【アウトドア銘品図鑑】
キャンプ設営で求められているのは、あらゆる環境で打ち込みやすくて抜けにくい、持ち運びが楽なペグです。
V型やX型にして曲がりにくく抜けにくく仕上げた軽さ自慢のアルミ製ペグ、重いけれど凍った地面でもグイグイ打ち込める鉄の鍛造ペグやステンレスペグなど、いろいろなメーカーが素材と形を組み合わせて最適解のペグを作っていますが、基本的にまっすぐの棒状。突起がついたサンドペグ、スクリューペグなんてものもありますが、砂地や雪上で威力を発揮するものの通常の地面では抜くのに苦労するわけで、一般的ではありません。
サルタハイクはペグの常識に一石を投じた新しいペグを作りました。その名も「BITE STAKE」(648円)。今年の春、クラファンに挑戦して見事目標の400%を達成したことで話題となりました。
道案内の神の名前を由来とするサルタハイクは今年誕生したばかりのブランドで、プロダクト第一弾が「BITE STAKE」。キャンプ好きの兄弟がはじめたブランドで、強風で曲がった鍛造ペグを見て「曲がる方向に強くすればいいのでは」と思いついたのが開発のきっかけです。
■280mmのペグに匹敵する抵抗力
全長229mm、幅8〜21mm、厚さ8mm、重さ175gのペグは280mmのペグに匹敵する抵抗力を持っています。
▲全体にゆるやかな弧を描く板状ペグ。SS400・クロムメッキの美しさも自慢
張り綱が風などによって引っ張られてペグに力が加えられるわけですから、ペグにかかる力は基本的に一方向に限定されます。
「BITE STAKE」はこれに着目。棒状にするのではなく板状にして、板の幅を広げる(最大幅21mm)ことで、張り綱に力がかかっても曲がりにくくしているんですね。
サルタハイクが第三者機関に依頼したテストによると、「BITE STAKE」が曲がり始めるのは張り綱の耐荷重に匹敵する2771N(282kgf)だったそう。
幅広のヘッドで打ち損じしづらい形です。それに板状なのでハンマーで打ち込んでいるうちに張り綱を引っ掛けるフックの位置が回転するなんてこともありません。
おもしろいのがこのヘッドのデザイン。破線で示したラインが打ち込みガイドとなっています。どういうことかと言うと、破線部分が地面に垂直になるようペグを持ちハンマーで打ち込めば、ちょうどいい角度になるというわけです。
また、ペグ先端とヘッドの角度差は約30度となっていて、引き抜く力にも抵抗が生まれるんです。これも第三者機関でテストを行い、280mmの棒状ペグと同等の抵抗力を記録したそう。
フィールドで使ってみました。「BITE STAKE」のヘッドは20mmほどあり、ハンマーの芯を捉えやすく、ぐいぐい入っていきます。ただ、ゴロゴロ石が点在する地面では石を砕くほどのパワーはありませんし、砂地では幅広ではあるものの短いため保持力はさほどないので注意。
一方、地面に食い込めば、張り綱を持っていろいろな方向に引っ張ってみましたがびくともしません。いざ抜こうと思ったときにそのままスポッと抜けることはなく、「スクリュー並に抜けづらい? やっちまったのか!?」と焦りますが、別のペグを丸い穴に差し込んで左右に揺らしてからであれば一般的な鍛造ペグとさほど変わらない力で抜けました。
▲幅広のペグですが、互い違いに向ければすっきり
▲余計な出っ張りがないフラット形状なので2段、3段と重ねられます
独特のデザインは所有欲を満たしてくれますし、仲間のペグと混じってしまうなんてこともありません。1本175gなのでお世辞にも軽いとは言えませんが、長さを抑えたいバイクでのキャンプには一考の価値ありです。
>> サルタハイク
<取材・文/大森弘恵>
大森弘恵|フリーランスのライター、編集者。記事のテーマはアウトドア、旅行、ときどき料理。Twitter
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- Original:https://www.goodspress.jp/reports/412093/
- Source:&GP
- Author:&GP
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