Daloopa(ダルーパ)は、金融機関向けのデータ抽出技術の開発継続とグローバル展開のために、Credit Suisse Asset Management(クレディ・スイス・アセット・マネジメント)傘下のNEXT Investorsがリードする2000万ドル(約22億円)のシリーズAラウンドをクローズした。
Daloopaの共同創業者でCEOのThomas Li(トーマス・リー)氏は、ヘッジファンドのアナリストとして働いていた頃、分析や予測に使う情報の収集のために、反復的なデータ抽出をよく行っていた。
実際、同氏は、金融機関で働く弁護士などの財務に関わるプロフェッショナルが、そうした作業に勤務時間の約3分の1を費やし、さらに、すべてを手作業でスプレッドシートに入力しているとを知った。
「これは十分に大きな問題です。手作業によるデータ変換をなくすために、データ分析と予測のすべてをサポートする必要があり、そのための会社が必要です」とリー氏はTechCrunchに話した。「そうしたサポートがあれば、アナリストは本来の仕事に専念することができます」。
Daloopaのアイデアは5年前に同氏が思いついたものだ。だが、データ抽出の技術が整っていなかったため軌道に乗せることができなかったという。2019年、テクノロジーを取り巻く状況は、リー氏が共同創業者のDaniel Chen(ダニエル・チェン)氏、Jeremy Huang(ジェレミー・ファン)氏とともに、人工知能を駆使したソフトウェアによりデータ抽出機能ができるまでになっていた。顧客はボタンを2、3回クリックするだけでデータセットをリクエストでき、翌日には納品される。
金融データ収集の精度は「ミッションクリティカル(必要不可欠と言えるほど重要)」だ。ただ、リー氏によると、人工知能モデルは99%の精度までは得られないことが多いのに対し、Daloopaはそれを上回る精度を実現しているという。また、何千もの異なる文書からデータを収集するために必要なアルゴリズムを、インフラがサポートできるレベルのレイテンシーとボリュームが必要となる。
今回のシリーズAには、クレディ・スイスに加え、既存投資家であるNexus Venture Partners、Uncorrelated Ventures、Hack VCが参加した。Daloopaは、これまでにプレシードとシードの両方で2400万ドル(約26億円)を調達した。
今回の投資の一環として、NEXT InvestorsとNexus Venture Partnersは、それぞれDaloopaの取締役会に人員を派遣する。
Nexus Venture Partnersのマネージング・ディレクターであるAbhishek Sharma(アビシェーク・シャーマ)氏は電子メールで「Daloopaは、金融データの抽出と消費の方法を変えようとしています」と述べた。「そのインテリジェントな自動化アプローチは、コスト肥大化を解消し、データ抽出をスケーラブルに、正確さを保ちながら使えるものにします」。
同社は新たな資金を、製品の研究開発、スタッフの採用、採用した人が作業する技術スタックの開発に使う。また、セールス、マーケティング、オペレーション機能にも力を注ぐ。
Daloopaは、売上高に関する数値を明らかにしなかったが、6カ月前に製品を発表し、現在40社の企業顧客を抱えているという。同社は、ニューヨークに本社を置き、ニューデリーとリオデジャネイロにもオフィスを構える。
当初、Daloopaは上場企業の財務情報を中心に扱っていたが、今後は銀行が顧客との間で使う文書など、よりプライベートな文書のデータ抽出にも取り組んでいく予定だ。
カテゴリー:ソフトウェア
タグ:Daloopa、資金調達
画像クレジット:Ong-ad Nuseewor / Getty Images
[原文へ]
(文:Christine Hall、翻訳:Nariko Mizoguchi)
- Original:https://jp.techcrunch.com/2021/07/17/2021-07-15-credit-suisse-leads-20m-series-a-in-data-extraction-startup-daloopa/
- Source:TechCrunch Japan
- Author:Christine Hall,Nariko Mizoguchi
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