総務省は8月10日、SIMロックの原則禁止とeSIMの早期普及に向けたガイドラインを公開しました。2021年10月以降に販売される端末は、原則としてSIMロックが禁止されます。
5月〜6月のパブコメを経てガイドライン制定
総務省は8月10日、SIMロックの原則禁止を定めた「移動端末設備の円滑な流通・利用の確保に関するガイドライン」の改正版と、「eSIMサービスの促進に関するガイドライン」を公開しました。
これらのガイドラインは、総務省の有識者会議「スイッチング円滑化タスクフォース」が5月28日に公開した報告書に対応して案が作成され、5月29日から6月28日に実施された意見募集(パブリックコメント)で寄せられた意見を踏まえたものです。
SIMロックの原則禁止、例外は非常に厳しく
「移動端末設備の円滑な流通・利用の確保に関するガイドライン」では、SIMロックについて「利用者の利便を損ない、利用者の権利を制限する」「役務契約の締結や変更のコストを押し上げ」「事業者間の競争を阻害する」と位置づけ、原則禁止を明示しています。
2021年10月1日以降に販売される端末は、SIMロックを解除した状態で販売することが原則として義務付けられます。
例外的にSIMロックの設定が認められる例として、割賦払いにした端末代金の不払いを防止する手段がない場合に、事業者が総務省に資料を提出し確認を求め、総務省は有識者に意見を聞いた上で判断するとされており、非常にハードルが高くなっています。
ガイドラインは事業者に対して、端末販売および持ち込み契約への通信契約締結の際に、利用者に十分な情報提供を行い、SIMロック以外の機能制限の設定も行わないよう求めています。
eSIM普及のために利用者へのサポート充実など求める
「eSIMサービスの促進に関するガイドライン」では、オンラインで通信事業者の変更が可能になり、海外旅行者の利便性向上につながるとして、通信事業者にeSIMの普及促進に取り組むよう求めています。
具体的には、MNO(大手キャリア)によるeSIMサービス提供に加えて、MVNOがeSIMサービスを提供できるよう、オンラインでプロファイルの書き込みなどができるRSP(Remote SIM Provisioning)機能を解放が必要、としています。
また、eSIMサービスの契約締結に際しての本人確認は、オンラインで完結するeKYC方式が適当、としています。
ガイドラインでは、eSIMサービスの促進にあたって留意すべき事項として、利用者へのサポート充実、セキュリティ確保を事業者に求めています。
SIMロックの利点についての認知拡大が必要
SIMロック禁止が普及すれば、利用者は通信事業者を乗り換えやすくなり、事業者間の競争が進むことで料金の引き下げが進むと総務省は期待しています。
しかし、2021年1月に公正取引委員会が実施した消費者調査の結果によると、自分の端末にSIMロックがかかっているかを「知らない」という回答が4割を占め、SIMロックがかかった端末を使い続ける理由の上位に「解除できることを知らなかった」「必要性がない」「手続きが面倒」などが並び、SIMロック解除の利点について認知が広まっていないのも事実です。
同調査では、eSIMの利用者は全体の2%程度にとどまるものの、MNO利用者の40%、MVNO利用者の57%がeSIMを利用したいと考えていることも分かっています。
MNO各社のSIMロック解除も進む
MNO各社は現在、楽天モバイルとNTTドコモがSIMロックのない状態で端末を販売しています。
ソフトバンクは8月10日に、ソフトバンク、LINEMO、Y!mobileの間での乗り換え手続きを簡素化するとともに、乗り換え時にSIMロックを自動解除すると発表しています。
6月末には、KDDIがSIMロック解除方法を案内するWebページに、検索エンジンでヒットしないようタグを埋め込んでいたことが判明していました。
Source:総務省
(hato)
- Original:https://iphone-mania.jp/news-389403/
- Source:iPhone Mania
- Author:iPhone Mania
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