレーニングファンド」を使ってリターンを示し、その後に続くより大規模な資金調達のための発射台を作るのが最善だ。
ローンチからエグジットまで創設者を支援できるか?
企業とのパートナーシップは長期的なものになるため、資金を提供すればそれで済むということではない。創設者はスタートアップのライフサイクル全体にわたって一貫したサポートを必要としている。あなたが最も一緒に働きたいと感じているスタートアップについて考えてみよう。将来どのように彼らを支援することができるだろうか?エグジット達成に向けてどのようなことができるのか?
スタートアップの成長に合わせて適用できるマーケティング、雇用、資金調達、文化創造に基づいた、さまざまなリソースやコネクションを確保する、というスキル中心のアプローチを取るとよいだろう。あるいは、短距離走的計画を立てて、創設者と頻繁に話し合い、その進捗に基づいてサポートの提供を繰り返すことも考えられる。サポートを構築する方法がどのようなものであっても、提供できる内容、VC側の都合、優先される関与、およびそれを実証する方法について、現実的であることに留意しよう。
ベンチャーキャピタルの将来は、創設者の新しいニーズを念頭に置いて資金を構築した、強固な価値観を持つベンチャーキャピタリストによって牽引されるだろう。かつてのVCは排他的でミステリアスな面を持っていたかもしれないが、2021年は、VCが企業や投資家に対してオープンかつ公正な空間を提供していく年になるかもしれない。
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カテゴリー:VC / エンジェル
タグ:コラム、Founder Institute
画像クレジット:PashaIgnatov / Getty Images
[原文へ]
(文:Jonathan Greechan、翻訳:Dragonfly)
- Original:https://jp.techcrunch.com/2021/05/29/2021-04-15-do-you-fit-the-mold-for-the-next-generation-of-values-driven-vcs/
- Source:TechCrunch Japan
- Author:Williesha Morris,Dragonfly
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