ドイツの電動航空機メーカーであるLilium(リリウム)は、ブラジル最大の国内航空会社の1つであるAzul Brazilian Airlines(アズールブラジル航空)と、総額10億ドル(1092億円)におよぶ220機の受注に向けた条件交渉を行っていると、両社は米国時間8月2日に発表した。アズール航空との契約が進めば、Liliumにとって創設以来最大規模の受注であり、南米市場への初進出を果たすことになる。
Liliumの広報担当者は「タームシートには調印しており、今後数カ月以内に最終合意に向けて動き出します」とTechCrunchに語った。
この220機の航空機は、ブラジルで運航される新しい共同ブランドの航空会社ネットワークの一部として飛ぶことになる。両社が合意に達した場合、アズール航空は7人乗りフラッグシップ機の運航とメンテナンスを行い、Liliumは交換用バッテリーを含むカスタムスペアパーツと機体の健康状態を監視するプラットフォームを提供する。
納入は2025年に始まる予定だ。これはLiliumが計画している欧州と米国での商業運航開始から1年後にあたる。ただし、これらのタイムラインは、Liliumが各国の必要な航空宇宙規制機関から、主要な認証承認を得ることが前提となっている。アズール航空は今回の契約の一環として「ブラジルで必要な規制当局の承認プロセスにおいてLiliumをサポートする」と述べている。
仮に契約が成立したとしても、Archer Aviation(アーチャー・アビエーション)がUnited Airlines(ユナイテッド航空)から10億ドルの注文を受けた際の条件と同様に、Liliumが一定の性能基準やベンチマークを達成することが条件となるだろう。しかし、このような金額の受注があるということは、市場や投資家に対して、電動垂直離着陸機(eVTOL)がまやかしではないという肯定的なシグナルであると考えられる。
また、これもArcherと同様に、LiliumはSPAC(特別買収目的会社)方式での上場を計画している。同社は2021年3月、Qell Acquisition Corp.(ケル・アクイジション)と合併して「LILM」というティッカーシンボルでNASDAQに上場する意向を明らかにした。SPAC方式は、交通機関業界全体で一般的な上場手段となっているが、特に資本集約的なeVTOLスタートアップには人気がある。
この合併は、同社の事業継続のために必要なものと思われる。ドイツのニュースサイト「Welt(ヴェルト)」によると、Liliumは2019年の貸借対照表に、SPACとの合併が完了しない場合には2022年12月に資金が枯渇すると記したリスク警告を追加したとのこと。
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カテゴリー:モビリティ
タグ:Lilium、eVTOL、ドイツ、ブラジル、Azul Brazilian Airlines、SPAC
画像クレジット:Lilium
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(文:Aria Alamalhodaei、翻訳:Hirokazu Kusakabe)
- Original:https://jp.techcrunch.com/2021/08/04/2021-08-02-lilium-in-talks-with-brazilian-airline-for-1b-order/
- Source:TechCrunch Japan
- Author:Aria Alamalhodaei,Hirokazu Kusakabe
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