ブームの頃と何が変わった?今ドキのビッグスクーター注目モデル7選

今から20年ほど前から始まり、2000年代のバイク業界を席巻したビッグスクーター。国内メーカーは個性的なモデルをラインナップし、さらにそれらにカスタムを施したスクーターが、そこかしこを走っていました。このブームは海外にも伝播し、“Maxi Scooter”なんて呼ばれて人気を集めました。

そんなブームの頃を振り返りつつ、現在のビッグスクーター市場がどうなっているかを見てみましょう。

 

■カスタムされたモデルが街を走り回っていたフュージョン

1980〜90年代に隆盛を極めたレーサーレプリカブーム、その後、ネイキッドブームや「TW200」などを中心としたストリートバイクブームなどもありましたが、2000年代に最も盛り上がったのはビッグスクーターでした。ブームのきっかけには諸説ありますが、多くの人の記憶に残っているであろうモデルがホンダの「フュージョン」ではないでしょうか?

▲1986年式ホンダ「フュージョン」

発売されたのは1986年でレーサーレプリカブームの真っ只中。当時の筆者は「変わったデザインだな」と思っただけでしたが、このモデルがロングセラーとなり、2000年代のビッグスクーターブームの頃まで生き残ります。ロー&ロングなスタイルと、タンデムでも安定して走れる走行性能が人気の理由。

▲2006年式ホンダ「フュージョン SE・20th アニバーサリー」

“おじさん向け”と思われていたデザインが、若い世代に支持されるようになるという不思議な道を歩んだモデルでした。2006年には20周年を記念した限定モデルが発売されます。

▲2001年式ヤマハ「TMAX」

ビッグスクーターが海外でも支持されるようになるきっかけを作ったのは、2001年に発売されたヤマハの「TMAX」でした。単気筒がほとんどだったスクーターの世界で、500ccの2気筒エンジンを採用。前47%、後53%の重量配分と深いバンク角を実現し、スクーターでもスポーツ走行が楽しめるモデルとして、世界的に人気を集めました。

▲2002年式スズキ「スカイウェイブ650」

大排気量化の流れを決定づけたのが2002年に発売されたスズキの「スカイウェイブ650」でしょう。エンジンは638ccの2気筒で、当時の量産スクーターとしては世界最大のものでした。量産車初の電子制御式のCVTを採用し、走行状況に応じて変速パターンを切り替えることが可能。海外市場では「バーグマン650」として販売されました。

▲2000年式ホンダ「フォルツァ」

ほかにも、ビッグスクーター・ブームを牽引したモデルとしては、ヤマハの「マジェスティ」やホンダの「フォルツァ」などが思い出されます。当時はカワサキ以外の国産メーカーは複数のビッグスクーターをラインナップしていて、ヤマハの「マグザム」やスズキの「ジェンマ」など、個性的なモデルも登場しました。

当時はそこかしこで見かけたビッグスクーターですが、最近は見かけることも少なくなりました。でも実は、現行モデルはいくつも発売されています。そんな今も発売されている最新ビッグスクーターの注目モデルを見ていきましょう。
 

【現行注目モデル①】ホンダ「フォルツァ」

ブームの盛り上がりとともに、ビルドインのオーディオなど豪華な装備をどんどん追加していった「フォルツァ」でしたが、2016年に生産を終了します。しかし、2018年には大きくイメージを変えた新型が登場。ラグジュアリー化とともに大型化していた車体は軽量・コンパクトに生まれ変わり、取り回しのしやすいスポーティーなマシンとなりました。2021年には新世代の環境対応型エンジン「eSP+(イーエスピープラス)」を採用し、さらに魅力を増しています。

<SPECIFICATIONS>
ボディサイズ:L2145×W750×H1360mm
車両重量:186kg
エンジン:249cc 水冷単気筒
トランスミッション:無段変速式(Vマチック)
最高出力:23馬力/7750回転
最大トルク:24Nm/6250回転
価格:65万8900円

 

【現行注目モデル②】ホンダ「X-ADV」

2000年代のブームの頃とは全く異なる魅力を提案し、人気を集めているのが「X-ADV」。オフロードも走れてしまう足回りを採用し、近年人気の高いアドベンチャーモデルやSUVなどと近いイメージに仕上がっています。エンジンは745ccの2気筒で、変速にはデュアル・クラッチ・トランスミッション(DCT)を採用。発進時の加速力は凄まじく、信号待ちからのスタートで他車を置き去りにできる走行性能も魅力のひとつです。

<SPECIFICATIONS>
ボディサイズ:L2200×W940×H1340mm
車両重量:236kg
エンジン:745cc 水冷2気筒
トランスミッション:デュアル・クラッチ・トランスミッション(DCT)
最高出力:58馬力/6750回転
最大トルク:69Nm/4750回転
価格:132万円

 

【現行注目モデル③】ヤマハ「TMAX560」

スクーターの世界にスポーツの概念を持ち込んだ先駆者といえる「TMAX」は、その道を突き詰め、さらなる進化を遂げています。2020年のモデルチェンジで、水冷2気筒のエンジンは排気量を561ccまで拡大し、48PSを発揮。フロントフォークは倒立式となり、バネ下重量を軽減するなど、さらにスポーツ性能を高めています。近付いて来るだけで「TMAX」とわかる独特の排気音を響かせながら、深いバンク角を活かしてワインディングを駆け抜ける歓びは、このマシン独特のものです。

<SPECIFICATIONS>
ボディサイズ:L2200×W765×H1420mm
車両重量:218kg
エンジン:561cc 水冷2気筒
トランスミッション:Vベルト式無段変速
最高出力:48馬力/7500回転
最大トルク:56Nm/5250回転
価格:127万6000円

 

【現行注目モデル④】ヤマハ「トリシティ300」

フロント2輪の3輪という魅力をビッグスクーターの世界に持ち込んだのが「トリシティ300」。ヤマハでは「LMW」と呼びますが、通常のバイクと同じように車体をリーンさせて曲がれる3輪スクーターです。前輪が2つあることの安心感は、特に路面が荒れていたり濡れていたりするシーンでは絶大で、前輪のスリップを心配することなくライディングを楽しめます。292cの余裕ある走りで通勤などの街乗りはもちろん、長距離ツーリングまで対応できるモデルです。

<SPECIFICATIONS>
ボディサイズ:L2250×W815×H1470mm
車両重量:237kg
エンジン:292cc 水冷単気筒
トランスミッション:Vベルト式無段変速
最高出力:29馬力/7250回転
最大トルク:29Nm/5750回転
価格:95万7000円

 

【現行注目モデル⑤】スズキ「バーグマン400」

国内では「スカイウェイブ」、海外では「バーグマン」と2つの名前を使い分けていたスズキのビッグスクーターシリーズですが、2017年に登場したこのモデルより車種名を「バーグマン」に統一。左右独立式のLEDヘッドランプに、4輪のクーペモデルを思わせるスポーティなシルエットを採用。足付きも良いスリムな車体と400ccエンジンの余裕あるパワーで、通勤などの街乗りに適した車種です。

<SPECIFICATIONS>
ボディサイズ:L2235×W765×H1350mm
車両重量:218kg
エンジン:399cc 水冷単気筒
トランスミッション:Vベルト式無段変速
最高出力:29馬力/6300回転
最大トルク:35Nm/4900回転
価格:84万7000円

 

【現行注目モデル⑥】BMW「C400X」

輸入車らしい個性的なスタイリングが目を引くのが2021年に登場したBMWの「C400X」。左右非対称のヘッドライトは同社のアドベンチャーモデル「GS」シリーズと共通するイメージです。エンジンは単気筒ですが、電子制御スロットル「ライド・バイ・ワイア」を採用し、ライダーの意図に沿ったスロットルワークを実現します。石畳の路地が似合いそうなスタイリングと、長距離ツーリングもこなせる走行性能を両立している点が魅力です。

<SPECIFICATIONS>
ボディサイズ:L2120×W835×H1305mm
車両重量:206kg
エンジン:350cc 水冷単気筒
トランスミッション:CVT
最高出力:34馬力/7500回転
最大トルク:35Nm/5750回転
価格:87万円

 

【現行注目モデル⑦】SYM「CRUiSYMα300」

スクーター大国・台湾のSYMが手掛けたビッグスクーターがこちら。長距離ツーリングに対応したアドベンチャー要素を取り入れたモデルで、フロントにくちばしのようなデザインがあしらわれているのは、アドベンチャーモデルからインスパイアされたもの。トラクションコントロール機構も備え、現代のビッグスクーターらしい走りが味わえます。

<SPECIFICATIONS>
ボディサイズ:L2189×W760×H1440mm
車両重量:195kg
エンジン:249.4cc 水冷単気筒
トランスミッション:CVT
最高出力:15.8kW/7500回転
最大トルク:23.5Nm/5500回転
価格:64万9000円

 

<文/増谷茂樹

増谷茂樹|編集プロダクションやモノ系雑誌の編集部などを経て、フリーランスのライターに。クルマ、バイク、自転車など、タイヤの付いている乗り物が好物。専門的な情報をできるだけ分かりやすく書くことを信条に、さまざまな雑誌やWebメディアに寄稿している。

 

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