自宅で野菜やハーブを栽培しよう、Rise Gardensが10億円の資金調達で成長拡大

野菜を中心とした食事や、持続可能な食生活を実践する消費者が増える中、Rise Gardensは、誰もが自宅で植物を栽培できるシステムを展開している。

シカゴを拠点とし、スマートな屋内水耕栽培ビジネスを展開するRise Gardensは、このたび、TELUS Ventures(テラスベンチャーズ)が主導するシリーズAラウンドにおいて、オーバーサブスクライブ(申し込みが上回る)で900万ドル(約10億円)を調達した。ラウンドには既存の投資家であるTrue Ventures(トゥルーベンチャーズ)とAmazon Alexa Fund(アマゾンアレクサファンド)、および新規投資家であるListen Ventures(リッスンベンチャーズ)が参加。Rise Gardensの創業者かつCEOのHank Adams(ハンク・アダムス)氏は、TechCrunchの取材に応じ、2017年の設立以来、ベンチャーキャピタルから合計1300万ドル(約14億4000万円)を獲得した、と答える。

スポーツテクノロジーの専門家だったアダムス氏は、2019年に最初の製品を発売するまで、設立前から数年かけてプロトタイプに取り組んできたと話す。IoTを利用したRise Gardensシステムでは、野菜、ハーブ、マイクログリーンを1年中栽培できる。

Rise Gardensシステムは3つのサイズから選択可能で、ユーザーは約300ドル(約3万3000円)で「庭」を持つことができる。

何かを育てることには「一種の喜び」があるが、手間がかかったり、ストレスになったりするような趣味には手を出したくない、だからサポートが必要なのだ、とアダムス氏は話す。Rise Gardensに付属するモバイルアプリは、水量や植物の成長状況をモニターし、水や肥料の与え方、手入れのタイミングをユーザーに知らせてくれる。

アダム氏はこう続ける。「皆が食べ物に注意を払い、自分の食事に気を配っています」「自分が食べるものを育てることに興味を持つ人が増えました。世界的なパンデミックも一因でしょう」。

実際、消費者の関心は高く、2020年にはRise Gardensの売上高は7桁(日本円では1億円)を超え、Gardensシステムは1年間に3回も完売した。ユーザーは10万本近くの苗を購入し、5万本を収穫している。

同社は、2019年の製品発売以来、フードロスを907kg以上削減し、946トンの水を節約することに貢献したと推定している。

屋内ファームのコンセプトは新しいものではない。すでに同様のサービスを展開している企業には、AeroGarden(エアロガーデン)、2020年11月にScotts Miracle-Gro(スコッツ・ミラクル-グロー)に買収されたAeroGrow(エアログロー)、Click & Grow(クリックアンドグロー)などがある。Rise Gardensは、Gardyn(ガーディン)などと同様、資金調達を行った新しいスタートアップ企業の1社である。

Rise Gardensは、粉体塗装の金属やガラスを使った、室内で人目をひくようなデザインのGardensシステムで、競合他社との差別化を図っている。さらに、ユーザーが自分の「庭」でさまざまなことを試せるようにしている。

「趣味も極めると飽きてしまうので、柔軟性のあるものがいいと考えました」「レベル1からスタートして、トレイの蓋を交換することで、より高密度に栽培することができます。マイクログリーンキットを追加したり、トマトやピーマン用に支柱を追加したり、スナップエンドウをつるすためのトレリスを作ったりすることもできます」とアダムス氏。

シリーズAの資金は製品開発、在庫管理、製造、新市場への進出、チームの増強(特にカスタマーサービスとマーケティング)に充てられる。現在、同社の従業員は約25名で、2021年中にさらに8名を増員する予定だ。

Rise Gardensのプロダクトは、(同社のウェブサイト以外では初めて)Amazonでの販売も間もなく開始される。学校にも進出し、アダムス氏はこれを「学校菜園バージョン2.0」と呼んでいる。

TELUS Venturesのプレジデント兼マネージングパートナーであるRich Osborn(リッチ・オズボーン)氏は、屋内ファームの分野を評価した際、Rise Gardensとアダムス氏が選ばれたのは、彼らのバックグラウンド、データエクスペリエンス、そしてAmazonとの協力体制によるものだ、とTechCrunchに語る。

オズボーン氏によると、この種の製品に対する消費者の需要だけでなく、この種の投資から生み出される持続可能性と社会的影響は、強調してもし過ぎることはない、という。

TELUS Agriculture(テラスアグリカルチャー)の暫定プレジデントであり、アグリビジネス・グローバルマネージングディレクターであるNishan Majarian(ニシャン・マジャリアン)氏は、作物の成長には個体差があるので、将来的に作物の管理は植物単位で行われるようになるだろう、と話す。

マジャリアン氏は次のように続ける。「Climate Corp.(クライミットコーポレーション)がMonsanto(モンサント)に買収されて以来、次の10億ドル(約1105億)を獲得すべく、農業に大規模な投資が行われています」「農業作物は、分類化されていないサプライチェーンです。作物1つ1つが異なり、市場も異なります。そのため、これらの問題と規模を解決するために資金を調達するスタートアップ企業にとっては、身近で、複雑で、いうなれば肥沃な土壌になるのです」。

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画像クレジット:Rise Gardens

原文へ

(文:Christine Hall、翻訳:Dragonfly)


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