【達人のプラモ術】
レベル
1/144 Uボート
(映画『Das Boot』40周年記念ムービーセット)
01/05
今回のテーマはUボート(ドイツ語だとDas Boot) 。そう! 第二次大戦でよく知られているドイツの潜水艦です。キットはプラモデルの老舗メーカーRevell(レベル)製。キット自体は新しいものではありませんが、1981年に公開されたドイツ映画『Das Boot』の公開40周年として、今年春に発売された『Das Boot 40周年ムービーセット』をチョイス。劇中に登場するU-96をリアルに再現してみましょう!
長谷川迷人|東京都出身。モーターサイクル専門誌や一般趣味雑誌、模型誌の編集者を経て、模型製作のプロフェッショナルへ。プラモデル製作講座の講師を務めるほか、雑誌やメディア向けの作例製作や原稿執筆を手がける。趣味はバイクとプラモデル作りという根っからの模型人。YouTubeでは「プラモ作りは見てナンボです!@Modelart_MOVIE」も配信中。
■潜水艦映画の最高傑作『Das Boot』
数多く存在する戦争映画ですが、その中でも“潜水艦映画にハズレなし”ってよく言われているのをご存知でしょうか? 1957年公開の『眼下の敵』(アメリカ・西ドイツ合作)、1990年公開の『レッドオクトーバーを追え』、1995年『クリムゾンタイド』などなど、どれも傑作と言われてます。そうした潜水艦映画の中にあって、今でも最高傑作の呼び声が高い作品が1981年に公開されたドイツ映画『Das Boot』(邦題:Uボート)です。
この作品は、第二次大戦中にロータル=ギュンター・ブーフハイムが報道員としてU-96に同乗し取材した経験を基に執筆された小説『Uボート』(原題:Das Boot)が原作になります。この小説をドイツの映画監督ウォルフガング・ペーターゼンが映画化。1941年、ナチス占領下のフランスの港町ラ・ロシェルから出撃したドイツ軍の潜水艦U-96を舞台に、狭い潜水艦内の生活や、極限下での乗組員のありようをひたすらにリアルに描写した戦争映画です。
撮影のために作られた実物大のUボート艦内で撮影されているのですが、CGなどない時代に、急速潜航時に狭い艦内を走り抜ける乗組員を追いかけるカメラワークなどは、公開当時、どうやって撮影したのか分からないと言われていました。風呂にも入れず、髭も伸び放題の乗組員。カビまみれになったパンをナイフで削るシーン。安全深度を超えての潜航シーンでは、水圧により艦内の肋材のボルトが弾け飛ぶ描写など、全てのシーンがリアルに描かれています。
さて。前置きが長くなりましたが、今回は映画『Das Boot』の公開40周年を記念してレベル社から発売された1/144スケールのUボート“Type Ⅶ C”を製作します。
▲Revell「1/144 Das Boot タイプ Ⅶ C U–96 映画Uボート 40周年記念ムービーセット」(3861円)
劇場公開から40年かぁ…(遠い目)。それはさておきキット自体は発売から10年を超える古参ですが、今回40周年記念ムービーセットということで、劇中のU–96に描かれている“笑うノコギリ鮫”のデカール、さらに塗装用の塗料と公開当時の映画ポスターが付属しています。発売は2022年の春なのですが、現在では完売状態のようです(いゃあ2個買っておいて良かった)。Uボート“Type Ⅶ C”の通常版は入手可能です。
▲達人所有のディレクターズ・カット版DVD
▲劇場公開版は135分ですが、こちらはウォルフガング・ペーターゼン監督自身が追加シーンを加えた202分バージョン。より原作小説に近い内容となっている。ちなみにこの映画はもともとテレビシリーズとして製作されたもの
■潜水艦プラモにハズレなし!?
映画同様、潜水艦のプラモデルってハズレがないと思います。特にUボートは、潜水艦プラモデルの中でもメジャーな存在と言うこともあり、国内外のメーカーがプラモデル化しています。
小スケールでは1/700、1/350、1/200。そして今回製作の1/144といったところ。大スケールでは同じレベル社の1/72。さらにはトランペッター社からは1/48スケールのType Ⅶが発売されています。
▲Revell「1/72 U Boot TYPE Ⅶ C /14」がこちら。キットは昨年発売されたプレミアムエデションで、エッチングパーツや木製甲板などディテールアップパーツが追加された限定キット。通常版1万3090円、プレミアムエデション版2万1560円
▲1/72と今回製作する1/144では箱の大きさもこれだけ違う
▲全長127センチ! トランペッター「1/48 Uボート Type Ⅶ C U-552」艦内の構造も再現されている精密ディテールモデル。6万2420円
実物のUボートは全長61.7mとかなり小さな艦船ですが、1/48スケールだと127cmというビックサイズになります。今回製作の1/144スケールでは、全長42cmとお手ごろな作りやすいサイズに。
ちなみに近年のモデルは全てディスプレイモデルですが、ひと昔…いやふた昔も前の潜水艦プラモデルといえば、ゴム動力やモーターで水中走行させられました。近所の公園の池で沈んだまま浮いてこない潜水艦のなんと多かったことか…。
■まずは船体の製作
キットは船体表面のリベットや甲板のディテールなどがシャープに再現されています。製作は、船体から始めて艦橋といった具合にインスト(説明書)に沿って進めていきますが、スクリューや潜航舵などは破損しやすいので最後に取り付けるようにします。
パーツ数も少なく、組むだけなならば2時間もあれば完成してしまいます。なので、ここはやはり塗装にこだわりたいとこですね。実際のUボートも1カ月を超える長期の航海だと、船体各部がサビだらけになったようです。
▲キットのパーツはランナー2枚と船体で構成されている。プレミアムエデションということで、塗料6色と接着剤が付属している
▲キットには船体各部に打たれたリベット、甲板の排水スリットなどがシャープに再現されている。接着やパーツの研磨の際に消さないように注意したい
▲船体内部には補強用の隔壁が入る
▲船体の接着には接着剤付属の刷毛ではなく、流し込み接着剤と面相筆を組み合わせて使うと、奥まった部分でも作業がやりやすくなる
▲船体と甲板の、中央部分や先端部分にわずかに隙間が
▲隙間は溶きパテを流し込んで修正する必要がある
▲溶きパテ(ビン入りサーフェイサー)は、乾燥後にはみ出しているパテを拭き取ることでモールドを痛めずに修正できる
▲タミヤ「サーフェイサー(40mlビン入り)」(374円)
▲船体の接着を乾燥させている間に艦橋も組んでおきたい
▲継ぎ目の処理はモールドを削らないように慎重に進める
▲艦橋部分
▲キットには専用色となる水性塗料6色と筆が付属している。にしてもこの量と筆で船体を塗装するのは無理がある。なので市販の塗料を使いたい
▲キットに付属のデカール。U-96の艦橋に描かれている“笑うノコギリ鮫”のエンブレム付き。海外メーカーの常で、旗に描かれているのハーケンクロイツは省略されている
* * *
潜水艦はいいぞぉ! って前にも同じようなことを言った気もしますが、潜水艦は戦艦や空母といった艦船モデルとはまた違った魅力に溢れるスケールモデルであることは確かです。海の狼と呼ばれたUボートをどうリアルに仕上げていくか。前回製作したバイクもそうですが、ジオラマにしても面白いと思います。どんなモデルにするか、映画『Uボート』を観ながら色々考えています。次回をお楽しみに!
>> [連載]達人のプラモ術
<製作・写真・文/長谷川迷人>
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- Original:https://www.goodspress.jp/howto/485686/
- Source:&GP
- Author:&GP
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