手足やのど、舌の筋肉、呼吸に必要な筋肉が衰えていく難病「ALS(筋萎縮性側索硬化症)」。
近年は、目の動きと関節の動きでパソコンを操作する技術や、カメラやマイクを搭載した分身ロボットなどを活用して、ALS患者がコミュニケーションを取ることが増えてきました。
しかし、ALSには最終的な段階として、体だけでなく目さえも動かなくなってしまうTLSという症状があり、TLS状態でのコミュニケーションが課題になっているようです。
そんななか、ALS患者が脳波で分身ロボットを操作して接客する店舗「BRAIN ROBOT STORE」が2022年11月23日(水)に1日限定でオープンします。
意思伝達装置×分身ロボットで接客
BRAIN ROBOT STOREは、株式会社電通サイエンスジャム(以下、電通サイエンスジャム)、一般社団法人WITH ALS(以下、WITH ALS)、株式会社オリィ研究所(以下、オリィ研究所)の共同イベント。
ALS課題解決に取組むWITH ALSの代表で、ALS患者でもある武藤将胤氏が意思伝達装置「NOUPATHY」を通じ、脳波で分身ロボット「OriHime-D」を操作して接客します。
なお、同プロジェクトの運営資金をクラウドファンディングサイト「CAMPFIRE」にて募集中。支援者はリターンとして来店チケットを受け取ることができます。
遠隔での接客や運搬を実現
BRAIN ROBOT STOREで活用するOriHime-Dは、テレワーカの代わりに接客や運搬をおこなう全長約120cmの分身ロボット。2022年にオープンした「分身ロボットカフェDAWN ver.β」でも稼働しています。
カメラ・マイク・スピーカーを搭載した同ロボットは、インターネット経由で操作できるだけでなく、前進後退・旋回の移動が可能。
上半身には14の関節用モータを内蔵しており、簡単なものをつかんで運べるほか、自由なモーションを作成してボタン操作で再生することもできます。
カフェでの接客やビル内での案内、作業現場を見回りながら指示を出すなど、身体を動かす必要のある業務のテレワークを実現するとのことです。
脳波を使って意思を伝達
脳波による操作には、電通サイエンスジャムとWITH ALSが共同で開発を進めている意思伝達装置「NOUPATHY」を活用。
人は自分があらかじめ選んだ音が流れたときに「この音だ」と認識します。認識するときに発生する特別な脳波を読み取るのが、NOUPATHYです。
同装置が実現すれば「飲み物を飲みたい」「映画が観たい」などのコマンドを脳波から選択することが可能となります。
聴覚と脳波が正常であれば使えるため、ALSの最終段階であるTLS状態におけるコミュニケーション手段としての利用が期待されているようです。
(文・Haruka Isobe)
- Original:https://techable.jp/archives/184624
- Source:Techable(テッカブル) -海外・国内のネットベンチャー系ニュースサイト
- Author:はるか礒部
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