証券会社がApple株に珍しく「売り」判断〜総強気ムードで過熱感を警戒

Apple store フリー素材
 
iPhoneやiPadといったハードウェアだけでなく、App Storeを始めとしたサービス部門も堅調な伸びを示しているため、Appleの株価に対しては強気な見方を採るアナリストがほとんどです。しかし、そんな総楽観ムードに背を向け、Appleの収益見通しに厳しい視線を投げかける“天の邪鬼(あまのじゃく)”も存在します。

iPhone需要の鈍化に警戒

証券会社New Street Researchは、Appleの目標株価を従来の135ドル(約14,800円)から90ドル(9,860円)へと大きく引き下げ、投資判断を「中立」から「売り」に変更しました。Appleの株価は5月28日の終値で124ドル(約13,590円)となっています。
 
New Street Researchは目標株価を30%超も下方修正した理由について、iPhone需要が鈍化する可能性を挙げています。
 
Appleは2021年度第2四半期(1月〜3月:Apple独自の会計年度)だけで480億ドル(約5兆2,630億円)もiPhone収益を計上しているため、New Street Researchも現在“スーパーサイクル”にあることは認めます。
 
ただ一方で、「重要な問題は来年の状況だ」と述べ、旺盛なのは需要が前倒しされているために過ぎず、株価はネガティブな側面を適切に織り込んでいないと指摘します。また2021年秋に登場する次世代iPhoneは、イノベーションが限定的な“s”シリーズに相当する可能性や、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の一段落による経済再開に伴い、消費者向け電子機器の消費が減少する見通しなども理由に挙げました。

割高なのは事実だが

確かにNew Street Researchの弱気な見通しが、全く合理性を欠いているわけではありません。
 
企業の株価が割安か割高かを判断するための物差しとして、しばしば投資家はPER(株価収益率)に注目します。これは株価を一株あたりの利益で割った指標で、一般的には利益が下がり株価が同じならば、PERは上昇し割高感が強まっていると判断されます。
 
一般的には10倍〜15倍ほどが“正常”だと判断されるなかで、AppleのPERは5月28日の終値で28倍を記録しており、同社5年平均の18倍を大きく上回っています。
 
日本経済新聞によると、これまでは新型コロナウイルス感染が収束すれば企業業績が急回復するとして、PERの水準は過去平均に収れんしていくとの見方が正当化されてきたそうですが、依然としてテック企業を中心にPERは高止まりしたままのため、株価が過熱気味になっているのは確かでしょう。
 
とはいえ、先述したようにNew Street Researchのような見方は少数派で、投資銀行Morgan StanleyはAppleの第2四半期決算を受けて「極めて強気(increasingly bullish)」で臨むべきだとし、目標株価(12カ月以内)を161ドル(約17,650円)に設定しています。
 
 
Source:Bloomberg,CNBC,日本経済新聞
(kihachi)


Amazonベストセラー

返信を残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

CAPTCHA