調理しやすくて美しさも際立つ最新焚き火台8選【趣味と遊びの秘密基地ギア】

【趣味と遊びの秘密基地ギア】

好きなモノに囲まれて気ままに過ごすソロキャンプは、子どもの頃に憧れた秘密基地そのものだ。その核を成すのが焚き火。肌寒い夜の森、自分がおこした火で体をあたためつつ酒をのみ、一日を振り返る。最高のひとときだ。火熾しに苦労するなど大変なこともあるが、経験を重ねるたびにできることが増えていく。RPGのおもしろさに通じるのだ。

*  *  *

焚き火をするたびに「火って偉大だな」と感嘆しているというのは、会社員から一転、2年のキャンプ旅を経てイラストレーターとなった、ヤマケンこと山口健壱さんだ。

今も変わらずキャンプを楽しんでいる山口さんに、好きな焚き火時間を尋ねたところ、「早春や晩秋の早朝、そーっと火をおこしてコーヒーを淹れている時」とのこと。

焚き火とコーヒーで体が芯からゆるんでいく感覚が心地よく、キャンプでしか味わえない贅沢な時間だという。ただし、寒いからといってボンボン薪を燃やすのは好みではないよう。

「薪作りに関わったことがあり、そのときに知ったのですが、薪を作るのはすごく大変。焚き火では火を眺めるだけでなく、活用することを心がけています」

焚き火はモノ作りや灯火にも使えるが、最もキャンプで役立つのは調理時だ。

「僕の場合、焼くと煮るを同時にできるベルモント『tabi』のサイズが好み。火床が大きすぎると荷物が増えるし、薪の消費量も増える。反対に小さいと、薪を切る作業が増えてせわしないから」

最近は食っちゃ寝の生活から、釣り&キャンプの生活に変わりつつあるそうで、「朱鞠内湖でフライを投げて、湖畔で焚き火を嗜むのが直近の夢」。

釣った魚を食べる派なら、釣りをきっかけに焚き火スタイルが変化するかも。キャンプに正解はなく、過ごし方によって焚き火台の最適解が変わっていく。この自由さも醍醐味だ。

キャンプイラストレーター 山口健壱さん
キャンプイラストレーター、ブロガー。日本全国のキャンプ場で働きながらキャンプ旅をした経験をもとに、自分たちのキャンプ場を作るために奮闘中。著書『キャンプのあやしいルール真相解明』(三才ブックス)がある。

 

1. 鉄板のデザインはヘッドホンがヒント

構造がシンプルで組み立てに悩まないし、調理も焚き火もできそう。機能美と造形美が両立していて、個人的に一番気になっています(山口さん)

AUTEC CAMP
「TRY AND GRILL」(2万3100円)

スタンドを広げて逆三角錐の火床を載せるだけの簡単組み立て。安定感が高く、よく燃える。オーディオテクニカが本気で取り組んだ初のアウトドアギアで、音抜けを向上させるヘッドホンのハニカムパンチングケースをヒントにしたハニカム構造の付属焼き網は、五徳や鉄板としても使えるほどタフ。サイズ:32.1×33.1×H20.3cm、重さ:1.8kg

 

2. ほどよい傾斜が燃焼と調理でのポイント

調理しながら薪の操作や追加が容易なのは魅力的(山口さん)

AUTEC CAMP
「COOK PIT」(1万3200円)

2枚のステンレス板からなる架台を広げ、火床を載せるだけ。コンパクトな焚き火台ながら火床が傾斜しているため、少しくらい薪が飛び出ても、焚き火台の外側に燃え落ちない。焚き火との距離は奥と手前で異なり、同じ火で強火・弱火を得やすく調理しやすい。サイズ:28.3×22.7×H16.9cm、重さ:850g

 

3. 無機質なたたずまいが自然に溶け込む

組み立てが複雑そうだけど構成パーツは案外少なくて、慣れれば簡単そう。オリジナリティのある焚き火台を探しているキャンパーには垂涎の焚き火台となるのでは(山口さん)

KICHI
「KICHI fire pit」(1万5800円)

3本の脚に、3枚のステンレスプレートと3枚の三角風防を組み合わせた本体。五徳も三角形という、“3”にこだわった美しいデザインの焚き火台が爆誕。安定感の高い三角形がモチーフで、脚がペグや石で押さえられるきめ細やかな設計と何度もテストを重ねた燃料効率の高さが自慢。サイズ:35×43.1× H3cm、重さ:1.9kg

▲素材の特性や加工方法から逆算して導き出された無駄のない美しいデザイン。五徳の下が広く開いているので薪の追加が楽

 

4. あの“めちゃもえ”がA4サイズに

サラサラになるまで燃えるので灰捨てが楽ちん。地面へのダメージが少なくてこの値段はスゴイ。五徳は小さいから調理はおまけかな(山口さん)

DOD
「ぺらもえファイヤー」(9750円)

めちゃもえ、ぷちもえに続く第三弾は、ほぼA4サイズに折りたためる二次燃焼型焚き火台。市販の40cm薪では加工が必要だが、拾った小枝でもよく燃えるので“薪拾い派”にぴったり。内側には遮熱板を装備し、専用テーブル付きで地面にやさしい設計。ケトルや鍋を置ける五徳付き。サイズ:32×14×H23cm、重さ:1.8kg

▲収納サイズはほぼA4サイズ(32×23cm)で厚さは3cm。他のシリーズに比べてオートバイ荷台への積み込みが簡単でキャンツーのお供に最適

 

5. 飛び出す脚が気持ちいい!

コンパクト収納、ポップアップ式の組み立てなど、カジュアルに焚き火を楽しめる焚き火台。クルマに積みっぱなしでもいいし、焚き火調理前提なのも◎(山口さん)

鎌倉天幕
「SOLOIST HOMURA」(1万4850円)

脚が飛び出すポップアップ式テーブルに似た構造で、開くだけで脚と4枚の風防が立ち上がる画期的な焚き火台。コンパクトだけれど火床は広く、市販の薪をそのまま置けて手間いらず。薪を追加しやすいように両側の風防がコンパクトなのも気が利いている。サイズ:34×27.5×H23cm、重さ:1kg、耐荷重:5kg

▲シェラカップ対応のスピットが2つ付属し、上段のほかに中断のスリットに押し込めば高さを変えられる。火力や用途によって調整できるのが便利

 

6. コンパクト収納なのに太薪を無理なく組める

薄くて軽いのに耐荷重は驚異の15kg。ずっしり広葉樹薪にも対応し、樹種を選ばず焚き火ができる。薪の操作はストレスフリーだし、コスパ高!(山口さん)

TOKYO CRAFTS
「焚火台マクライト」(1万2980円)

バックパックに入れてどこにでも持ち運べる収納サイズ。広げればソロでもグループでも使える絶妙なサイズになるので、使用シーンは極めて広い。火床は広く、市販の40cm薪も余裕で組める。五徳を載せるスタンドは少々高く見えるが、風防に載せれば熾や炭火での調理も可能。片側の風防を外せば灰捨ても楽ちんだ。サイズ:36×40×H32cm、重さ:794g、耐荷重:15kg

▲火床兼スタンド、風防兼脚2枚、そして五徳のシンプル構成。華奢に見えるが火床には3つの梁があり耐荷重は十分

▲V字の火床と風防が、風で熾や灰が舞うのを低減。火床が広く、いろいろな薪の組み方ができる

 

7. 網焼きからオーブン料理まで!料理機能七変化

ごはん担当にぴったり。火床を真ん中におけば、上で煮込み・下で焼き物など同時調理もできそう。アイデア次第で化けそうなアイテム(山口さん)

Fielder's
「クッキング炎箱」(3万3330円)

鍋を落とし込むカマド料理、しっかり熱を閉じ込めるオーブン料理、網焼き、鉄板焼き、串焼き、燻製もできるなど、調理に特化した箱形焚き火台。火床の高さはサイドの穴で調節する。温度計と前ぶた付属なのもニクイ。1mm厚のSUS304(ステンレス)を使用しているので、重さはあるが一生モノだ。サイズ:40×39.2×H46.4cm、重さ:7.5kg

 

8. テーブル&ポールと一体化すれば調理がはかどる!

調理から食事、焚き火までシームレスに楽しめる。ランタンスタンドや小型ラックなどソロのリビングに必要な機能がそろっているのが便利(山口さん)

ロゴス
「MAKIBI マルチソロテーブル」(2万9000円)

囲炉裏テーブルを発明したロゴスより、焚き火台、焚き火ハンガー&ランタンスタンド、ラックを一体化させた耐熱テーブルが誕生。吊り下げ料理の際は、五徳に薪を立てかけて炎を大きくするといい。デイキャンプではポールを取り外し、焚き火台とテーブルのみを使用してもOK。サイズ:71.5×35×H28cm(焚き火台31.5×31.5cm)、重さ:6kg

▲吊り下げ料理用フック、ラック、ランタンハンガー付き。ラックは調味料置きに便利で、ランタンハンガーはネジを装備しているのでカメラやライトの取り付けが可能

▲焚き火台部分は「LOGOS the ピラミッドTAKIBI M」とほぼ同じ。オプションパーツが共通なのがうれしい

 

■ヤマケン流焚き火遊びの極意

山口さんは料理も得意。話題の戦闘飯盒弐型も愛用している。

「何を作るかにもよるけれど、中蓋を活用した同時調理は焚き火+飯盒の最適解。本体で汁物や煮込みをして、中蓋で炊飯や蒸し料理を仕込み、トライポッドに吊す。放置するだけでキャンプ飯ができちゃうので、料理が苦手な人でも楽しめるでしょう。何よりも、焚き火にかけているときのルックスがロマンにあふれています」

 

■2022年注目の焚き火小物

■薪をいじりやすい五徳は安定感も大

手持ちの焚き火台に追加するだけで調理しやすくなるので、料理好きキャンパーによさそう。折りたたみ式だから持ち運びもとっても便利(山口さん)

FIRE BANK
「サラマンダーの檻」(9999円)

よくある2本のゲタ脚ではなく4辺で支える五徳なので、安定感抜群。おまけに幅広い焚き火台に対応する。高さが約15cmで薪をいじりやすいのがうれしい。サイズ:28.5×28×H14.8cm、重さ:570g、耐荷重:10kg

 

■炎から身を守るブランケット

焚き火の事故は誰にでも起こりうるので、万一に備えてこうしたブランケットを1枚持っておくといい。焚き火シート的な使い方もできるかも?(山口さん)

SOL
「エマージェンシーファイヤーブランケット」(3850円)

100%グラスファイバー素材で耐火性がよく、火元にかぶせて酸素を遮断すれば消火できるブランケット。大きめサイズなので避難時に体を覆える。カラビナ付き収納ケースも付属。サイズ:120×180cm

>> 特集【趣味と遊びの秘密基地ギア】

※2022年9月6日発売「GoodsPress」10月号18-21ページの記事をもとに構成しています

<撮影/逢坂聡 文/大森弘恵>

 

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