Appleは6月7日、ディベロッパー向けカンファレンス「WWDC22」の基調講演にて、Appleシリコンの第2世代シリーズである「M2」を発表。また、同チップを搭載する新モデルとして、MacBook Air/Proも発表しました。特に、新しいMacBook Airは従来モデルからデザインも大幅に刷新されています。
為替の影響もあり、2020年にM1搭載MacBook Airが登場したタイミングと比べると、値上がりは気になるところ。しかし、それを加味しても今回は魅力的なアップデートが多い印象です。そこで、特に注目したいポイントを5つに絞り、同機の概要についておさらいしていきましょう。
1. M2チップ搭載でMacBookセミプロのような仕上がりに
Appleが自社設計したSoC(システムオンチップ)は「Appleシリコン」と呼ばれています。Appleシリコンはこれまで、2020年後半に登場した「M1」チップをベースに、2倍、3倍、4倍と性能を強化した「M1 Pro/M1 Max/M1 Ultra」という上位バリエーションも展開されてきたのが特徴です。
そして、今回発表されたのが第2世代に相当するSoC「M2」です。今後1〜2年はおそらく「M2 Pro/Max/Ultra」といったバリエーションも展開されていくのでしょう。
M2のパフォーマンスは、M1と比べてCPUが18%、GPUが35%、Neural Engineが40%パワーアップしています。メモリのバリエーションとして8GB、16GBに加え、新たに24GBも選択できるようになり、メモリ帯域幅も100GB/sに対応しました。
つまり、これらの点については、2020年モデルのM1搭載の13型MacBook Proより高性能ということになります(ただし、M1 Pro/Max搭載の2021年モデルはメモリ最大64GBを選択でき、メモリ帯域幅も200GB/sなので、新MacBook Airがそれを超えるということはありません)。
端的に言えば、性能的には過去のMacBook Proシリーズと遜色ないレベルなのです。特殊なケースを除けば、大抵の用途に対応できると考えて問題ありません。「どうせならMacBook Proに手を伸ばそうか」と悩んできたユーザー層にとっては、手を伸ばしやすいパワフルなモデルとして捉えることができるでしょう。
そして、M2チップでは、「メディアエンジン」が追加されていることもポイント。要するに、ProResやHEVC、H.264といった動画コーデックのエンコード/デコードに特化した処理回路が内蔵されているわけです。動画編集にチャレンジしたいというハイアマチュアなクリエーター層にとっても心強いでしょう。
2. 新デザインはわずかに画面が広く、そして軽く
筐体については、デザインが刷新されました。従来はヒンジを閉じた状態で、手前になるほど薄くなる形状でしたが、新しいデザインはフラットです。2021年に発売されたMacBook Proシリーズもこういった形状ですので、今後の基準はこれになるのでしょう。たかが外観、されど外観。古さを感じさせずに長く運用するうえでは、新デザインのモデルを選んでおくメリットはあるでしょう。
ちなみに、重くなったのかと思いきや、スペックを見てみると1.29kg→1.24kgでむしろ軽くなったこともわかります。
また、ディスプレイサイズは従来の13.3型から13.6型へと拡大しました。ディスプレイ上部に設けられた“ノッチ”(切り込み)の存在については賛否両論あろうと思いますが、作業領域として上下幅がわずかに増えたことは素直に歓迎すべきところです。ちなみに画面輝度も500ニトへとUPしています。
ちなみにカラーバリエーションとしては、従来の「スペースグレイ/シルバー/ゴールド」という3色展開から、「スペースグレイ/シルバー/スターライト/ミッドナイト」という4色展開に変わっています。
3. カメラ画質は720pから1080pへ進化
オンラインミーティングの機会が多い昨今としては、Webカメラの画質が向上したこともうれしいポイント。M1搭載MacBook Airが「720p FaceTime HDカメラ」だったのに対し、M2搭載MacBook Airは「1080p FaceTime HDカメラ」を備えます。
macOSの秋のアップデートで、iPhoneのカメラをWebカメラとして利用できる「連携カメラ」機能の強化も予告されていますので、内蔵Webカメラのアップデートだけが強く訴求することはないかもしれません。しかし、新モデルでは、Webカメラが上位のMacBook Proシリーズと同じ解像度になったということは、知っておきましょう。
4. スピーカーやイヤホンジャックも強化された
オーディオ関連機能の強化も見逃せません。M1搭載MacBook Airでは、ステレオスピーカーが搭載されていましたが、M2搭載MacBook Airでは4スピーカーサウンドシステムが搭載されました。さらに内蔵スピーカーでドルビーアトモス対応音源の再生をした場合の「空間オーディオ」にも対応します。MacBookで動画を視聴する機会があるならば、サウンドの臨場感がUPしそうです。
ただし、MacBook Proシリーズが対応する「ハイダイナミックレンジステレオスピーカー」や「フォースキャンセリングウーファーを備えた原音に忠実な6スピーカーサウンドシステム」などと比べると、差異は残っています。
ちなみに、ヘッドフォンジャックの仕様についても、M2搭載MacBook Airでは仕様表記が「ハイインピーダンスヘッドフォンに高度に対応する3.5mmヘッドフォンジャック」へと変わっています。インピーダンスが高いヘッドフォンというのは、雑音がカットされるという特徴がありますので、映画鑑賞やゲーミング、DTMなどにおいて、有線イヤホンで音質にこだわる人ならば、恩恵がありそうです。
5. MagSafe 3と高速充電をサポート
最後は充電まわりのアップデートについて。まず、端子として「MagSafe 3」端子に対応したことがトピックです。同端子は、磁力で固定する仕組みなので、たとえば充電中のケーブルに足を引っ掛けてしまったような場面でも、MacBookから端子が外れるため、機器本体を落下させずに済むといったメリットがあります。なお、Thunderbolt/USB 4ポートも2基備えており、こちらでも充電は可能です。
続いて、充電アダプタは、標準で同梱される30Wあるいは35Wのアダプタだけでなく、別売の67Wアダプタにも対応します。この67W USB-C電源アダプタを使って高速充電を行えば、30分で50%まで充電が可能とのこと。MacBook Airを出先で長時間使い回しすことが多い人などにとって、すばやく充電できることは心強い特徴です。
<文/井上 晃>
井上 晃|スマートフォンやタブレットを軸に、最新ガジェットやITサービスについて取材。Webメディアや雑誌に、速報、レビュー、コラムなどを寄稿する。Twitter
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