シャープ、光の当たり方で色が変わる「構造色」を8K・3DCGで再現! 文化資源のデジタル保存へ

シャープマーケティングジャパン株式会社(以下、SMJ)は、法政大学 情報科学部 ディジタルメディア学科 実世界指向メディア研究室の小池崇文教授の協力のもと、構造色を高精細8Kの3DCGで表現する手法を開発しました。

愛知県瀬戸市にある愛知県陶磁美術館で3月15日(火)から展示される「8K文化財鑑賞ソリューション」にて、本手法を活用して制作した重要文化財「油滴天目」の8K・3DCGコンテンツが鑑賞できます。

約3318万画素の超高精細技術「8Kインタラクティブミュージアム」

「8K+5GとAIoTで世界を変える」をビジョンに掲げるSMJは、これまで、8Kによる圧倒的な表現力を文化・教育領域で応用し、茶碗や仏像などの鑑賞ソリューションを提案してきました。

過去には、美術品や工芸品、文化財などを8K解像度で3DCG化し、8Kディスプレイ上で細部まで鑑賞できる「8Kインタラクティブミュージアム」を開発。

同システムは、約3318万画素の超高精細技術により、画面に近づいても液晶のドットが見えないほどの高精細な表示が可能です。まるで本物を見ているかのような臨場感を味わえるといいます。

また、画面にタッチすることで画像を自在に拡大・移動できるほか、立体物の3D画像は自由に拡大・回転することができるようです。

法政大学教授の協力のもと分析・検証

このたび、同社は法政大学に所属する小池教授の協力のもと、構造色を高精細8Kの3DCGで表現する手法を開発しました。

構造色とは、固有の色を持たない物体が、光の波長程度に微細な構造を持つことによって発する色のことです。

見る角度や光の当たり方によって色が変化して見えるのが特徴。タマムシの外殻やアワビの貝殻、シャボン玉などがその例として挙げられます。

同社は構造色を持つ市販の油滴天目茶碗を使用し、表面の微細構造による光の干渉を分析。光の当たり方で変化する色の再現方法について検証を繰り返し、ついに3DCGで構造色を表現することに成功しました。

これにより、構造色を含むコンテンツの開発が可能となり、8Kの表現力の向上が期待できるといいます。

愛知県陶磁美術館にて「8K文化財鑑賞ソリューション」を展示

本手法を活用して制作した「8K文化財鑑賞ソリューション」が、愛知県陶磁美術館にて3月15日(火)から展示を開始しました。

本ソリューションは、8Kインタラクティブミュージアムをベースに、独立行政法人 国立文化財機構に属する文化財活用センター、東京国立博物館と共同開発したもの。文化的価値の高い6種類の茶碗を収録しています。

今回の展示では、形状や重さ、手触りまでを再現した茶碗型コントローラーを、6作品すべてに用意。

鑑賞したい茶碗のコントローラーを手に取ると、70V型8Kディスプレイの画面に茶碗が映し出されます。コントローラーを前後に動かしたり、回転させたりすると、画面上の茶碗の8K・3DCGも連動し、拡大・縮小、回転するようです。

コントローラーの重さや手わざりを感じながら、画面で表面の微細な模様や質感をじっくりと鑑賞できるといいます。

構造色の特有の色合いを再現した「油滴天目」

収録作品のひとつである「油滴天目」は、九州国立博物館所蔵の重要文化財。同館の協力・監修のもと、構造色を高精細8Kの3DCGで表現する手法を活用して制作し、構造色特有の色合いを再現しています。

名前の由来とされている“油の滴”のような美しさを、リアルに感じることができるでしょう。

SMJは今後も、「8Kインタラクティブミュージアム」のコンテンツの拡充に取り組むとともに、文化資源の8Kデジタルアーカイブ化の促進に貢献していく方針です。

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シャープ株式会社「8Kインタラクティブミュージアム」
シャープ株式会社 ニュースリリース

(文・Haruka Isobe)


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