Twilio(トゥイリオ)は開発者と直接仕事をする企業であり、Twilioを利用して企業を設立する開発者を支援する社内投資部門を持つことは非常に理に適っている。通信API企業であるTwilioは米国時間12月8日、同社を利用している企業や、革新的なアイデアに取り組んでいる企業への投資を目的とした5000万ドル(約57億円)のファンド、Twilio Venturesの設立を発表した。
この新しい投資部門の責任者である経営企画担当上級副社長Bryan Vaniman(ブライアン・ヴァニマン)氏は、ファンドを設立して投資を開始するというミッションを持って、3月にAdobe(アドビ)から移ってきた。多くの企業のように資金調達の仕組みを持つことは、アプリケーションをより早く構築するためのツールを開発者に提供するというTwilioのミッションの自然な延長線上にあるものだとヴァニマン氏は話す。
「このファンドは、次世代のカスタマーエンゲージメントアプリケーションを構築する開発者やスタートアップを支援するためのものです。当初から開発者を第一に考えていた当社にとって、これは自然な流れだと思います」と述べた。
同社は2020年、32億ドル(約3640億円)を投じてSegment(セグメント)を買収したが、Twilio Venturesが出資する企業を探す際には、顧客エクスペリエンスが大きな焦点となっている。
「何よりもまず、開発者と顧客エンゲージメントアプリケーションのための次世代機能を構築しているエキサイティングな企業を支援することで、そのエコシステム内での当社のリーチと影響力を拡大する機会だと考えています」とヴァニマン氏は話した。
同氏によると、Twilio Venturesは多くの場合、シリーズAラウンドに投資するが、企業との相性が良ければそれ以降、またはそれ以前にも投資する。通常、出資額は100万ドルから300万ドル(約1億1000万〜3億4000万円)の範囲となる。
予想通り、Twilio VenturesはすでにTwilioと共通点の多い企業数社に投資している。「当社が行なったいくつかの投資をみると、Algolia(アルゴリア)は我々と非常によく似た開発者の精神を共有する企業の好例です。Algoliaは、開発者がすばらしい検索推薦体験を構築できるようなAPIを開発しました」とヴァニマン氏は述べた。
これらの企業への正確な投資額は明かさないが、セカンダリーの戦略的投資家だと同氏は話す。これらの企業に対しては、社内リソースへのアクセスを提供したり、営業やマーケティングを支援したりするなど、有用なパートナーとしての役割を果たすことを計画しているが、ほとんどの場合、取締役会に役員を送らない。
投資先の企業を買収することも考えられるが、それはこのファンドの主要な目的ではない。「それは、どちらかというと副次的な利益でしょう。このプログラムの本義ではなく、投資をして企業に近づき、関係を築くことで、将来的にはより深い関係につながる可能性があるというメリットがありますが、それが主な目的ではありません」と述べた。
Salesforce(セールスフォース)、Zoom(ズーム)、Hubspot(ハブスポット)、Workday(ワークデイ)、Okta(オクタ)など他のSaaS企業も投資部門の設立という同様のアプローチを取っている。
画像クレジット:Robert Alexander/Getty Images / Getty Images
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(文:Ron Miller、翻訳:Nariko Mizoguchi)
- Original:https://jp.techcrunch.com/2021/12/09/2021-12-08-as-corporate-venture-accelerates-twilio-jumps-into-the-fray/
- Source:TechCrunch Japan
- Author:Ron Miller,Nariko Mizoguchi
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