日産自動車が、新型エクストレイルを2022年7月25日に発売しました。「会心の出来」と日産の開発陣がいう今回の4代目は、電気モーターで車輪を駆動します。
バッテリーに給電するためのエンジンもパワフル。そして4輪駆動モデルには、雪上など摩擦の低い路面でも、また、峠道などタイトコーナーでも高い操縦安定性を発揮する駆動制御技術が採用されました。確かに楽しい!
新型エクストレイルは、全長4660mm、全幅1840mm、全高1720mm。サイズ的には、トヨタ・ハリアー(4720mm)やマツダCX-60(4740mm)より少し小ぶり。市場での競合ではないかもしれませんが、レクサスNXと全長は同寸です。
▲ヘッドランプは、上段にポジションランプとターンランプ を、下段にメインランプを配置した二階建て。リアクォーターピラーのデザインがエクストレイルのアイコンという
ホイールベースは2705mmで、シートレイアウトは2列5人乗りがメイン。4輪駆動のトップグレード1つにだけ、3列7人乗り仕様が設定されています。
■走りのよさに貢献している技術を多数搭載
▲リアコンビネーションランプ のインナーレンズは。日本の伝統的な切子パターンからインスピレーシ ョンを得たと日産
「伝統と革新を融合させた”タフギア×上質”の本格SUV」。これが日産自動車による定義です。先に触れた駆動力制御技術は“e-4ORCE(イーフォース)”と呼ばれるもので、4WDモデルに搭載され、前後2基の高出力モーター、左右のブレーキを統合制御。滑りやすい道などでの走行安定性を確保します。これ、タフさ。
▲12.3 インチのディスプレイを計器盤と、インフォテイメントシステムに採用し、ボイスアシスタントや Amazon Alexaが使える
もうひとつの、上質とは、とりわけインテリアの作りにあるようです。「ドアを開けた瞬間にいいねと思っていただける空間づくりをしました」と、プロダクトデザイン部プログラムデザインダイレクターの入江慎一郎氏は語ります。
▲後席は空間的な余裕がたっぷり。リアシートのバックレストは角度が調整できるが、座ったままだとやりにくい
ひとつは、シート素材でしょう。最上級グレードにはナッパレザーのシートもありますが、今回で注目したいのは、「しっとりとした肌触りと包まれる心地よさをもたらす」(日産)とする「TailorFit(テーラーフィット)」なる人工皮革です。レザーより滑りがいいようですが、いま流行のビーガンインテリア(動物由来の素材を使わない内装仕上げ)です。
▲575リッターの容量を持つ荷室のラゲッジトレイはオプション
さらに、エクストレイルお得意ともいえる、スキーやマリンスポーツなどのアウトドアアクティビティに役立つ「セルクロス」による防水シートや、クロースもあります。多様性こそライフスタイルカーにもっとも必要ということが、よくわかっているんですね。
▲高速道路での運転支援技術「プロパイロット」に、地図データをもとに、制限速度に応じて設定速度の切り替えや、カーブに応じた減速支援などの「ナビリンク機能」を追加
で、走りです。4代目になったエクストレイルは、積極的に欧州でも販売するモデルだそう。そのため、時速180kmでの巡航が前提で、性能アップが図られています。
注目すべき技術のひとつは、パワフルな「VCターボ」エンジン。コンロッドに独自設計のリンクを設けて、回転に応じて圧縮比が変わります。「1.5リッターターボから2.8リッターターボまでと同等の出力を出します」と、日産自動車の開発者。
日産では、エンジンを給電のためだけに使うパラレルハイブリッドシステムに「e-Power)という名をつけて、これまでに「ノート」「ノートオーラ」「キックス」といったモデルで展開しています。エクストレイルの場合、VCターボエンジンのおかげで、速度が上がっても頭打ち感がありません。
かつ、意外なほど、エンジン音が耳に心地よいのです。「可変圧縮システムの恩恵で、3気筒なのに(バランスがもっともいいといわれる)6気筒のような気持ちのいいサウンドなんです」。e-Power開発担当の荻野和宏氏は嬉しそうに話してくれました。
もうひとつ、走りのよさに貢献している技術が、「e-4ORCE」です。さきに摩擦係数の低い路面で安定走行に寄与してくれるとしました。同時に、コーナリングでも効果を発揮。
速度が高くなると、前輪がカーブの外側に車両をひっぱり出そうとするものです。それを防ぐべく、内側の車輪にブレーキをかけつつ、外側の車輪に駆動力を積み増します。それによって走行ラインをキープ。
「思ったとおりのラインが取れるので、運転がうまくなったように感じていただけるかもしれません」。e-4ORCEと、操安・乗り心地性能を担当した冨樫寛之氏。なるほど確かに、コーナリングは期待以上にスムーズです。
日産が試乗場所に選んだ秩父・長瀞当たりの山道を走ったところ、気持ちよく曲がってくれるのです。もしよりスムーズで、ダイレクト感のある走りを求めるなら、おすすめは、エクストレイル・オーテックです。
▲オーテックは専用の内外装とミシュランタイヤ装着
オーテック専用のミシュランタイヤは、中立付近のレスポンスもよく、すっと切れば、ドライバーの意図に忠実にクルマは反応。アクセルの踏みこみに即座に反応するe-Powerと、気持よくカーブを曲がっていけるe-4ORCEと、まことに相性のいい組み合わせでした。
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価格は、前輪駆動が「S」の319万8800円から。4WDの「e-4ORCE」は347万9300円から。「エクストレイル」は前輪駆動はまだ未体験ですが、メーカー開発陣のお勧めは4WD(e-4ORCE)とのことです。なるほどと思います。
【Specifications】
☆日産 エクストレイル G e-4ORCE
ボディサイズ:L4660×W1840×H1720mm
車重:1880kg
駆動方式:4WD
エンジン:1497cc 直列3気筒 DOHCターボ
エンジン最高出力:144馬力/4400-5000回転
エンジン最大トルク:250Nm/2400-4000回転
フロントモーター最高出力:204馬力/3183〜8500回転
フロントモーター最大トルク:330Nm/0〜3505回転
リヤモーター最高出力:136馬力/3183〜8500回転
リヤモーター最大トルク:195Nm/0〜4897回転
価格:449万9000円
<写真・文/小川フミオ>
オガワ・フミオ|自動車雑誌、グルメ誌、ライフスタイル誌の編集長を歴任。現在フリーランスのジャーナリストとして、自動車を中心にさまざまな分野の事柄について、幅広いメディアで執筆中
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- Original:https://www.goodspress.jp/reports/476995/
- Source:&GP
- Author:&GP
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