食料品や日用品を24時間、一律1.95ドル(約215円)で配達する「インスタント」宅配サービスを米国で始めたスタートアップのGopuff(ゴーパフ)は、サービスを米国および世界でさらに拡大するため、大規模な資金調達を実施した。フィラデルフィアを拠点とする同社は、シリーズHラウンドで10億ドル(約1100億円)を調達し、バリュエーションは150億ドル(約1兆6500億円)に達した。
新たな出資者には、BlackstoneのHorizonsプラットフォーム、Guggenheim Investments、Hedosophia、Adage Capitalが含まれる。これまでに出資していたFidelity Management and Research Company、Softbank Vision Fund 1、Atreides Management、Eldridgeもこのラウンドに参加した。
このニュースは、TechCrunchによる先週のスクープを裏づける。このシリーズHがクローズする前に報じたものだ。
Gopuffは今回の資金調達を、北米、英国(すでにFancyを買収済みで、情報筋によるとさらにDijaを買収予定)、欧州での事業拡大の継続、雇用の拡大、顧客・ドライバー・サプライヤー・配送センターを含むエコシステムの橋渡しをする技術プラットフォームの構築に充てる予定だと述べている。
Gopuffは現在、北米と英国で450カ所の拠点で運営しており、その中には285カ所以上のダークストア(同社の言葉を借りれば「マイクロ・フルフィルメント・センター」)と、2021年初めのBevMo買収で得た185店超の小売店が含まれている。
同社がこのように多額の資金を調達した理由の1つは、食品をベースとし、物流を推進力とする輸送ビジネスを、それらにともなうすべてのパラメータに沿って構築することが資本集約的であるということだ。
だが、このような成長のための努力は、競争という強力な波の中で行われている。トルコのGetirはセコイアなどの投資を受け、直近では75億ドル(約8250億円)の評価がついているが、この会社も積極的に事業を拡大している。また、欧州だけを見ても、Flink、Gorillas、Glovo、Zapp、Cajoo、Weezyなど、銀行口座を膨らませ、宅配バッグをひっさげて参戦する企業が続々と登場している。米国では、DoorDashのような既存の宅配大手もGopuffの領域に深く入り込んでくる。
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Gopuffは、これらの企業にひと泡吹かせることができると信じている。同社は、現在の共同CEOであるRafael Ilishayev(ラファエル・イリシャエフ)氏とYakir Gola(ヤキール・ゴラ)氏が大学在学中の2013年に創業した。彼らは、自分たちのような学生にとっての市場には埋めるべきギャップがあると見た。同社は、ギャップを埋めるにとどまらず、必要な品物を比較的低コストで、実際に自ら取りに行かずに、すばやく手に入れたいと考えている人たちに向け拡大してきた。
新型コロナウイルスの蔓延を防ぐために、多くの人が自治体の命令または自分の判断により自宅にとどまっていた時期に、Gopuffの存在は、消費者心理を損なうことなく簡単にそれに従うことができる手段として急速に広まった。
しかし、トルコのGetirのような企業は何年も前から存在しており、必要な商品を「即座に」配達するモデルを構築し、そのコンセプトになお十分な力があることを実証した。それこそがGopuffが賭けようとしているものだ。
「Gopuffは、非常に強力なビジネスを静かに構築し、進化するこのカテゴリーを定義し続けるリーディング・プレイヤーとしての地位を確立しました」とGuggenheim Investmentsのグローバル・チーフ・インベストメント・オフィサーであるScott Minerd(スコット・マイナード)氏は声明で述べた。「ラファエルとヤキールは、戦略的な成長機会を成功させる能力を持ちながら、財務的責任を果たすことを重視しています。この冷静なアプローチとGopuffのすばらしい製品は、その姿をわずかに見せたにすぎません。私たちは、この非常に強力な企業を支援できることを喜んでおり、Gopuffの旅と継続的な拡大の一部になれることを楽しみにしています」。
Gopuffの戦略は、基本的な必需品の即時配達を、より効率的な流通と「必需品」を構成する内容の拡大によって強化することにあった。
そのため、商品を購入した顧客に簡単に商品を提供するために、地域に密着した「ダーク」ストアを設置することに加えて、出来合いの食品を作って配送する「Gopuffキッチン」を始めたり、2020年11月にアルコール小売店のBevMoを3億5000万ドル(約385億円)で買収したり、1億1500万ドル(約127億円)でのrideOSの買収という形で多くの物流テクノロジーを獲得したりしている。
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Gopuffは、これらすべてのために資金調達を続けてきた。3月に89億ドル(約9760億円)のバリュエーションで11億5000万ドル(約1265億円)を調達したばかりだが、その数カ月前には38億ドル(4180億円)のバリュエーションで3億8000万ドル(約418億円)を調達している。直近3回のラウンドを合わせると、10カ月間で約25億ドル(約2750億円)の資金を調達したことになるが、今回のアイデアは、調達する資金がさらに増えるかもしれないということを意味しているようだ。
「Gopuffがインスタント・ニーズ・エコノミーを定義し続ける中で、長年の投資家からの支援に加えて、新たに重要なグローバル・パートナーを迎え入れることができ、大変うれしく思っています」とイリシャエフ氏は声明で述べた。「今回の資金調達は、我々のモデルの成功をさらに証明するものであり、我々が最も得意とすること、すなわち比類のない顧客体験を提供し続けることを可能にしてくれます」。
「当社は、主要な事業上の優先事項に力を注いできました。米国および海外の新市場に参入することで地理的拡大を加速させ、顧客のために革新を行い、当社の技術、人材、パートナーに多大な投資を続けてきました」とゴラ氏は付け加えた。「我々は、これからも顧客の体験を向上させ、Gopuffの魔法を世界中の新しい顧客に届けることを楽しみにしています」。
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カテゴリー:その他
タグ:Gopuff、デリバリー、資金調達
[原文へ]
(文:Ingrid Lunden、翻訳:Nariko Mizoguchi)
- Original:https://jp.techcrunch.com/2021/08/02/2021-07-30-gopuff-confirms-new-1b-cash-injection-at-a-15b-valuation-to-expand-its-instant-grocery-delivery-service/
- Source:TechCrunch Japan
- Author:Ingrid Lunden,Nariko Mizoguchi
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