住宅ローンBetter.comのCEOが大量レイオフの「失態」を現役社員に謝罪、SPACは延期に

Better.com(ベター・ドットコム)のCEOであるVishal Garg(ヴィシャール・ガーグ)氏は、明らかに自分が誤ったことをしたと認識しているようだ(まるで否定的な報道の嵐がその十分な証拠ではなかったかのように)。

米国時間12月8日、現従業員に宛てた手紙が、Betterの確認済みの従業員によってBlind(ブラインド)にリークされた。その手紙の中で、先にニュースとなった、ガーグ氏が(不適切に)行ったレイオフに関して謝罪し、こう書いている「私は、今回のレイオフの影響を受けた人たちや彼らの同社への貢献に対して、適切な敬意と感謝を示すことができませんでした。レイオフを決定したのは私ですが、その遂行を私は誤りました。それにより、みなさんに恥をかかせてしまいました」。

彼自身も恥をかいたという人もいるかもしれない。複数の関係者によると、影響を受けた従業員の中には、同社のダイバーシティ&インクルージョンチームも含まれているそうだ。

12月8日未明、同社の内部事情に詳しい関係者がTechCrunchに語ったところによると、同社のコミュニケーション担当副社長のPatrick Lenihan(パトリック・レニハン)氏、広報担当部長のTanya Gillogley(ターニャ・ギログリー)氏、マーケティング担当部長のMelanie Hahn(メラニー・ハーン)の3名が辞表を提出したとのことだ。また、Insider(インサイダー)も同じくこのニュースを報じている。

TechCrunchが最初に報じたように、CEO兼共同創業者であるヴィシャール・ガーグ氏が約900人のレイオフを実行したことによる影響は、Zoom上で処理されたという批判から、ガーグ氏の不誠実さへの非難まで、広範囲に及んでいる。このビデオに関するミームはTikTokにまで波及し、世界中の人々がガーグ氏の行動をこきおろしている。

先週の動きは、デジタル住宅ローンの貸し手である同社が、ブランクチェックカンパニー(白地小切手会社)のAurora Acquisition Corp.(オーロラ・アクイジション・コーポ)やSoftBank(ソフトバンク)とのSPAC(特別買収目的会社)契約の修正として、約7億5000万ドル(約853億円)の現金注入を受けたと発表した後、すぐに1万人の従業員の約9%をレイオフしたことによるものだ。同社は、69億ドル(約7800億円)の評価額で上場する見込みだ。

Bloomberg(ブルームバーグ)が報じたところによると、同社は当初、2021年の第4四半期にクローズすると予想されていたSPACを(当然のことながら)延期することになったという。

また、ガーグ氏は今週のFortune(フォーチュン)誌に対して、同社がレイオフした「少なくとも250人」のスタッフが1日2時間しか働かずに会社や顧客から金を盗んだとして非難したことを認めた。ガーグ氏は、レイオフを発表してから間もなく、ライブストリーミングによるタウンホールでスピーチを行った。Insiderにリークされた会議の記録によると、彼は「ぜい肉を落として競争力をつけた、ハングリーな労働力」を目指す「Better 2.0」と呼ばれるビジョンを打ち出したという。

TechCrunchは、Better.comにコメントを求めたが、本稿執筆時点ではまだ回答は得られていない。また、退職したとされる従業員も、コメントを求められても応じていない。

SoftBankが支援するプロップテックで、公開デビューを前にトップが退職したのはBetter.comだけではない。2019年にもInsiderは、社内での不満やIPO計画をめぐる不確実性が報じられるなか、WeWork(ウィワーク)の十数人のトップが同社を去ったと報じた。

現時点で私たち全員が考えているのは、投資家や役員がガーグ氏のこの種の行動を容認するのか、それともAdam Neumann(アダム・ノイマン)氏のように追い出されるのかということだ。

関連記事:WeWorkのニューマンCEOが辞任、非常勤の会長職に

ガーグ氏があまりいい人ではないという評判は、2020年、Forbesがガーグ氏から社員に送られたメールの内容を明らかにした時にさかのぼる。「やぁ、 優秀なチームよ、目覚めなさい。あなたたちはあまりにも遅い。あなたたちは馬鹿なイルカの集団で、【略】馬鹿なイルカは網にかかってサメに食べられてしまう。だから、やめなさい。やめなさい。今すぐやめなさい。あなたは私に恥をかかせている」。

同じForbesの記事によると、ガーグ氏はPIMCO(ピムコ)やGoldman Sachs(ゴールドマン・サックス)などから「過去の2つの事業における不適切で詐欺的な活動」や「数千万ドル(数十億円)の不正流用」などの理由で、多くの訴訟を起こされていたことが明らかになっている。

最近の借り換え件数の減少は、Better.comが従業員の一部をレイオフすることを決定した要因であると考えられている。

2020年4月、同社は、歴史的な低金利の住宅ローンに直面して住宅の借り換えを求める人が増えていることから「人員を積極的に採用する」と述べていた。当時、私はCrunchbase News(クランチベース・ニュース)で、ガーグ氏から社員への内部メモにより、住宅ローン融資のスタートアップが「より多くの住宅所有者がオンラインに移行してきている」というニーズに応えるため、全体として2020年に約1000人の雇用を検討しているということが明らかになったと報告していた。

画像クレジット:Better.com / Instagram

原文へ

(文:Mary Ann Azevedo、翻訳:Akihito Mizukoshi)


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