2022年4月15日(金)〜17日(日)に、千葉県・幕張メッセで開催されたオートモビルカウンシル2022。
自動車メーカーはもちろん、愛好家の間で有名なプロショップが国内外のさまざまなヘリテージカーを展示していました。
オートモビルカウンシルが他のオートショーと異なるのは、展示されているほとんどのヘリテージカーにプライスタグがつけられていること。来場者は憧れのクルマをその場で確認し、気に入ったら購入できるのです。
展示されていたクルマのプライスは下が100万円以下、上は1億円と、手頃なものから博物館クラスのものまであります。これは「憧れのクルマは人によって異なる。ヘリテージには値段だけでは測れないものがある」という実行委員会の思いがあるから。
そんなオートモビルカウンシルの会場を&GP編集部のふたりと歩いていて、600万円台のプライスボードがつけられたクルマが非常にバリエーション豊かなことに気づきました。
「こんなに安く買えるの!?」というものから「いつの間にこんな値段に!!!」と度肝を抜かれたものまで、600万円台のヘリテージカー4モデルを紹介します。
1. 職人渾身のレストア済み車両をなんと車両価格600万円で販売!
1995年式 マツダロードスター(セイコー自動車)
オートモビルカウンシル会場で目についた白いNA型ロードスター。そう、ロードスターがデビューしたのは1989年。もう30年以上経つのだから十分にヘリテージカーなのです。
過去にNA型前期のVスペシャルに乗っていたこともあり、複雑な気持ちを抱えながらクルマに近づいて驚愕しました。
このロードスターはエンジンが1.6Lから1.8Lに変更された後期型ですが、なんと600万円というプライスタグがつけられていたのです。
少しチェックを怠っている間にロードスターの相場がここまで高騰したのか!? すぐさま出展していたセイコー自動車の方に話を伺い、なるほど!と納得しました。
このロードスターはエンジンやミッション、燃料タンク、配線などをすべてのパーツを外し、ボディを水洗い。そしてボディや各パーツを色剥ぎして手作業でサビを補修した上で再塗装するという地道な作業が行われていました。
下ろしたエンジンは内部までチェック。足回りなどもオーバーホールを行っています。空調部品も分解清掃してあるそうです。
目に見える部分だけキレイにするのではなく、内部まで徹底的に再生されたNA型ロードスター。エンジンルーム内の美しさにはただただ驚くばかりです。
現在、中古車サイトでNA型ロードスターの中古車価格帯は60万〜340万円となっていて、250万円以上の価格帯には走行5万km以下のものも流通しています。
それを考えると600万円出してロードスターを手に入れるのは勇気がいるかもしれません。しかし、職人たちの愛情がたっぷり注がれた特別な一台だけに、ここに価値を感じられるなら高い買い物ではないはずです。
>> セイコー自動車
2. オリジナルカスタムが施されたクラシックGクラス
1999年式 メルセデス・ベンツ G320ショート(BESPOKES TOKYO)
2018年にフルモデルチェンジ並みの大改良が行われたGクラス。現在は世界的な半導体不足により数年待ちとも言われる状況で、公式ページには「在庫僅少につきご購入いただけない場合がございます」と表記されるほど。中古車は4年落ちで5万km近く走ったものでも新車時より高値で販売されています。
もちろん大改良前のモデルもいまだ人気が高く、こちらを指名買いする人も大勢いて、あえて90年代のモデルを探す人もいるほど。
アストンマーティン、メルセデス・ベンツなどプレミアムモデルの内外装をユーザーの好みに合わせてカスタムしているBESPOKES TOKYOは、前後バンパー、グリル、フェンダー、サイドステップ、ホイールなどを黒で統一したBESPOKESエディションを展示。
白いボディとマッドなブラックで塗装されたパーツのコントラストがクールな雰囲気です。
ショートボディのGクラスはいまや希少な存在。昨今の相場状況やカスタム費用を考えると698万円という価格は割安かもしれないですね。
3. 20世紀の名車もこの価格帯で手に入る
1961年式 シトロエン ID19(アウトニーズ)
1955年のパリサロンで初公開されたシトロエン DS。宇宙船のような斬新なボディライン、高級ソファのようなふかふかのシート、船のような乗り心地のハイドロニューマティックサスペンション、さらにハイドロの油圧をクラッチとギア操作にも利用するシステムなど、他のどのクルマとも似ていない独創的なモデルは多くの人を魅了し、発表された日に1万2000万台のオーダーが入ったと言います。
ID19は1956年のパリサロンで発表された、DSの廉価モデル。クラッチやギアが一般的な機械式になっているのが特徴で、写真のセダン以外にブレーク(ステーションワゴン)もラインナップされました。
一方、廉価版とはいえDSシリーズならではの伸びやかなシルエットや1本スポークのステアリングに代表される独創的なデザインは健在です。
このID19はクラシックシトロエンの専門店として全国的に有名なアウトニーズ(京都府)が手掛けたもの。整備に精通しているショップなのでビンテージモデルでも安心して乗れます。600万円という価格も決して高くないはず!
ちなみにアウトニーズは京都でクラシックシトロエンのレンタルサービスも行っています。一度乗り味を堪能してみたい人は、まずは旅行の際にレンタカーを利用してみては!
>> アウトニーズ
4. ファニーなルックスが魅力のクラシックミニバン
1965年式 フィアット 600ムルティプラ(ガレーヂ伊太利屋)
1998年に登場した前席3人、後席3人で座る6人乗りMPVのムルティプラ。2004年のマイナーチェンジでありふれたデザインになりましたが、前期型はAピラーの付け根にハイビームを設置した独創的なデザインを採用。欧州車好きも衝撃を受けたモデルでした。
フィアット 600ムルティプラは1956年に発表されたモデルで、小さなボディに2+2+2の3列シート(6人乗り)を備えたモデル。千原ジュニアさんが自身のYouTubeチャンネルで600ムルティプラの購入を紹介したことでも話題になりました。
ベース車両は1955年に発表されたフィアット 600。フィアット初のRRモデルで、現在でも多くのファンがいるNUOVA 500はフィアット 600をひと回り小型化したものになります。
600ムルティプラはフィアット600の運転席を前輪の上まで移動して3列シートを搭載したモデル。そのためエンジンフードなどはフィアット 600と共通のものを使用しています。これが独創的なサイドシルエットを生み出しているのです。
ずんぐりとしたボディととぼけた表情をしたフロントフェイスも他のクルマにはない独特の雰囲気を醸し出します。
デビュー時は水冷4気筒650ccエンジンを搭載していましたが、このモデルは後期型で770ccエンジンを搭載しているとのこと。
中古車専門サイトでも滅多に見ることができない激レアモデルだけに、660万円という価格はお買い得かも!
>> ガレーヂ伊太利屋
※価格はすべてオートモビルカウンシル2022開催時のものです。現在は売約済みの場合もあります
<取材・文/高橋 満(ブリッジマン)>
高橋 満|求人誌、中古車雑誌の編集部を経て、1999年からフリーの編集者/ライターとして活動。自動車、音楽、アウトドアなどジャンルを問わず執筆。人物インタビューも得意としている。コンテンツ制作会社「ブリッジマン」の代表として、さまざまな企業のPRも担当。
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- Original:https://www.goodspress.jp/features/449124/
- Source:&GP
- Author:&GP
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