TechCrunch Tokyo 2021 スタートアップバトル優勝は、ゲノム編集で食糧危機を救うリージョナルフィッシュ

12月3日、スタートアップとテクノロジーの祭典「TechCrunch Tokyo 2021」はすべてのプログラムを終え、閉幕した。イベントの最後を飾ったのは、2日間にわたって開催された設立3年以内のスタートアップによるピッチバトル「スタートアップバトル」の表彰式だ。スタートアップバトル初日では、書類選考を勝ち抜いた20社がステージ上でピッチを行い、決勝に進む6社が選ばれた。そしてイベント2日目となる12月3日、スタートアップバトル最終審査員の前で決勝進出企業のピッチが行われた。

2日間に渡る激闘を勝ち抜いたのは、リージョナルフィッシュだ。同社は、DNAを狙って壊しその自然の回復力で自然な変異を起こす「欠失型ゲノム編集」により、超高速の品種改良とスマート陸上養殖を組み合わせた次世代水産養殖システムの研究、およびゲノム編集により生み出された「22世紀鯛」の販売を行うスタートアップだ。22世紀鯛は、一般的な品種よりも少ない飼料で育ち、可食部が約1.2〜1.6倍に増え、通常より14%飼料効率が高いという特徴がある。同社はこの技術を用い、より良質で効率的なタンパク質源を確保することで、タンパク質の需要が供給を上回る「タンパク質クライシス」という大きな課題に立ち向かう。

クレジット:https://regional.fish/

TechCrunch Tokyoのスタートアップバトルでは、2018年優勝のムスカに続き、テクノロジーの力で食糧問題という大きな課題を解決しようとするスタートアップが最優秀賞を獲得することとなった。リージョナルフィッシュ代表取締役の梅川忠典氏は表彰を受け、「私たちのような1次産業を扱うスタートアップでも、スタートアップバトルのようなピッチバトルに勝てるということを示せて嬉しい」と述べた。

なお、最優秀賞を除く各特別賞の受賞企業は以下の通り。

最終審査員の千葉功太郎氏は表彰式で、「ここ数年の中ではじめて、5名の審査員全員が1位に指名した。めずらしいことだ。審査の決め手は、世界の食糧問題の解決やESGに真っ向勝負している点、そして、より重要なのは、『美味しさ』という点を損なわずに世界を変えようとしている点だ」と総評した。

写真左より、最終審査員の千葉氏、リージョナルフィッシュ代表の梅川氏

TechCrunch Japanではスタートアップバトルに出場した有望なスタートアップの今後を追っていくつもりなので、ぜひ注目いただきたい。


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