元Snap社員が会話型コマースのスタートアップWhymが4.9億円調達

元Snapの社員たちが作った会話型のコマースサービスWhymは、モバイルデバイスからの買い物をもっと簡単にしようとしている。チェックアウトのフォームに長々と記入したり、決済カードの詳細を手で入力する代わりに、Whymでは1回のタップでApple PayやGoogle Pay、あるいは単なるテキストメッセージでチェックアウトを終えることができる。同社は、一般消費者製品や健康グッズ、美容製品などで成功し、このほど430万ドル(約4億9000万円)のシード資金獲得を発表した。

ラウンドはDeciens Capitalがリードし、DNX VenturesやReciprocal Ventures、Unusual Ventures、Chaos Ventures、Magic Fundらが参加、またSequoiaやLightspeed、Canaan Partnersらも小額を投資した。さらにStripeやPayPal、Venmo、Microsoft、Salesforce、Google、Facebook、Twitter、TikTok、Snapchat、Uber、Airbnb、Red BullそしてSpotifyなどの創業者や役員からのエンジェル投資もある。

同社は2017年にCEOのKelly Nyland(ケリー・ナイランド)氏とCOOのRhenee Bartlett(レニー・バートレット)氏が創業した。2人はともに、Snapに在籍していた。ナイランド氏はSnapの消費者プロダクトとマーケティングのトップとして、SnapのARサングラスSpectaclesの市場開拓戦略をつくった。バートレット氏はSpectaclesのイベントマーケティングとパートナーシップを担当。Whymの創業に加わりエンジニアリングのVPになったRyan Hornberger(ライアン・ホーンバーガー)氏は、彼のスタートアップであるScan, Inc.が買収されたあとSnapで働き、SnapchatのSnapcodeの基本を作った。

画像クレジット:Whym

Snapにいたときナイランド氏は、ユーザーの多くが、毎日、DM(ダイレクトメッセージ)の画面からSnapを利用し始めることに気づいた。そこで彼女は同社に、アプリ機能の一部として、ブランドと消費者がSnapの上で直接コミュニケーションできるようにしたらどうか、と提案した。

「その経験から、未来のソーシャルショッピングではメッセージングがとても重要だと確信しました」とナイランド氏はいう。

Whymのチームは、メッセージングとコマースを一体化して、テキスト(SMS)やDMのスレッドでショッピングができるようにすれば、ソーシャルショッピングの新しいかたちになると確信し、2018年にベータでローンチした。それによりブランドは、テキストメッセージで「買い物行動に対する応答」ができるようになった。

その後、Whymは小さな店を提供し、それをテキストによるキャンペーンと組み合わせて、その場で商品を買えるようにしている。テキストのやり取りで色やサイズなどを指定することができ、チェックアウトもできる。ブランドはソーシャルメディアやメッセージングアプリで、他の場所のリンクを宣伝してもよい。それを、リンクインバイオやスワイプアップ(Instagramのリンクステッカーなど)、メッセージングアプリなどで展開できる。

画像クレジット:Whym

消費者は、これまでのようにモバイルサイトをあちこちクリックしなくても、簡単かつ迅速に精算できる。小さな店に行ってカートをカスタマイズし、それからApple PayやGoogle Payをタップして買い物が終わる。Whymは初期のようにテキストでチェックアウトもできるが、今後は消費者の電話番号を使う方法も導入する。つまり2022年から、消費者は商品を選んで電話番号を入力すると、それだけでその商品に対する関心や近く買う意思を示せる。従来のようにウェブサイトのリンクを送ったり、スクリーンショットを撮ったりしなくてもいい。

今後は、Whymが顧客にユニバーサルカートを提供して、いろいろなブランドから買い物できるようにし、またブランド側はユーザーに、案内メッセージを送れるようにする。

「中心的な業種は、新進気鋭のD2Cブランドや美容、ウェルネスなどとなります。リピートの多いブランドを重視したい。Whymにできることは顧客のカートを個別一対一で再構築して、そうしたブランドのための「買い物によるリプライ」(リプライの一環として購入アクションがある)を作っていくことです。そのためにはバックグラウンドでテキストメッセージングのパワーを利用して、ブランドと消費者に生じるリピート購入体験を自動化していきます」とナイランド氏はいう。

Whymを利用しているブランドは今数百社で、1回のオーダーにつき3%+10セント(約11円)の手数料を払っている。今同社は年間総取引額が5000万ドル(約56億8000万円)から2億5000万ドル(約284億円)という高級で高額なブランドに注力し、段階的な料金制を導入しようとしている。まだ、そのレートは発表されていない。

自分のブランドをWhymに統合したい人は、その処理の一部始終をセルフサービスでできるが、約10分間かかる。同社の営業チームが、Whymのデモをしたり、Whym統合や最初のキャンペーンを手伝ってくれる。

現在、同社は社員が50名ほどで、今回の資金は新しいブランド顧客の開拓とプロダクトの機能強化に充てる。新しい機能の多くは、顧客の要望によるものだ。これまでWhymは、700万ドル(約8億円)を調達している。

画像クレジット:skaman306/Getty Images

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(文:Sarah Perez、翻訳:Hiroshi Iwatani)


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