価値ある一本が見つかる“復刻モデル”のタイムレスな面白さとは?

【2021注目ウォッチ】

2021年に登場した新作ウォッチの中でも目立つのが往年の名機をリバイバルした“復刻モデル”たち。懐かしい中にも革新的なアップデートが施されているモデルが多く、永く愛用されてきたデザイン性もあって、定番を超えた魅力を備えている。そこで今回は時計ジャーナリストの篠田哲生さんに注目の復刻4モデルをピックアップしてもらった。

■復刻モデルは今年も豊富

「現代の時計業界では、“老舗ブランド”と“新興ブランド”が、激しく覇権を争っている。特に時計のアクセサリー化に伴い、デザインやカラーに対する自由度が高まると、革新的な戦略をとりやすい新興ブランドが有利に傾いている。そんな中で老舗ブランドが選んだのが『復刻モデル』という秘策。遡るべき名作が無ければ、復刻モデルを作ることはできないので、老舗ブランドのみに許された戦略といえるだろう。

長い間愛されてきた傑作は、トレンドは無縁でありタイムレスな魅力がある。だから長く使っていく高級時計に適しているのだ。

今年も多くの復刻モデルが登場したが、デザインを再現させるだけでなく、現代的な味付けをして進化させているのが特徴。歴史に忠実であるだけなく、革新させることで、より価値ある時計になっている」(篠田)

ケース素材にこだわりあり

オメガ
「シーマスター 300 “ブロンズゴールド”」
価格:136万4000円

ベースとなるのは1957年に誕生したダイバーズウォッチ「シ-マスター 300」。その復刻モデルは既に高い人気を誇っているが、今年は素材で新たな挑戦を行った。ケースに使用される「ブロンズゴールド」は、9Kゴールドとブロンズ、パラジウム、銀を掛け合わせることで、経年変化はゆっくりと進み、明るい色を長く楽しむことができるようになった。自動巻き、ブロンズゴールドケース、ケース径41mm。

ムーブメントにこだわりあり

ハミルトン
「イントラマティック クロノグラフH」
価格:27万6100円

1968年に発売されたクロノグラフを復刻。ツーカウンター式の黒×白ダイヤル(通称は逆パンダ)やミラネーゼブレスレットなど、当時のスタイルを丁寧に継承しているだけでなく、オリジナルモデルに合わせて手巻き式のクロノグラフムーブメントCal.H-51を搭載。味わいまで含めて復刻している。自動巻き、SSケース、ケース径40mm。

ダイヤル色にこだわりあり

ロンジン
「ロンジン レジェンドダイバー」
価格:31万4600円

1960年ごろに誕生したダイバーズウォッチの復刻版。故障の原因だった回転ベゼルをダイヤルの内側に移動させた機能的な構造が特徴で、ベゼル部分が主張しないたねダイヤル周りがすっきりする。既に人気モデルだが、今年はグラデーション仕上げを施したブルーダイヤルが加わった。防水性能は30気圧。自動巻き。SSケース。ケース径42mm。

ディテールにこだわりあり

ブローバ
「アーカイブスシリーズ オーシャノグラファー “デビルダイバー”」
価格:8万2500円

1970年代のダイバーズウォッチの復刻版で、当時流行したオーバル型のケースや海中での視認性を高めるオレンジ色のダイヤルなどを再現した。この意味深なモデル名は、防水性能の666Ft(200m)と、悪魔の数字である“666”をひっかけたもの。ラバーストラップも当時流行した「トロピック」と呼ばれるタイプになっている。自動巻き、SSケース、ケース径41mm。

<文/篠田哲生>

篠田哲生|男性誌の編集者を経て独立。コンプリケーションウォッチからカジュアルモデルまで、多彩なジャンルに造詣が深く、専門誌からファッション誌まで幅広い媒体で執筆。時計学校を修了した実践派でもあり、時計関連の講演も行う。

 

 

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